《小さなヒカリの語》25ページ目
「貓耳、ナース服、巫さん、何でも結構。そういう趣味がある子は俺のところに來い。以上だ!」
と堂々と言い放った。
もちろん冗談&け狙いのつもりなんだろうが、不運なことにそれを冗談だと思ってくれる人が一人もいなく、あえなく大慘事を招いた。
一人くらい笑ってくれる奴がいてもいいはずなのに、隣のクラスの聲がよく聞こえるほどに教室の空気は靜寂に包まれた。出會って早々非日常を持ち込むなよと心の中で突っ込みをれる。本當は鈴木にしてみれば、聲に出してしかったんだろうけど。
鈴木の自己紹介は事故紹介となってしまい、肩を落とし呆然とする彼の背中には哀愁をじた。あいつ早速やってくれたなと苦笑する。取りあえずドンマイとだけ心の中でつぶやいておいた。
自己紹介の後のホームルームも、インクの匂いがする出來立ての新しい教科書配布も終え、みんなが帰り出す頃俺はまだ教室に殘っていた。教室の隅でうずくまっている悲しき人影はまだ落ち込んでいるようだった。負のオーラしか纏っていない。近づいて、耳をそばだてて聞いてみるとなになに。
「噓だろぉ……自己紹介で外すとかまじねぇよ。そこは仏のような広い心で頼むよみんな」
泣きそうなくらい弱々しい聲で鳴いている。なんて聲をかけるべきか考えていると、英人がちょいちょいと肩を叩いてきた。何だろうと思い、振り向く。
「俺、今日鈴木と隣町のデパートに洋服買いに行くんだ。ほらあの、最近大幅に新裝して今話題になってる日の丸デパート。ちょうど行きたいと思ってたとこに鈴木がってきたから行こうかなと。康介お前はどうする? 俺たちと一緒に行かないか?」
「あー、ものすごく行きたい……けど」
ちらっとヒカリのほうを見る。まだ帰り支度の途中のようだ。英人のいは嬉しいけど、ここは我慢しなきゃな。
「悪い、今日はパスだ」
「……そうか、それは殘念だ。じゃあまた今度な」
「おう、また違う時に頼むわ」
中學時代、英人と鈴木と俺の三人でよく遊んだものだった。何かあれば三人で出かけてということを繰り返していた。高校になってもその関係は崩すつもりはないが、今回ばかりは遠慮することにした。用事がない限り、俺はめったにいを斷らないので、今日のことは珍しいと言えば珍しい。
「あの狀態の鈴木を連れてくのは大変そうだな」
理由を言う代わりに話の方向を鈴木のことに向ける。見れば、鈴木は釘を打ち込むような勢いで機に頭を叩きつけていた。マゾヒストでもこうはせんだろうってくらいにがんがんがんっ。けっこう音が響くので悪目立ちしている。
「この調子じゃ結構長引きそうな予。ちゃんと立ち直れるのかどうか若干心配になってきた」
「あいつが先にってきたんだから約束は守らせる。無理にでも連れて行く。洋服選びで他の人の意見も一応聞きたいしな」
12ハロンのチクショー道【書籍化】
【オーバーラップ様より12/25日書籍発売します】 12/12 立ち読みも公開されているのでよかったらご覧になってみてください。 ついでに予約もして僕に馬券代恵んでください! ---- 『何を望む?』 超常の存在の問いに男はバカ正直な欲望を答えてしまう。 あまりの色欲から、男は競走馬にされてしまった。 それは人間以上の厳しい競爭社會。速くなければ生き殘れない。 生き殘るためにもがき、やがて摑んだ栄光と破滅。 だが、まだ彼の畜生道は終わっていなかった。 これは、競走馬にされてしまった男と、そんなでたらめな馬に出會ってしまった男達の熱い競馬物語。 ※この物語はフィクションです。 実在の人物・団體・國などと一切関係がありません。 2018/7/15 番外編開始につき連載中へ狀態を変更しました。 2018/10/9 番外編完結につき狀態を完結に変更しました。 2019/11/04 今更ながらフィクションです表記を追加。 2021/07/05 書籍化決定しました。詳細は追ってご報告いたします。 2021/12/12 書籍化情報を追記
8 63平和の守護者(書籍版タイトル:創世のエブリオット・シード)
時は2010年。 第二次世界大戦末期に現れた『ES能力者』により、“本來”の歴史から大きく道を外れた世界。“本來”の世界から、異なる世界に変わってしまった世界。 人でありながら、人ならざる者とも呼ばれる『ES能力者』は、徐々にその數を増やしつつあった。世界各國で『ES能力者』の発掘、育成、保有が行われ、軍事バランスを大きく変動させていく。 そんな中、『空を飛びたい』と願う以外は普通の、一人の少年がいた。 だが、中學校生活も終わりに差し掛かった頃、國民の義務である『ES適性検査』を受けたことで“普通”の道から外れることとなる。 夢を追いかけ、様々な人々と出會い、時には笑い、時には爭う。 これは、“本來”は普通の世界で普通の人生を歩むはずだった少年――河原崎博孝の、普通ではなくなってしまった世界での道を歩む物語。 ※現実の歴史を辿っていたら、途中で現実とは異なる世界観へと変貌した現代ファンタジーです。ギャグとシリアスを半々ぐらいで描いていければと思います。 ※2015/5/30 訓練校編終了 2015/5/31 正規部隊編開始 2016/11/21 本編完結 ※「創世のエブリオット・シード 平和の守護者」というタイトルで書籍化いたしました。2015年2月28日より1巻が発売中です。 本編完結いたしました。 ご感想やご指摘、レビューや評価をいただきましてありがとうございました。
8 158やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中
王太子から冤罪→婚約破棄→処刑のコンボを決められ、死んだ――と思いきや、なぜか六年前に時間が巻き戻り、王太子と婚約する直前の十歳に戻ってしまったジル。 六年後の未來を知っているジルは未來を変えようと焦り、顔も見ず別の男性に求婚するが、即答で了承を返したのは隣國の若き皇帝(六年後は闇落ち予定)だった。 皇帝に求婚を真に受けられ、誘拐され、後に引けなくなったジルは腹をくくる。 「あと六年ある、それまでに皇帝を更生させればすべて解決する!(と思いたい)」 これは魔力チートで軍神令嬢と呼ばれていた男前幼女が、王太子のしつこい求婚(復縁)を回避しつつ、かつての部下と再會したり、かっこよく物理で事件を解決したり、呪われた皇帝と本當の夫婦になるお話。 ◆原作書籍1~4巻発売中(イラスト:藤未都也先生)◆ ◇コミカライズ1巻~3巻発売中(作畫:柚アンコ先生)◇ ◆mimicle様にてボイスドラマ配信中◆ *月刊コンプエース様にて第二部コミカライズ連載中* ※R15は念のためです
8 95ロング・ロング・ラブ・ストーリーズ 4度目のさようなら that had occurred during the 172 years
昭和38年の春、高校1年生の少女が林 の中で、突然神隠しに遭った。現場には、 血塗れとなった男の死體が殘され、偶然 その場に、少女と幼馴染だった少年が居 合わせる。そして男は死に際に、少年へ ひとつの願いを言い殘すのだった。 20年後必ず、同じ日、同じ時刻にここ へ戻ってくること。そんな約束によって、 36歳となった彼は現場を訪れ、驚きの 現実に直面する。なんと消え去った時の まま、少女が彼の前に姿を見せた。20 年という月日を無視して、彼女はまさに あの頃のままだ。そしてさらに、そんな 驚愕の現実は、彼本人にも容赦ないまま 降りかかるのだ。終戦前、昭和20年へ と時をさかのぼり、そこから平成29年 という長きに亙り、運命の糸は見事なま でに絡み合う。 そうしてついには100年後の世界へと、 運命の結末は託されるのだ。 172年間にわたって、時に翻弄され続 けた男と女の物語。
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