《まちがいなく、僕の青春ラブコメは実況されている》第2章 僕は、風になりたい。7
翌日、期末テスト當日。
よっぽど休もうかとも思ったが、テストがあるため、僕はテーピングされた両腳を引きずるようにし、なんとか登校し教室にった。
と、またなにやらクラスの視線をじる。
僕はその視線を避けるように顔を伏せ、問題集を取り出すと一限のテストまでの間、その問題集に集中し、この場をやり過ごそうと試みた。
が、次の瞬間、まさかの囁きが聞こえ、愕然とした。
「アイツ、昨日の放課後、走り高跳びのマットに埋まってたらしいぜ」
「あのデブ、テスト前日になにやってんだよ……完璧、頭おかしいな」
「なんか、オーバーヘッドキック? しようとしてたっぽいって」
「で、マットに埋まったの? プッ……マジで? おもろすぎでしょ!」
「ダメだよ、笑ったら頭おかしい嫌がらせされるかもしれないよ!」
先輩、信じてたのに……。
僕はバレないように問題集で顔を隠しながら、しだけ泣いた。
◇
あれから一週間が経った。
今日は一學期の終業式だ。
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そして僕は今、全校生徒とともに育館に整列している。
校長先生の話の真っ最中だった。
あれから、クラスの僕の評価は、完全に「ヤベえデブ」または「頭おかしいデブ」さらには一周まわって「かわいそうなデブ」に定著しつつあった……。そんな評判も相まって、三つの誓いを果たすまでもなく、僕はクラスで完全に孤立し、忌の対象にすらなっていた。
當然、められもせず、結果的にだが、學當初の狙い通りの狀況にはなっていたのだけど、空気のような存在という當初のコンセプトからは大きくかけ離れ、ヤバすぎてめることすら躊躇ためらわれる存在という、なんとも明後日の方向に僕のクラスチェンジが起きていた。しかも、たったこの一、二週間で。
無駄に整理すれば、こんなじだ。
奇行一、廊下でいきなり倒れ、病院に急搬送される。
奇行二、それを心配した新垣さんを、意味不明に怒鳴って泣かせる。
奇行三、放課後の育館でスラムダンクを決めようとし、ロイター板を大破させる。
奇行四、放課後の校庭でオーバーヘッドを決めようとし、マットに埋まりけなくなる。
さらに不気味さを助長するように、普段はほぼしゃべらない。かつ、デブだ。
ぶっちゃけ自分でも、こんな短期間に奇行を繰り返すデブとは話したくない。
いや、會話どころかあらゆる接も避けたいと願うだろう。
こうなった原因。それは、いたってシンプルだ。
そう、今現在も僕の頭の中に鳴り響いている、伊達さんの実況だ。
もう一週間以上聞いているので慣れてもよさそうなものだが、やはり一向に慣れない……。
『――都立南北高校育館は、只今、厳かな雰囲気に包まれております。業を終わらせると書きまして、終業。そう、ただ今、終業式の真っ最中なわけであります。現在、壇上では一際輝くスキンヘッドが眩しい、英語で言うところのプリンシパル、校長先生がこれから始まる夏休みについての諸注意など、正直、どうでもいい話をしているわけであります。一方の生徒たちはと言いますと、おそらく去年とほぼ同じコピー&ペーストの校長の話に辟易といったじでありまして、おそらくその頭の中には、もはや眼前に迫った夏休みのことしかないといった狀況でありましょう。この夏休みを、いかにして過ごすか? 海か、山か、あるいはプールか? もし彼氏や彼がいるのであれば、ひと夏の思い出作りはもちろん、できれば一線を超えたい、そんなスケベも見え隠れする思春期であります。當然、我らが乙幡剛も、この長い夏休みの間に、いかにして貞を卒業するかという一事で頭も間もパンパン・・・・なわけであります』
この実況の最後のくだりに、僕はたまらず吹いた。
育館は靜まり返っていたので、僕は自然と目立ってしまい、注目を浴びた。
壇上の校長も、骨に僕を睨んできた。左右に並ぶクラスメイトも「おいおい、またあのデブかよ……」的な若干引き気味の視線を投げかけてくる。
僕はいたたまれなくなり、小さく一禮し謝意を示した。
そして、心の中で伊達さんに抗議する。
頼みますから、こういうタイミングでぶっこむような実況はやめてください!
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