六花とあーちゃんの修羅場がひとまず収まったところで最後は月だった。

毎回思うのだが――なぜ、月まで？お前男だろ。

「お前……なんか楽しそうだな」

誰が見ても明らかなのだが、表が華やいでいる。

「そうかな～？フフ～ン♪」

おまけに鼻歌まで歌っていた。

――もしかしてホモなの？

それになんか違和があるなと思っていたが、よく見たら月の服裝……

「なんで子の服著てるんだ？」

「え、えーと…可いかなって思って……」

と、急に指摘されて恥ずかしくなったのか、月の顔がみるみるうちに赤く染まっていった。

――やっぱり……そうだったのか？！

でも、まぁ外見はどちらかというと子だし、服裝も割と似合っていて可い。正直なところ……タイプかも。

「そ、そんなに……ジロジロ見ないでよ…ね？」

月は上目遣いで顔を真っ赤にしたままそう言った。

俺は自分でも気づかないうちに見とれていたらしい。

「お、おう……わりぃ」

もうノックアウト寸前だわ。

何かに目覚めてしまいそうな予がした。

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「それにしても後の3時間何しよっか？」

「そうだな……ホテルにでも戻るか？」

あーちゃんが変なことを言い出したため、予定より1時間早く月とゲーセンイチャラブデートが始まってしまった。

ひと通りは遊んだし、殘りの時間が暇だ。

――俺自はホテルに戻りたいんだけどなぁ。だって、ゲーセンに來ている客（主に男）からめっちゃ睨まれてるよ。リア充じゃないからね！

「ホテルにはまだ戻りたくない」

月がし寂しげな表でそう言った。

「分かった。しそこのベンチで座って待っとけ。何か飲みでも買ってくるから」

俺は月にそう言い殘し、飲みを買いに近くの自販機へ向かった。

それから約10分後のことである。

なぜか近くに自販機がなかったのでし離れた場所まで行っていた。

急いで月のところに戻ってくると何やら悲鳴が聞こえた。

「は、離してください！」

「いいじゃんかよぉー。俺たちとどこか遊びに行こうよぉー」

いかにも臺本が用意されてるのではないかと思いたくなるような発言を月にまとわりつくヤンキーたちが言っていた。

見るじでは完全にナンパである。

――でも、ナンパにしては強引過ぎねぇか？こんなに嫌がってるのに。

周りの人もなぜ助けないんだろうかと思ったが――なるほど。ゲームの音がデカすぎて會話の容が聞こえないのか。

「おまたせ！……あれ？そちらさんは知り合いか？」

俺は何食わぬ顔で月の元へ駆け寄って行った。

「しょーたぁー……ぐすん」

月は俺の存在に気づくと、まるでの子のように泣きながら俺のに抱き著いてきた。

――おぉ……もう月のこと好きになりそうだ……。

「なんだてめぇは？」

一方でヤンキーの方々は拳をポキポキ鳴らしながら厳つい顔をしていた。

――敵は3人か…………………………オワタナ。

「俺は…………」

――あれ？俺は月のなんて言えば、この狀況から逃れられるのだろうか？知り合い？友だち？それとも……

「翔太くんは…………わ、私の彼氏です！」

「お、おおおい！」

俺が思うところ1番言ってはいけないことを発言した月。

こういう奴らにはリア充という生きが1番憎い。

だから、ヤンキーの方々も表が……

「……彼氏……だと？」

「え、あ、ち、違うというか……」

俺は自分でも何を言っているのか分からないが、弁解しようとした。

ヤンキーの方々は俺の目をじっと見つめている。

――ああ。なんてついてないんだろう。

俺は覚悟を決めた。

――もう……やるしかないか。

「……そうか。邪魔をして悪かったな」

「え？」

――あれ？予想していた場面と違うぞ？聞き間違いか？

「デート楽しめよお」

でも、どうやら聞き間違いではなかったらしく、俺たちに笑顔を見せて、この場を立ち去って行った。

ヤンキーの方々の姿が見えなくなったあと、俺はけなくも、腰を抜かしてしまった。

「だ、大丈夫？！」

「あ、ああ。それより月は？」

「私も大丈夫だけど……何だったんだろうね？」

本當にそれだ。

ボコされるかと思い、をくして構えていたのに。

どうやら大阪のヤンキーの方々は優しいのかもしれない。