《小さなヒカリの語》85ページ目
言ってズボンのポケットをまさぐるが、攜帯はかばんの中に置き忘れてきたらしい。ヒカリの狀態が心配だが、ここは仕方ない。教室まで戻ろう。
「ちょっと待ってろヒカリ、すぐ戻るから」
「待ってこーちゃん」
ヒカリの聲に足を止める。
「そんなのいい、それよりカードを取って」
「カード?」
すぐにグラウンドにぽつんと落ちた一枚のカードを見つけた。
「これか?」
拾って、ヒカリの手に握りこませる。ヒカリは、
「顕現」
といつもとは違う弾まない聲でカードを頭上に掲げた。
すると、ポンっという軽い音の後にヒカリの手の中に細長い注が現れた。注には緑のがっている。
「それ、どうする気だよ!?」
俺が言うより先にヒカリの腕には針が刺さった。その姿に圧倒されて、何とも知らないが流れ終わるまで二の句をつむげずにいた。流し終えるとヒカリは、
「大丈夫、直によくなるから」
ややかすれた聲で言う。心配させないようにしてるんだろうか、無理に笑おうとしてる。人のことを心配してる場合じゃないだろ、馬鹿やろう。
「良くなるからって言ってもまだが出て……」
俺は言葉の途中で口をつぐんだ。見ると、ヒカリの腹部から流れ出てたはずのが止まっていた。服ごと貫通した傷の斷面も時間が経った後のように塞がっている。
「ねっ? だから、もう大丈夫、こーちゃんがそんな顔することない……っう、ぐっ」
無理に起き上がろうとするヒカリを慌てて抱え込むように支える。と、
「ふれ……られる……?」
ヒカリは驚きのを瞳に浮かべた。何かをヒカリは口走ったが俺には聞こえなかった。ヒカリは俺の腕から外れようとし、再び苦痛に顔を歪めた。いくら傷が塞がったとはいえ、こんな短時間で治すのはへの負擔が大きいに違いない。
「一度病院へ行ってちゃんと見てもらった方がいい」
取り返しがつかなくなる前に手を打たないと。後悔先に立たず。これでもしヒカリに何かあったら悔やんでも悔やみきれない。
「そんなの平気だよ、こーちゃんは気にしなくていいから。完全に回復するにはちょっぴり時間がかかるだけだから。それよりそろそろ授業に戻らないと怒られるよ?」
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