《小さなヒカリの語》60ページ目

の繋がってない男が同じ屋の下なのだ。それを了承した母さん何考えてんだ。

レモネードを飲みながら俺らは昔の思い出を語り合い、夜はいつの間にか更けていく。

「どうしたんだよ今日は」

俺の様子がよほどおかしく見えたのか、英人が心配そうな聲を出した。

「大丈夫だ。なんでもない」

「今日のお前、なんかすごくきつそうだぞ? もし保健室に行くんだったら俺に言ってくれ。肩ぐらいは貸せるからさ」

「いや、ほんとなんでもないんだ」

ただ、眠たいだけだ。なんでもないって言う時はたいてい何かあるもんだが、今回に限ってはその言葉通りの意味だ。夜の練習が軽く響いているようだ。し遅くまで語りあったのも関係あるだろう。まさか英人に『ヒカリと一緒に夜遅くまで特訓してた』なんて言えないし。これを鈴木が聞いたら、特訓のところで妙な勘違いを起こすだろうな。と思っていると、

「今週の土曜日に俺と英人と康介の三人で日の丸デパートに行かねぇか?」

鈴木の聲がした。

ってお前何こっちに來てんだよ! 今、授業中だろ!

「ってあれ……?」

辺りを見渡してみる。席を立ってるのは鈴木だけじゃなった。あ、そうか今は休み時間か。授業が終わったことにも気づかなかった。さすがにそれはやばいだろうと自分で思った。授業の記憶がない。

「この前行ったときにもうはまっちゃってよ! 俺、あのデパート大好きだわ。何が良いのかってもう安いんだよ! 俺が行った店は安さだけじゃなくて質も良くってさ。あんないい買い初めてしたわ。だから一緒にいこうぜ! な? なんならヒカリちゃんも呼んでみんなでさ!」

鈴木のテンションが異常に高い。それはたぶん興するくらい良かったってことの表れだろう。そうだな。最近こいつらと遊ぶ機會がないから今週末くらい行ってもいいけど。

何もないよな? 脳サーチを行う。検索結果、一件あります。

「……あっ」

「鈴木、お前先にこの前貸した二千円返せよな。この前の買いでだいぶ使って今月厳しいんだ。まぁ、それでも康介が行くって言うなら俺も行くけどさ」

英人が俺に視線を向ける。期待してるような目。土曜日だろ? すまん、その日は無理なんだ。

「あー悪い。行けねぇわ、ごめん!」

両手を合わせて謝る。

「……他に何か予定があるのか?」

英人がけげんそうな表で俺に問いかける。

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