《俺の高校生活がラブコメ的な狀況になっている件》第50話 文化祭【後編】
忙しかった晝食時も過ぎ、一段落したあと。
俺は六花から休憩をもらった。『後のことは私とちゃんでやっとくから』ということでユキと二人で追い出されるじで。
「なぁ、こうして二人で歩くのって初めてじゃないか?」
俺とユキは桜並木の下を何気なくトコトコ歩いているが、二人でゆっくり歩くのは俺の記憶上初めてだ。
そのことに関してはユキも同じ想らしく、し頬を赤くしながら、そうだねと頷く。
こうして兄妹仲良くするのもいいなぁという思いに浸っていると、前方に人集りができていた。
「お兄ちゃん、あれなに?」
ユキも人集りが気になるのか、行こ行こと言って俺の制服の裾を引っ張っる。
俺は正直そんな人集りよりも裾をちょこんと摘んで引っ張っるユキの可い仕草が気になるが……それをニヤニヤしながらマジマジと見ていたら、まで摘まれてしまった……――イタイイタイ!
「お兄ちゃん気持ち悪いっ!」
どうやら気づかれてたみたい……。
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とうとうユキも反抗期になってしまったかと心の中で落ち込んでいるのもつかの間、もう無理やり人集りの方へ連れてかれる俺。
「お兄ちゃん見えない……」
「じゃあ、肩車を……って、すね蹴るな!」
せっかく肩車してあげようと思ったのだが、照れ屋さんなのか俺のすねを何度も蹴るユキ。
ユキちゃん!そんなにお兄ちゃんのすね蹴ると立てなくなっちゃうよ……。それとも最近の妹はこんなもんなのか?妹がいる友だちにでも……って、俺友だちそもそもいなかったわwwwwww……はぁ……自分で自分が悲しくなってきた。俺……いつから緒不安定になった?
「お兄ちゃんがつま先立ちして覗いて!」
「へいへい……」
俺はユキの言う通りに人集りをつま先立ちして上から覗く。
「あ。……え?」
「どうしたの?今の『あ。』ってなんですかぁ?」
「いや、ちょっと……説明が難しい」
俺は見た景をなんて言えばいいものかと考えた。
実際に俺が見たのは月らしき人が人集りの恐らく中心人でそこからが問題なんだが、服裝が……アウト。何がアウトなんだって思うだろうが、とにかくアウトなんだ!月が著ていた服はそれはそれは可いメイド服でリアリティを求めたのか、には微かな膨らみまであった。
俺はメイドさんが好きだ。
いきなり何を言ってんだと思うかもしれないが、みんなにも好きなものとかあるよね?俺はメイドさんが好きだ。
俺がメイドさん好きになってしまったのはアニメの影響が大きい。アニメではよくメイドさんは誰かの世話係や雑用係といった役割が多い。俺はそんな場面をアニメで見てなんというか……説明が難しいが…………えーと……まぁ、なんか萌えた。とにかく萌えた。それ以來、俺は將來かに六花とユキにメイド服を著せたいと思っている。以上!
……って、なんの話だったかな?
「ウチ見てくる!」
「え、何を?」
「何をって、お兄ちゃんが見たやつ」
「あーあ……気をつけろよ」
メイドさんのことを熱弁していたせいもあって、すっかり忘れていた。
人集りの中心にいたのはメイド姿になった月で間違いない。
人集りがいなくなったら直接本人にでも聞いてみるか。『なぜメイドさんの格好をしているのか?』とか『寫真撮らせて?』とか……って、最後の『寫真撮らせて?』はダメだろ……。月は男だ。正真正銘の男だ。俺はが好きだ。本當に……男の娘でもいいかも……とか思ってないんだからね!
◆❖◇◇❖◆
何かに目覚めかけていたその頃。
「お兄ちゃん?大丈夫?」
「お、おう……」
俺はぼぉーっとしていたのか人集りが消えていたことにすら気づいていなかった。
それより月はどこだろうと先ほどまで人集りがあった場所を見ると、疲れ果てた月が地べたにの子座りをしていた。
「大丈夫か?」
俺は傍まで歩み寄り、腰を下ろす。
「え……あ、うん!大丈夫」
月は俺の存在に驚いた表をしたが、すぐさまに表を隠すように俯いてしまった。
「は、初めまして!」
「え?初めましてじゃないだろ」
かと思えば、いきなりの他人行儀。
あらら……月ったら裝趣味があることを隠そうとしているのかしらん……。
理由は分からんが……いや、なんとなく分かるが、隠そうとしても今からではもう遅い。
「月だろ?」
「いいえ、私は月の雙子の妹の水姫です」
「……分かりずれぇ……」
ちょっと月の両親!雙子だから同じような名前を付けたんだと思うけど分かりにくいよ!文字で表せば分かるけど、口で名前を言われた時は若干のイントネーションの違いで判別しなきゃならないじゃないですか!……と、思ってはみたものの……やっぱりどう見ても水姫=月にしか見えない。すなわち、雙子という設定はウソでどちらも月だと思うが……。
「月だよな?」
「いいえ、水姫です」
「おーい月?」
「水姫です!」
何度か名前を呼んでみたが……頑固だ。
なんとしてでも自分を水姫と言い張る月。
もぉ……どうでもいいや。水姫だろうが月だろうが面倒くさくなってきた。
俺はスっと立ち上がると、水姫に手を差しべた。
水姫は俺の行に一瞬目を丸くしたが、素直に手を取り立ち上がる。
その時の水姫の手はやはり月の手のと同じだったが……雙子ということもあり似ているのだろうと思うことにした。
「翔太くん、ありがとうございます!」
「いや、別に」
なんかつい素っ気ないじになってしまった。
いや、だって、水姫ちゃんのメイド姿可いんだもん!もう直視できないし、目も合わせられないよ!
「あ、あの……これ良かったら……」
なんだ?お禮なんかいいのにと思いながら差し出されたものを見ると……広告のチラシだった。容は……俺のクラスでメイド喫茶をやってるという……って、これ俺のクラスの出しじゃねぇか!俺には全然この話聞かされなかったんだが……。え?みんな知ってたの?俺だけ?HAHAHA……ぼっちを極めるとクラス中からハブられるんだな。
「……やっぱり月だよな?」
こんなの渡すやつなんて月しかいない!
というか、月の雙子の妹が俺のクラスにいた覚えがない。……まぁ、もともとからクラスの人の名前なんて覚えちゃいないが。
「違います!何度言わせたら分かるの?このバカ!」
とうとう怒っちゃいましたよ……。
水姫はプンスカ言いながら校舎へとって行った。
途中、校舎手前のちょっとした段差につまづいたのは見なかったことにしよう。
「あーあ。お兄ちゃん怒らせちゃったねぇ~」
今までどこに行ってたか、ユキが俺の元に戻ってくるなり、訝しんだ目でそう言った。
「なんだよその目は……。別になんにもしてないぞ?」
「ふふーん……どうだか?」
「もういい!帰る!」
「ちょ、ちょっと待ってよ!お兄ちゃん!」
長くて短かった文化祭も無事に終わることができた。
最後はユキと可いメイド服を見に、メイド喫茶に行ったり、屋臺で食べを買い食いしたりと、まぁまぁ楽しい一日になった。
この時間がずっと続けばいいのに……と、不覚にも心の中でそう思ってしまった。
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