《小さなヒカリの語》55ページ目

會話の流れを壊さないための俺なりの冗談。自分で言って、もしかしたら本當にそうなのかもと柊家の家系を憂慮する。

「そ、そんなことないよ……ね?」

が、ヒカリはそれを冗談とは思わなかったらしく真顔で聞いてきた。

「え、あいや、今のは冗談だ。きっと大丈夫だ」

自分が言った言葉を二秒後に訂正させられるとは思わなかった。

「心配しなくてもちゃんと用意されてる。だからそんな顔すんなよ、な?」

しばしの沈黙の後に、ヒカリのお腹がぐーぎゅるると元気な返事をした。

俺がぷっと吹き出すと、ヒカリは、

「戦いの後はお腹減るんだよぉ!」

と頬を染めて弁解していた。やっぱり俺は戦いよりこっちのほうがいい。こんな風にヒカリと向き合っていたい。何も考えずに、だ。でも、それは無理だった。

に包まれた空が悲しい記憶をフラッシュバックさせる。

――――過去の話――――

「ヒカリはさ。好きな人とかいるの?」

に染まる空の下、その年はぽりぽりと頭を掻いての次の向をやや不安げに見つめている。

「えっ?」

ヒカリと呼ばれたは突然の質問に驚き、顔をややうつむかせて、

「別に……そんなのいうことじゃないじゃん……なんで?」

年に不思議そうな視線を向ける。

「いや、その別にあのあの……あああ」

年はと仲が良く、よくしゃべるのだがこの時ばかりは舌が回らず、どもった。

ああ、今日も言えずに終わってしまうんだろうかと年は大きくため息を吐き出す。

「……いや、いいよ。なんでもない」

「ほんとに大丈夫? なんか最近おかしいよ? 合でも悪いの?」

合は悪くない。けど……」

「けど? もし悩み事ならわたしでよければ相談のるよ?」

のきらめく無垢な瞳に年は思わず吸い込まれそうになる。

「言ったほうが楽になるよ。さぁほらほら」

服の袖をねぇとつかまれ、年は困する。の勢いに圧されて年は、

「えと、その……」

意を決し、ぐっと歯を食いしばり、

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