《俺の高校生活がラブコメ的な狀況になっている件》第75話 今年の始まり

「遅かったじゃない」

「すまん。ちょっといろいろあってな」

出店で買いを済ませた俺たちは參拝客の列に並んでいる六花たちのところへ戻ってきた。

戻ってくるなり、六花は何やら不満そうな表で俺にブツブツと文句を言ってくる。

「本當にすまん。これ」

俺は六花の機嫌を治そうとりんご飴を差し出した。

前に夏祭りで一緒に行った時りんご飴が大好と聞いていたからこれでしは機嫌が良くなるだろう。

「…これで機嫌が治るとでも?」

「え?!…あ、いや…」

ヤバい。

俺の考えが甘すぎたのか、すぐに魂膽を見破られてしまった。

どうしようかと言い淀んでいるとすかさずユキが助け舟を出してくれた。

「でも月ちゃんと一緒に行かせたのは六花ちゃわだよね?」

「そ、それはそうだけど…」

たしかにそれはそうだ。

六花の言葉で俺は月と一緒に出店に行くことになった。

これには六花も何も言えず、ただ俺を睨みつけるばかり。

ーー怖いよ…。

「それになんで六花ちゃんはそんなに怒ってるの?」

「お、怒ってないわよ…。ただ機嫌が…」

「それを怒ってるって言うんじゃないの?」

ユキのさらなる追撃に黙り込んでしまった六花。

下を俯き、目線は俺から地面へと変わり、とても悲しそうな目をしていた。

ユキの言っていることはたぶん図星なのだろう。

「もしかしてだけど…お兄ちゃんのことが好き?」

「は?!そ、そんなわけないだろ!」

ユキの言葉を聞いて、なぜか否定をする俺。

今の質問は當然六花に向けてのものなので、ユキや月、からは「お前は黙れ!」みたいな目で睨みつけられた…すみません。

「で、六花ちゃんどうなの?」

コホンコホンと咳払いをしたユキは再び六花に問いかけた。

六花は相変わらず下を向いたままで表こそはよく見えないが、りんご飴を握っている手は微かに震えていた。

「私は…」

「あのさ、別に言わせなくてもいいんじゃないか?」

俺は六花の言葉を遮るようなじでユキたちにそう言った。

六花は途中で言葉を遮られたことに驚いているのか今まで下に向けていた顔を俺の方へ向ける。

「なんで?この際ハッキリさせた方がお兄ちゃんにとってもいいでしょ?」

ユキは尚も言わせたいらしい。

俺だって知りたい。

六花が俺のことをどう思ってるのか気になるし。

だが、だからと言って無理に本人の口から言わせるのはどうだろうか。

俺としてはこのような狀況で仮に「好き」と言われても嬉しくない。

それにこんな人が多いところで告白なんて俺だったら無理!

「気にはなるが…お前だったらこんな人が多いところで告白なんてできるのか?」

「できるよ。お兄ちゃん大好き!」

「ブラコンはやめろ」

「え~…でも、お兄ちゃんだけどさえあれば関係ないよねっ!☆」

パチリとウインクをかましてきたユキ。

俺も負けじとそれに対抗する。

があってもお兄ちゃんだから関係あるよねっ!☆」

パチリとウインクをかました瞬間、ユキたちはなぜか嗚咽した。

橫を見れば、六花までも嗚咽。

「お前ら酷くねぇか?!」

俺は堪らず抗議する。

本當に俺の扱いが酷い。

「本當ないわ~」

「しょーくんのウインクは本當に気持ち悪いですね」

「もう二度としないで」

「翔太くん…ちょっとそれはね…」

ユキ、六花、月が次々と俺の心をえぐっていく。

俺はもう今にでも泣きそうな思いでそれを聞きる。

だけど、これでいいのかもしれない…いや、これでいい。

俺の言をネタにして、いつの間にかあんなにギクシャクしていた空気も変わり、六花とユキは仲良くなっている。

まぁ、元から仲がいいから俺が犠牲になってまで仲直りさせる必要はなかったが。

「しょーくん何ぼーっとしてるの?」

「ああ、悪い」

気がつけば六花たちは前に進んでいた。

六花たちに手を振られ、それに答えるかのように俺は前に進む。

ーーもうすぐで俺たちの番だ。

前に並んでいる參拝客も殘りわずか。

これが終われば今日は終わり。

家に帰れば、いつもの日常になる。

「…今年もいい年になりますように…」

「しょーくん、まだ本殿にもってないよ?」

「うるせ!」

普通に六花にツッコまれた。

ここはスルーしてほしかった。

でないと、今ものすごく恥ずかしい!

「今年もよろしね」

六花は手に持っていたりんご飴で口元を隠すように俺にしか聞こえない聲でそう呟いた。

「…ああ、こちらこそな!」

今年も楽しくなりそうだ!

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