《小さなヒカリの語》48ページ目

深呼吸し、目を閉じ心の一點に意識を集中させる。イメージするのは波。ゆらゆら穏やかに揺れる悠然とした流れ。そこにイレギュラー因子を介させる。ほんの小さな渦。時間が経つにつれ渦は大きくなっていく。最後には全てを巻き込む竜巻となる。誰にもそれは止められない。

終末暴破壊崩壊暴力的に発させる。

矢をる。る。る。る。る。

「あれっ?」

數撃ちゃ當たるってわけではないらしい。矢は全部外れた。

「これで二百本目だね」

ヒカリから今までた矢の本數が公表される。

そんなにくわけじゃないから客観的に見るとはきつくないのかもしれない。しかし神的にはホールインワンを狙っているじに近いあのどうしようもなさ。順調に神が磨り減ってるみたいだ。こういうのはどうしても顔に出る。弓道は神狀態が結果に大きく影響するスポーツだ。

どうしよう。全然當たる気がしない。あんなこと言ってこのままおめおめと終われはしない。

「今日はここまで。始めるのが遅かったし続きはまた明日にしよっ? ねっ?」

ヒカリが俺の冴えない(いつもかもしれないが)様子を見て練習終了を告げる。

「ほら、最初から出來ないのは當然。別に最初から出來なくたっていいんだよ。しずつ上手くなれば」

ヒカリがおっしまいっ、と帰路へ足首をひるがえす。あれだけやる気だったのに、ヒカリの言葉に素直に頷いている自分がけなく思う。正直なところ二百本も矢をて一つも當たらないってのは、次の矢で當てるぞっていう向上心に欠ける。腕に自信があってしかも自分から言い出した分、この結果はかなりショックだ。

「それに私一人でも十分戦えるから、こーちゃんはそんな無理しなくても大丈夫だよ」

「お、おう……」

これは事実上のリストラ宣告だ。いや、まだ働いてない面接の段階で落とされたのか。

アニメの主人公が突然められし力を発揮するように俺もそうあってしかったが、素人が橫から口を出せるほど世の中甘くないって思った。

今朝は床に頭をぶつけずに済んだので、昨日とは違ってだいぶ目覚めも良かった。

しかし、だ。その神良好な狀態が続いたのは學校に著くまでの間だけで、著いてからすぐに打ち消されてしまった。

「何……これ?」

「ん?」

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