《腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが》76話 剣の花
地下室前。ここで2人の師弟が剣をえていた。
「強くなりましたね、優くん。」
「あなたに褒めていただけるなんて嬉しいですね。」
ギン!ギン!
しかし剣の腕ならセバスさんの方が一枚上手であった。優はセバスさんの素早い剣撃に攻めあぐねていた。
「くっ…!」
「どうしました?手詰まりですか?」
「さすがセバスさん。なかなか攻めさせてくれませんね。」
「まだまだ早くできますよ?」
おいおい…噓だろ?あれ以上早くなるのかよ…。化けめ…。
「さて、ではこちらからも行きますよ?」
セバスさんの素早い剣撃が優を襲う。
「くっ…!ちょっ!早すぎ!」
ギン!
バシュ!
「ぐあ…!」
優の肩にセバスさんの剣が當たった。
「まだまだ行きますよ?」
ズバッ!
「が…!くそっ!」
優はこれ以上の剣を防ぐために距離を取った。
「その程度ですか?もっと早くできるんですけどねぇ?」
「ははは…冗談きついっすよ。それ以上早くなったら俺死んじゃう。」
「そうですか、ではこの辺で終わらせましょう。」
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セバスさんは高速で距離を詰め、剣を振り下ろした。
しかし優はニヤリと笑う。
「…ツバメ返し…!」
セバスさんのを魔力の斬撃が襲う。
「なんと…!?…そうでした、あなたも強くなったんですね。この技を使えるものがまだいたなんて…。」
「この技を知っているんですか?失われた技だと聞いていますが…?」
「そうですね…その技は私の妻が作った技ですね。」
「あなたの?」
「ええ。ですが若くに亡くなりました。ちゃんと継承…されていたんですね…。」
「…」
「しかし私は彼がその技を創る時に一番近くで見ていたんですよ?私に効くとお思いですか?」
「何を…」
「ならばやってみるといいです。…出來るものならね!」
セバスさんはさらに早い剣撃を繰り出してきた。
「な!?噓だろ…おい!」
やばい…早すぎて…魔力で帰す暇がない…!
「どうしました?さっきのように返してご覧なさい。」
「いや、ちょっと?!早すぎて返せないんですが!?」
「そうです、その技はスピードに弱いんですよ。」
「なんだそりゃ!?セバスさん相手に相最悪じゃねぇか!」
「私の妻は私よりも數倍強かった…。それに追いつくために私はいかなる努力もしてきた。私に勝てるのは私の妻、レイナだけなのですよ! 剣華の極 一の型 極·五月雨切り!」
「ぐっ…くそ!」
「50連撃です。あなたに耐えきれるでしょうか?」
「…っ!舐めんなぁ!」
優は躱して捌いて何とか防ぎきることが出來た。
「はぁ…はぁ…」
「よくかわしましたね?」
「あんた…バケモンかよ。」
「まだまだですよ?剣華の極 二の型  たきのぼり!」
真っ直ぐな太刀筋…躱せる!
優は後ろに飛び退きそれを躱した。
「はぁ…はぁ…」
「おや?躱したおつもりですか?」
「な?!」
ザンッ!
優は下からの斬撃に対応出來ず、肩を切られてしまった。
「この斬撃は戻ってくるのですよ。」
「なんだそれ…。」
ははは…本格的にやばいな…強すぎる…!
「あんたの技、強すぎだろ…。」
「そうですか。天國にいるレイナが喜ぶでしょう。この技は全て私の妻、剣華のレイナからけ継いだ技なのですよ。」
「そうかよ、五月雨切り!」
「迂闊ですね…。言ったでしょう?レイナからけ継いだ、と。」
優のを魔力の刃が切り裂いた。
「がぁ…こ…れは…?」
「剣華の極 三の型 ツバメ返し。」
「ガフッ!…あんたも使えんのかよ…?」
「け継いだのですから。このスキルは私だけのものです。」
「スキル…。いいこと聞いたぜ、セバスさん。剣華の極 一の型…」
「そ、それは…?」
「極·五月雨切り!」
「くっ…!…何故…何故その技を…?!」
「悪いが神様のお墨付きスキルで俺は全部のスキルが使えるんだ。」
「そんなことが…?…やはり君は危険だ。ここで消しておくべきですね…。剣華の極 四の型 影泣き!」
「どうせまたぶっ飛んだ技なんだろ?!」
優は剣を構えた。
「…シャンデリアので剣の影が見えるでしょう?」
「何を…言って…」
「その影…切れるんです。」
突如優の背中に激痛が走った。
「ぐあぁ!」
ボタボタッ…!
「へへっ…やってくれるじゃないっすか…。」
「何を笑うのですか?もうすぐ死ぬのですよ?」
「そうだな…でもやっぱり…あなたと戦うのは…楽しい!」
「!…その…笑顔は…?」
「行くぜ!エンチャント、フレイム!炎月切り!」
ギン!
「そうですね…そうこなくっては!!」
「雷神斬!」
そうだ…。私はこれがやりたかったのです…。レイナと戦って以來味わっていないこの覚…!
「楽しいですか?セバスさんっ…!」
「これは戦いですよ?優くん。」
「そうか、でもあんた…楽しそうだな…。」
!…楽しい?戦いが?
「極·五月雨切り!」
「どわっ!ここで50連撃はきつい…!でも…喰らえ!海神斬!」
「ツバメ返し。」
「がぁ!」
戦いが…楽しい?私にそんなは無いはず…。
「強いな…さすがセバスさんだ。」
「そうですね。私は剣の道にって既に60年です。」
「そういうことならこの戦いも楽しめるわけだ!」
「…さっきから何を言ってるのです?戦いが楽しい?そんなはずないでしょう?」
「そうかな?ならなんであんた…笑ってんだ?」
!…そうか…楽しい…のか…。
「剣華の極  五の型 ずれ切り!」
「また新しいやつかよ?!」
剣の振りから遅れてやってくる斬撃が優を苦しめた。
「…剣華の極…か。分かったぜセバスさん。そのスキルは今日から…俺がけ継ぐ。」
「…何を言っているのですか?」
「証明してやる!あんたに…俺の強さを!剣華の極…終の型!」
「!」
まさか…そんな…それは…
「あなたは…私でもたどり著けなかった終の型に…?」
私はその技を打ち破ることは出來なかった…。だからこそ…!
「來なさい!打ち破って見せましょう!」
「森羅萬象!」
剎那、優とセバスの剣がわったのは一瞬だった。
「やはり…その技は…破れないな…レイナ…。」
ドサッ…
立っていたのは優だった。
「がはっ…!はぁ…はぁ…」
「本當に…強くなりましたね…優くん…。」
「セバスさん…」
「その技に…敗れるのなら…本です…。」
「ありがとうございました。セバスさん。あんたは俺の敵ですが…とても強い…師匠でした…。」
「ふ…とっとと行ってしまいなさい。執事長として…最後にこんな失敗をしたとなれば…フィリス様に…合わせる顔が…ありませんから。」
「…ここまでの教授、ありがとうございました…!」
はぁ…はぁ…。
ようやく…ようやく君の元へ…逝ける。
やはり君には…かなわないなぁ…
すまないね…レイナ。君以外のものに…しかも弟子に負けてしまったよ。
だが…おかげで知ることが出來た…。戦いとは…楽しいな…。
昔君が言っていたことが…ようやく分かった気がするよ。
あの時の…彼の笑顔は…君にそっくりだったよ…。私もそれくらい…笑えて…いた…かい…?
「ありがとうございました…師匠…!」
優はセバスの手に剣を握らせ地下室へと向かった。
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