《小さなヒカリの語》65ページ目

こかもっと別の場所へ連れてってやりたい。今を楽しく過ごしたいとも言っていたし。

そうだ、日の丸デパートとかどうだろうか。

(こーちゃんすてきー私のためにつれていってくれるのー? だいすきーすきすきー)

妄想の世界にる。うん、悪くないかな。ただ、妄想するときは至福なんだが、終わった後に空虛さが押し寄せてきた。生産的じゃない思考をすぐに止め、俺も晝ごはん選びを始めることにした。ヒカリは小一時間ほど悩み続け、結局普通の弁當に落ち著いた。でも量は二箱。食い過ぎだっての。天気が良かったので、そのまま家には帰らず、公園のベンチに腰掛けて食べることにした。

日曜日の晝ということでいつも人気のないこの公園にも人がまばらにいる。早速弁當を開けて食べ始める。今時の子高生はダイエットで苦労してるっていうのに、ヒカリは好きなだけ食べたいものを食べている。その食べっぷりを見てし心配したが、楽観的なヒカリの雰囲気に心が和んだ。朝の気まずい狀態からよくここまでもってこれたものだ。よく食べるなと言うと、

「うん。その分力でエネルギーを消費するから」

ああ、と思った。そうだ、昔のヒカリはこんなに大食いじゃなかったはずだ。こういう所でも変わってしまったんだなとなぜか寂しくじた。

「なあ、ヒカリは辛くないのか?」

「え? 何が?」

しまった。今こんな時に聞くようなことじゃなかったな。今は楽しいだけで、それでいいはずだった。

「あっと、なんていうかその、いきなり言われたわけ……じゃん? 自分の家系が討魔師だからヒカリも討魔師になるんだよって急に言われて普通ははいそうですかってならないだろ。それをヒカリはけ止めてオウムと戦うようになったわけだから、やっぱどこかで辛い思いとかしてないのかなって」

「逆だよ」

「逆?」

「そう、逆。自分が討魔師の家系だと知った時、あああれはそうだったんだって納得したの。今までただ不思議でしかなかったこと、夢だと思っていたことが事実だと知って、変なじ納得したの。そりゃ訓練とか最初はきつかったけどね。でもそれは人を守るためだからってことでちゃんと心から理解してた。だから辛いというより、自分が弱いせいで人を守れなかったらどうしようって不安のほうが大きかったかな。今は……し辛いかな」

「どういうことだ? やっぱり辛いのか」

「いや、討魔師であることが辛いわけじゃないの。夢が事実であるってそのことが辛いの。いいよこーちゃんは知らなくて。私が私であるためにこれはとても大事なことだから。これがあるから私はここまで來れたって、そう思ってるから」

「……?」

「一人ごと。気にしないで」

そう言ってヒカリは俺に笑顔を向ける。そして食べ終えたらしく、一つ目の弁當をおいて、二つ目にと

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