《小さなヒカリの語》98ページ目
普通に味い。昔食べた味を思い浮かべていたので、これはいいじに予想を裏切ってくれた。二個目にも箸をばす。ぱくっ。もぐもぐ。うん、味い。
「上手になったんだな。何か練習したのか?」
「ううん、練習する暇はなかったんだけど、こーちゃんのお母さんが丁寧に作り方を教えてくれたんだ。そのおかげでなんとかおいしく作れたんだよ!」
「へぇー」
時は人を変えるのか。この変わり方はいい方向。まあ、から揚げだもんな。何か手違いが起きない限りそう不味くはならない。三個目に箸をばす。これが最後。ん? あれ、何かおかしい。
「うっ」
食べた後で急に生ゴミのような臭いが押し寄せてきた。なんだこれ、吐きそう。ぐあああ、目が痛い。かたんと箸を落とす。右手が痺れてきた。寒気もしてくる。うおおお、頭がすごいふらふらしてきた。なんだこの虛は。の至るところが異常を告げてくる。耳からが垂れてきた。
「また作るね。今度はもっと多めに」
ヒカリは無邪気な顔で俺に微笑む。それを見てやめてくれとは言えず、俺はただ頷く。汗の量が半端ない。長い年月を経て、ヒカリの料理の腕前は進化していた。逆ベクトル方向に全力で。大きな悩みの種が一つ増え、俺は心の中で嘆息した。
「今日はここまでだね」
ヒカリが俺に練習の終了を告げる。
「今日はだめだめだな」
昨日のあれはまぐれだったのか? 今日は一発たりともヒカリの青い炎を抜くことは出來なかった。昨日オウムと戦ったときは出來たのに……なんでだ? 練習に弱く、本番に強いって言うなら聞こえもいいが、持続できないと意味がない。
「俺ってやっぱり才能ないな」
才能のある奴は良い結果を持続することが出來るのが俺の持論だ。やっぱり俺にはそれがない。
「明日も學校あるから早めに帰ろう? こーちゃんはどうしたいの?」
「そうだな。つめても続かないだろうし、今日はもう引き上げるか」
ヒカリはうんと頷いて、俺らは家路を急ぐことにした。辺りはすっかりの暗闇。夜の世界は普通の人間の活には適さない。科學の力を借りないと外も歩けない。今日は新月。電燈だけが家への道を照らしてくれる。學校とは反対方向に家から一キロの場所だから、帰るのにあまり時間はかからない。
帰ったらいつものようにシャワーを浴びて、あれから毎晩作ってくれるようになった母さんのレモネードを飲む。それがもう俺らの習慣として定著しつつあった。謝の気持ちも忘れてはいない。
「力を使ったから小腹が空いちゃったな」
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