《突然不死という最強の能力に目覚めちゃいました》迷子の2

玲は眠ったままのめいを連れ第4區中央警察署に來ていた。署は鈴音の職場という事もあり何度も訪れたことがある。そこに働いている半分以上はもう顔見知りだ。

「お!玲くんじゃん久しぶり大きくなったな」

1人の男が玲に話しかけてきた。

「鈴木さんお久しぶりです相変わらず元気そうですね」

「まあね大きい怪我もなくやってるよ。そう言う玲くんも元気そうで何よりだよ。それよりほんと久しぶりだよねいつぶりだっけ?」

「俺がまだ中1だったんで3年ぶりくらいですね」

「そうか3年も経つのか、もうこの歳になると時間が経つのが早くていけないよ」

「何すかそれ、なんかおっさんぽいっすね」

冗談じりに話す鈴木さんに玲も笑いながら返す。

「それより今日はどんな用で來たんだい?」

軽い挨拶が済んだところで鈴木さんは玲の背中のを気にしながら本題を聴いて來た。

「あー、沙希が落とした財布がここに屆いたみたいだから取りに來たんですよ、あとついでに迷子拾ったからそれを屆けに」

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玲は首で背中で寢ているめいを差した。

それを聴いた鈴木さんはニコニコと笑いながらまたもや冗談じりに返して來た。

「君は相変わらずだね、昔っから妹さんのに敷かれてるっていうか言いなりというか。まぁそれは良いけどさ、それより「ついで」の方が問題だよね迷子はいろいろ大変だからね特に子守とか」

「ですよね」

玲もその大変さはつくづく理解しているつもりだ。玲は苦笑いでそれに同意しする。

「まぁいろいろ話聞きたいからとりあえず場所変えよっか」

玲は鈴木さんに連れられエントランスの奧にある応接室へと向かった。応接室の中は長機を挾みパイプ椅子2つと人男3人程が座れる小さな黒いソファーが置かれている。

鈴木さんはパイプ椅子に座る。玲は背中のめいをソファーにそっと降ろしその橫に腰掛ける。

「じゃあ、とりあえずその子起こすのも悪いし玲くんの知ってる報教えてもらえるかな?」

鈴木さんは機にメモを取るための紙とペンを出し玲に尋ねてきた。玲は隠す事なく自分の知ってること全てを話す。

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「なるほどね・・・」

一通り話を聴き終えた鈴木さんは事態がそんなに深刻ではないとわかったのか安堵の息をらした。

「良かった、これならそんなに時間もかからず見つかりそうだよ」

「そうですかそれは良かったっすね。でもどうしてそんなこと分かるんですか?」

玲は鈴木さんの言葉にし安心し、それと同時に疑問も出て來た。玲が話したのは、めいと會ってからのたった30分程度の事だけだ。鈴木さんはそれだけの報でなぜそんな事が分かったのか玲には分からなかった。

「あぁ、簡単な事だよその子の能力だよ。「瞬間移」珍しい能力だからね、検索かけても4000くらいしか出て來ないんだよ」

鈴木さんはバックからパソコンを取り出し「カタカタッ」と素早く何かを打ち込み玲に見せた。

「これ何ですか?」

見せられた畫面には検索欄に「瞬間移」と書かれている、その下に分証のようなものがズラリと並んでおり畫面下には3946件と數字が書かれている。

「これは國が管理している國民のデータだよ。現在アルバスで暮らしている5000萬人以上のデータがここにつまっているんだよね〜。ちなみにこれは國の瞬間移能力者、4000人くらいだから彼が覚醒でもない限り1.2時間で元わかると思うよ」

「こっわ、てかこれ住所とか書いてあるし普通に部外者に見せちゃ駄目だろ」

本気で怖いんだけど國が管理してるってのは何となく知ってたから良いけど、こんなホイホイ人に見せるとか本気までありえないだろ個人報ダダれじゃん。

「部外者って言っても君は信頼出來るからね。もちろん普通は部外者には絶対に見せないけどね」

鈴木さんは玲を褒め何とか誤魔化そうと試みたようだがその作戦は玲の前にアッサリと撃沈した。

「絶対見せないとか言ってるけど、それ見せられてから言われても信頼ゼロですけどね。まぁそんなこと今更考えても遅いか。それより話変わるんですけど能力で検索かけるより名前れた方が早くないですか?」

データにはもちろん名前もっている。それなら能力で検索をするより名前で検索をかけたほうが明らかに早いはずだ。

「もちろん名前検索もあるんだけどさ、フルネームでなおかつ漢字まであってないとダメなんだよね」

「それは隨分とめんどくさいですね」

「俺らも何でそうなってるか分かんないんだよね」

鈴木さんは隨分とこれに苦労させられたのだろう困ったような表を見せた。それもそうだろう迷子になる子供のほとんどはまだ自分の名前も漢字で書けない子ばかりだ。ひらがなで検索をかけられたらどれだけ楽だっただろうか。玲は鈴木さんのその言葉から今までの苦労をじ取れたような気がした。

苦労お察しします。じゃあ俺これで、沙希の財布取りいかきゃいけないんで」

「そうだったね君はあくまでそっちが本題だったね、付はって玲くんは知ってたか」

「じゃあ行きます。お疲れ様でした」

めいの引き渡しも終わったところで玲は本題へと向かおうと挨拶を済ませ応接室を後にしようとした。

「お疲れ様〜、あぁ、あと署長會いたがってたよ」

「勘弁してください」

最後に放った鈴木さんの言葉に玲は苦笑いで答え応接室を後にした。

応接室を出た玲はエントランスにある付カウンターへ行き手早く沙希の財布をけ取った。

用事も済んだしとっとと帰るか。

「おぉ!玲じゃないか暫く顔見せなかったから、てっきり死んだとばかり思ってたぞ」

玲が帰ろうとしていると後ろからドスの効いた聲で引き止められた。

「「署長お疲れ様です!」」

そして周りの警達に迫した空気が漂いその場にいた玲以外の全員が背筋をばした。そして警達が一斉に彼に向かいビシッ!としたメリハリのある禮儀正しい挨拶をした。

「ジジィこそとっくにくたばったもんだと思ってたよ」

玲は聲の主に振り返り毒を含んだ言葉を放ち返しす。その言葉に迫していた空気が一層強くなる。

「ヤベェよ署長キレたら手に負えねぇよ」「誰かあのガキ黙らせろ」「あの署長に何言ってんだよあのガキ」

ちらほらと署長とやらに怯える聲が玲の耳にってくる。

しかし當の本人はそんなこと聞こえているのかいないのか急に、しかめっ面が満面の笑みに変わり大聲で笑い始めた。

「ハッハッハ!相変わらず口の悪い奴だな。どうしたんだ今日は?まさか自ら稽古けに來たということじゃねぇだろ」

周りの予想とは対照的に署長はやけにご機嫌の様子だ。それもそのはずだ、自分の弟子と3年ぶりに會えたのだから。それに対し玲の方は3年ぶりに師匠に會えたというのに隨分と機嫌が悪い。

「まさか、冗談キツイぜ、俺は沙希の財布取りに來ただけだから。稽古なんてしたくないし・・・まぁどうせヤダつっても無理矢理稽古つけるんだろうけどさ」

玲は署長に向かってぶっきらぼうに言葉を放った。署長の方はそれを聞いても一切引くことなく笑顔だ。

「よくわかってるじゃないか。署の奴らじゃどいつもこいつも腑抜けててダメだ。どいつもこいつも能力に頼りやがって武なんて何の意味もないと思ってやがる」

笑顔だった署長は話の後半になるにつれ段々と表が暗くなって行き、最後には笑顔どころか怒りの表へ変わっていた。

「知らねぇよ!部下に相手にしてもらえないからって俺に絡むなよ」

つまり警察署の奴らが腑抜けだから俺に絡んで來てんのかよ。飛んだとばっちりだな。

玲には怒りの表は無く完全に諦めた顔をしている。玲の表を見た署長は再び機嫌を直すと「じゃあ行くか」と玲を連れ地下にある訓練所へと向かった。

*   *   *   *

警察署にアナウンスが鳴り響く

急招集、急招集、署に居る警達は速やかに地下一階 訓練所模擬戦闘フロアにお集まり下さい。繰り返します。署に居る警達は速やかに地下一階 訓練所模擬戦闘フロアにお集まり下さい」

「おいジジィあんたどういうつもりだ?こんなアナウンスまでして、人を見せみたく扱ってんじゃねぇよ」

訓練所へ著くなり急に流れ出したアナウンスを聞きさすがの玲も苛立ちを隠せない。

「腑抜けた奴らをし激勵してやろうと思ってな。世の中のためだ、これくらい我慢しろ」

署長は悪びれる様子など全く無く自分の意見を玲に押し付けてくる。

「チッ!これだからあんたは苦手なんだよ」

玲は小さく舌を打ち呟いた。話をしている間にも多くの警が集まってくる。

「だいぶギャラリーも集まって來たしそろそろ始めるぞ、早く用意しろ」

署長はそう言うと1人さっさと第1模擬戦闘室へ歩いて行ってしまった。玲は制服を著替えに。すぐ橫にある更室へ寄ってから同じく第1模擬戦闘室へ向かった。

第4區警察署・訓練所は、大きく分けてトレーニングフロア・技能訓練フロア・模擬戦闘フロア3つのフロアに別れている。

模擬戦闘フロアはその名の通り実戦に備え様々な狀況での模擬戦を行うことができる場所だ。

そして玲が向かっている第1模擬戦闘室は障害なしの縦橫30mくらいある部屋だ。しかしこの部屋は1つの大きな特徴がある。それは能力の制限だ、この部屋の中では全ての能力は無効化されてしまうのだ。つまりこの第1模擬戦闘室では純粋な弾戦が行われることになる。

制服を著替え紺を包んだ玲が更室から出てくる。ギャラリーには玲のことを知っている者も多く、ちらほらと聲援がかけられる。玲はそれに対し小さく會釈を返した。

「人を待たせといて隨分余裕の登場だな、その鈍りきった叩き直してやろう」

「いつまでも師匠ずらしてんなよ老いぼれが。もうあんたじゃ俺に勝てねえよ」

玲と署長は何だか楽しそうにお互いを挑発し合い、部屋の両端に著いた。

2人が所定の位置に著くと機械音聲のアナウンスが流れ始めた。

「これより黒金 剛(くろがね ごう)署長 対 神谷 玲の模擬戦を開始します」

アナウンスが終わるとカーレースのスタート合図のような徐々に音程の上がる音が流れ始めた。

テーッ!    テーッ!   テーッ!  テーー!!

スタートの合図の直後30mも離れていた2人の拳が衝突し戦いの火蓋が切られた。

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