「呼んでみろ」

「はあ？なんで」

「なんでもだ」

「意味がわからない」

「プッアハハハハッ。もうダメだ。何だ？このバカげたやり取りは」

二人の會話を、口を押さえて我慢していた駿に限界が來た。

「で？シュンは誰だ。こいつの事じゃないよな？」暁は、駿を指差し言う。

「？？え〜と。こちらの方は、そういえばどちら様ですか？」

「「…」」意外な反応にふたりポカンとする。

新城社長と書の稗田といえば、新城堂でもセットで知られる存在だ。

「宮さん。自己紹介が遅れて申し訳ございません。私わたくし、社長書をしております稗田駿と申します」

「書…」

「何だ？何か言いたそうだな。思った事を言ってみろ」

「いえ、すみません。社長のSPの方だと思っていました」

「ブハッ」

「…よく言われます」

いつの間にか、社長室は和やかな雰囲気につつまれている。この狀況に駿は驚くばかりだ。

「芹、明日は土曜だが予定は？」

「あります」

「シュンか？」

「…」

「シュンは何もんだ？彼氏か？」

「プライベートの事にお答えする必要はないですよね？」

「…」

「そろそろ失禮しても？」

「芹には、明日仕事をしてもらおうかな」

「はあ？職権用しないで下さい。明日は、幕メッセにあっ」思わず行き先を言ってしまい口を抑える。

だが、時既に遅し。暁はニヤニヤしている。

「へ〜、イベント會場でデートかぁ」

「…」

「楽しみだなぁ〜」

「へ？まさか來ないですよね」

「まぁ、俺もそんなに暇じゃないからなぁ」

「ですよね！」ホッとをなでおろす。

ニヤニヤしたままの暁を訝しく思いながらも、長居はしたくない。

「では、失禮させていただきます」

タイミングを逃すまい立ち上がる。

「あっ宮さん、最上階からのエレベーターはセキュリティ上勝手にはかないので、下までお送りします」

「お願いします」

先程までと違い暁が騒ぐこともなく、あっさりと社長室を後にした。