《まちがいなく、僕の青春ラブコメは実況されている》第3章 僕は、普通の夏休みを過ごしたい。4
「「――ごめんなさい!」」
僕の第一聲は、再び新垣さんの第一聲とまさかのシンクロをした。
それに驚き、僕は言葉とともに下げた頭を上げることができなくなった。
今、新垣さんはいったいどんな表をしているだろうか?
それでも、僕はちゃんと告げようと、思い切って顔を上げ口を開いた。
「こっ、この前のこと……ごめんなさい! 新垣さんは何ひとつ悪くないのに、いきなりんだりして本當にごめん! 耳は聞こえるし、僕のは本當に何ともないんだ!」
新垣さんは僕の言葉が意外だったのか、一瞬、驚いた表を浮かべた。直後、またその表を戻すと、
「いいえ、こっちこそ。この前は、ごめんなさい。それから、急に泣いたりして。あれじゃ、まるで乙幡くんが悪者みたいだったよね? 本當に悪いのは私の方だったのに……。もっと早く謝るタイミングがあればよかったんだけど、夏休みになっちゃって……本當にごめんなさい」
と話し、なんと頭まで下げられてしまった。
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「いっ、いや……元はと言えば、急に倒れた僕が悪いわけで。そ、それに……急搬送された時も覚えてないけど、きっと新垣さんには相當迷かけたと思うし、その、本當に……」
すると、新垣さんがうつむき黙った……かと思うと、破顔し、小さく笑った。
えっ……またなにかやらかした、僕?
心の中に焦りが広がった頃、
「――ごめんごめん。なんか急におかしくなっちゃって。乙幡くんって……思ってたりより案外、普通の人なんだなって」
「普通の、人?」
「あっ、ちょっと言ってる意味わかんないよね? じつはね……あの後、乙幡くんのちょっとした噂を聞いてね。乙幡くんて、ひょっとしてかなり変わった人なのかなって……思ってたんだよね」
やはり、僕の奇行の噂は新垣さんにまで……。
「だから、さっきも謝る時、心ちょっと張してたんだよね。でも、こうして話してみると、全然、普通の人だなって。そしたら、ホッとしちゃって、不思議と笑いが込み上げて來ちゃってね……ごめんね、急に笑ったりして」
々と腑に落ちてしまった。伊達さんが取り憑いて以來の僕の奇行は、さぞクラスメイトにも、當然、新垣さんにも不自然極まりなく映ったはずだ。いや、むしろ、今日こうやってよく僕とふたりで話をしてくれたよな……。
新垣さんのことだから、クラス委員てことも意識して、ひとりで罪悪を抱えてたのかも……本當に悪いことしちゃったな……。
『なにはともあれ、雨降って地固まったようであります。乙幡剛がここ最近行ってきた數々の奇行によってけた誤解が、今、春雪のように氷解していこうとしているわけであります!』
いやいや、ほぼほぼあんたのせいで被った誤解なんですが……。
そのツッコミは、心のに止めた。伊達さんには聞こえてるだろうけど。
すると、新垣さんがまた不安そうな表を浮かべた。
「ねえ……乙幡くん、怒って……ないよね?」
「いっ、いやいやいや! 全然全然、怒ってなから! 本當に‼」
僕は必死になって否定した。
「よかったー」
いかんいかん、新垣さんをまた不安にさせてしまった。
極力、伊達さんの実況は無視するよう今一度、會話に集中するよう心がける。
「ねえ、乙幡くんはこの夏休み、どう過ごすの?」
僕はどう答えるべきか迷ったが、また黙ると新垣さんを不安にさせると思い、正直に答えた。
「ま、まだ……特に予定は……」
「そっか……。私はね、家族で海外に行くんだよねー♪ だから、コレ買いに來たんだ」
と、新垣さんはドラッグストアの袋を指差した。
「そういえば、乙幡くん家族は?」
「えっと……僕、両親いないんだよね。両方とも亡くしてて……」
「ご、ごめんなさい! 私、知らなくて……」
「いや、今は母方のおばさん家でそれなりに暮らしてるから……」
また重たい空気になってしまい、新垣さんも次の言葉が出ないようだった。
『何か話せ、話すんだ! 乙幡剛! こんなチャンス滅多にないぞ! 新垣さんの誕生日、趣味、好きな食べ、飲み、場所、異のタイプ、あるいは攜帯番號、LINE、新垣さんと次に繋がる報を引き出せ! がんばれ、一歩踏み出せ! 乙幡剛‼』
沈黙の最中、頭に伊達さんの実況だけがこだまし、僕は冷や汗を浮かべる。
いやいやいや、無理無理無理!
新垣さんの攜帯とかLINEなんて……おこがましいにも程があるよ。
『なんてチキンだ、乙幡剛! 一言、新垣さんLINE教えてとなぜ言えないんでありましょうか? さあ、言うんだ! そして、貞卒業への足がかりをつかめ、この貞野郎‼』 
僕は伊達さんの実況を振り払うかのように頭を振った。
「……大丈夫? 乙幡くん」
「だ、大丈夫! 伊達さんがちょっと……」
「……伊達さん?」
しまった! 伊達さんと思わず口走ってしまった……。
『なにやってるんだ、乙幡剛!』
「えっと……伊達……山? 伊達山……っていう山に登ろうかなって……この夏。伊達政宗の伊達に山って書く」
『苦しい言い訳であります!』
「へぇー、そんな山あるんだ……どの県?」
「えっと……宮城とか山形とか青森とか……多分、その辺?」
「……東北の方?」
「そうそう! 多分、東北の方かな……テレビで見て……」
『新垣さんの頭にクエスチョンマークが何個も浮かんでいるぞ! 乙幡剛‼』
またしばしの沈黙が流れた。
そして、
「――そろそろ、行こっかな」
という彼の一言で、僕らの対話はあっけなく終わった。
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