《小さなヒカリの語》67ページ目

「じゃあ分かった。あんまり近づかないでね。天命を下せし君に誓う。我のために扉を開かれよ」

ヒカリの手のひらから強い風が吹く。バチバチバチッと空間にひびがる。ヒカリがそのをくぐった途端、俺の視界がノイズで揺れた。今まではあまり意識してなかったけど、扉を開いた時だけ異次元空間にいるヒカリの姿が見える俺は一瞬だけだがそういうことがあるらしい。眩暈はすぐに治った。まず確認したいこと。それは俺はその、見える範囲がどこまでなのかということだ。

「ヒカリはちょっとそこに立っていてくれ」

ヒカリからしずつ離れていく。4m、5m、7m、10m。目測だが、まだ10mじゃヒカリの姿は見える。俺はさらに下がっていく。12m、20m、30m。まだ全然見える。40m、50m、60m、埒があかないため思いっきり下がってみる。これで大150mくらいか? ん? 視界にノイズがる。どうやらここらが見える見えないの境界線らしい。それ以上下がっても見えない。俺はヒカリのいるところへ戻った。

「今、ヒカリと俺が違う空間にいる狀態の時、どこまで見えるのかを測ってた」

「へえ、何してるかと思ったらそういうことね」

ヒカリの姿も見えるし、聲もお互いに聞こえる。しかし、俺からヒカリにれることは出來ない。ヒカリから俺にれるときは、接用の力を使えばいい。それももう一度確認。

「ふれられない……よな」

と言いながらヒカリにふれようとするが、手は空をきる。やっぱり不可能。

「ちょっとこーちゃん、今どころうとしてた!?」

「別に変なとこってないだろ!」

……とか?」

「ないから!」

「えぇ? 私だってしは長したんだから、あるよぉ。ほら、し見てみる?」

「からかうな!」

「あははっ。やっぱこーちゃん面白い」

くすくすくす。まったく何が面白いんだか。こっちはまじめに知ろうとしてるのに。

「それで、こーちゃんは私のいる世界を知りたいんだよね。いいよしだけなら。來て」

ヒカリはもう一度呪文を唱え、空間に歪みを生じさせた。人間が通れるくらいになるのを待って、中にる。俺はその瞬間、もう一つの世界に足を踏みれたことになる。そして世界が変わった。とまではいかないが、俺の目に飛び込んできたものは。

「な、な、なんだこれ」

薄紫のものがぼんやりとだが、ところどころ點々としている。

「これはね、オウムのもととなるものなの。まだ度が濃ゆくなくて原型を留めてないから、これにはふれられない。この狀態からオウムが出來るには早くて數時間、遅くなる時はいつまでも出來ない。だから私たちはオウムが形された時にしかそれを発見できないし、前もって元を斷つことは出來ないの。だから討魔師はこれをいつも持ち歩いてる」

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