《まちがいなく、僕の青春ラブコメは実況されている》第2章 僕は、風になりたい。6
「――すみませんでした」
もう何度目かわからない謝罪の言葉を僕は重ねた。
眼前には、陸上部の部長である三年の先輩が冷めた形相で立っていた。
もうかれこれ30分近く、僕はこの先輩と相対している。
もはや、辺りは暗くなり始め、遠くで「夕焼け小焼け」が聞こえた。
先輩は、盛大にため息をつくと、
「乙幡って言ったよな? やはり解せんのだが……なぜこんなことをした?」
ちょっと可そうなものを見るような目で聞いてきた。
すべて伊達さんという浮遊霊のせいです、などと言えるはずもなく、ただ神妙に答える。
「すみませんでした」
「俺が発見しなかったら、マジでおまえどうするつもりだったんだ?」
先輩、ごもっともです。僕自も思います。
「はい、本當にすみませんでした!」
頭を下げると、グルグルにテーピングされた両足が視界にった。
結論から言うと、オーバーヘッドは大失敗だった。
というより、オーバーヘッド以前の問題だった。
走り高跳び用のマットの上で、落下してくるサッカーボールめがけ、僕はジャンプを……そもそも、できなかったのだ。
まず、踏み切った左足が自重のせいかマットに深く埋まり、かつ、そこでしたたかに足をひねった。一方、振り上げたつもりの右足の方にも、ふくらはぎ辺りに激痛が走った。悲しいかな、つったのだ。きっと、運不足のせいだと思う。
左右の足を同時に痛め、僕はひっくり返ったカエルのように仰向けになり、さらに自重のせいでを中心にマットにも沈み込んでいき、いわゆる恥ずかし固めのような格好でけなくなったのだ。両足の痛みのため、勢を立て直すこともマットから出することもままならず、小さくうめくことしかできなかった……。
結局、たまたまテスト前だがかに自主練していた先輩がロードワークから校庭に戻ってきた際、マットが出されていることを不審に思い、き取れなくなっていた僕を発見してくれたというのが事の顛末だった。
本當に先輩が発見してくれなかったらと思うとゾッとする。
ただ、先輩も恥ずかし固めのような恰好でけなくなった僕を見た瞬間、ちょっと戦慄していた……。
「――なぜ、こうなった……てか、なにがしてえんだ、デブ」
と冷たい視線が語っている気がした。
しかし、先輩はすぐに僕を引きずるようにし救出すると、部室からテーピングを持って戻ってくると、説教しつつも僕の両足にテーピングを施してくれた。人のやさしさがこんなにも切なかったのは初めてだ。
―――今回も、痛かったし、イタかった。いろんな意味で……。
最後まで解せない表だった先輩も、明日はテストだからとまもなく解放してくれた。
不幸中の幸いは、今回の目撃者が先輩ただひとりだったことだ。
きっと、やさしい先輩のこと、この謎の一年のデブの奇行など、一笑に付して忘れてくれるにちがいない。多分……いや、きっと……。
ちなみに僕がマットに埋まりけなくなっていた時、伊達さんはどうしていたかというと、やはりその狀況すら嬉々として実況していて、
『おっと! 乙幡、足をひねったか⁉ あるいは、つったのか? 乙幡、苦悶の表であります! そして、マットにどんどんと部から吸い込まれていくぞ! まさに、蟻地獄ならぬマット地獄であります! 果たして乙幡は、このマット地獄から無事生還できるんでありましょうか!?』
とか、訳の分からないことをまくしたてていた……。
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