《小さなヒカリの語》105ページ目
「靴下も4足セットで298円!これは買うしかないよ!」
「おお、でもこっち方が凄いぞ! このジャケットがなんと300円……すまん、3000円だった。まぁ、それでも十分安い!」
安いだけじゃなくて品もなかなかに良い。服のタグにはオール日本産の表記。ここまでくると々と余計な、業界の裏側の心配をしてしまいそうだ。そういう考えはよくないな。
「ねぇねぇこれとかどう思う?」
「すごくいいと思う」
ヒカリが著るならどんな服でもかわいい、とは口が裂けても言えない。ヒカリは一人で洋服を次々にしている。これかわいい、安い、ねぇこーちゃんなどと、ややテンションのあがったヒカリが店を行ったりきたりしている。の子の買いにはどうしても長いイメージがあるが、買いかごにどんどん突っ込んでいくヒカリを見ると、実はそうでもないのかもしれないという気分になる。はてさて、俺もプレゼント用の服を選ばないと。
「おっ、これもいい。このピンクのやつも似合うと思うが9800円!? 無理だ。俺には高くて買えない。もっと安くてそれでいてヒカリに似合うもの……」
と、の服をつかんで一人ぶつぶつ言っている男をはた目から見ると、単純に危ないなぁという客観的思考が働いた。誰も見てませんようにという願いを込めて俺は辺りを見回す。
が、みんながみんな自分の服探しに熱中していて、他人のことに干渉する暇はないといったじだ。よかった。自分もこのままの服をしていて大丈夫だと安心した時、
『ねぇ、ママ。なんかこの人危ないよぉー?』
『だめよ、見ちゃいけませんっ!』
振り向けば、そこには自分を侮蔑の目で見るの人とその子供が立っていた。あからさまに避けるようにして自分から離れていく。めちゃくちゃショックだ。そこまでしなくてもっていう正直な想。犯罪を犯してるわけじゃないんだから、もっと自分の行に自信を持とう。あれ、涙が出てきた。
気持ちのやり場のないやるせない事件に、神的に影響されながらも、俺はその後もの服をしていた。周りの目なんか気にしないというスタイル。実際変な目で見られたのはあの一回きりで、買う服は順調に絞り込めた。二回もあんなことされたら途中で心折れてただろうけど。プレゼントの服をレジできれいな包みに包んでもらって、あとはヒカリが買い終わるのを待った。五分もせずにヒカリが大袋を持って近づいてきたので、俺はプレゼントを差し出した。
「はい、これ」
「えっ?」
「今日はヒカリの誕生日だろ? 俺なりにヒカリに似合いそうな服を選んでみた」
言うと、ヒカリは目をふるふるさせて俺を見上げた。
「お、覚えてくれてたんだ! もう忘れちゃってると思ってたのに」
「忘れるはずがないだろ。昔って言ってもずっと一緒にいたんだから」
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