《まちがいなく、僕の青春ラブコメは実況されている》第4章 僕は、強くなりたい。1

『全國1000萬の伊達一郎実況ファンのみなさま、おはようございます! さあ、ついに我らが乙幡剛が生まれ変わる朝がやって來たわけであります! 布団をかぶってる場合じゃないわけであります! 惰眠をむさぼっている場合じゃないわけであります!! プロレス文脈で言うところの「時は來た! それだけだ!」といった趣き。そう本日から、私、伊達がプロデュースいたします、乙幡剛改造計畫、通稱、乙幡剛、若虎ヤングタイガー計畫が始するわけであります! そのために、本日これから乙幡剛には、私、伊達の指示に逐一従っていただきたいわけであります! わかったら、元気よく返事していただきたい‼』

「……なんです? 朝っぱらから……もうちょっと寢させて――」

『――元気ですか―――――――――――――――――――――――――!』

「あぁ〜、もう、うるさいですよ……わかりました、わかりましたよ……起きればいいんでしょ?」

例によって、今朝も伊達さんの実況に起こされた。

伊達さんは、さらにまくしたてるようにぶ。

『さあ、まずはシャワーを浴び、顔を洗って出直して來るのであります!』

「……はいはい、わかりましたよ」

もう抵抗するのも面倒くさくなり、僕は大人しくシャワーを浴びに行く。

浴び終えると今度は、なぜかジャージに著替えるよう促された。さらに、なぜか牛丼屋で朝食にを食べろと言われ、しまいには電車に乗って某駅に行けと指示された。しでも抵抗するとうるさくて仕方ないので、僕は渋々その指示に従った。

いったい、目指す駅に何があるんだ?

そもそも、作戦とか言ってるけど、何を企んでいるんだろう?

まさか、自分の墓參りとか⁉

いやいや、四十九日もまだ過ぎてないはずだし……。

まったく伊達さんの意図が読めぬまま、言われるがまま電車に揺られていた。

まあ、家にいたとしても昨日のことをまた何度も思い出し、悶々としてしまいそうだったから返ってよかったかもしれない。そういうことにしておこう。

と、ここまでの僕は比較的ポジティブに考えていた。

が、この日これからの出來事が、僕の夏休みをあさっての方向に導くことになる……。

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