《異世界に召喚された殺し屋は自由に生きる》162話 靜香のは重い

「この世界は.......宣戦布告された」

ゴクリ.......そんな音が、どこからか聞こえた気がした。

「この世界.......ですか?」

「あぁ。1週間ほど前、頭に何者かが語りかけてきたんだ.......まぁ、宣戦布告というより死刑宣告みたいなもんだな。容はこんなじだ」

『罪深き人の子らよ.......恐怖せよ.......貴様らに罰を與える.......逃げることは決して許されぬ.......罪深き人の子らよ.......己が罪を懺悔せよ.......さすれば苦しませずに死を與えてやろう.......』

「.......そりゃあ、どっかの神がやったことでしょうね」

「やっぱ、そうかぁ.......最近、世界中の魔共のきが活発になって、さらに兇暴になってきたんだよなぁ」

「俺に勘づかれずに、そんな大膽なことするなんて.......厄介な相手です」

そこまでの相手なのか.......と、アルベルトは額から汗を流す。

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それは、優真の正を知っているからだ。

だから、アルベルトは顔を真っ青にさせながら、ブルブルと震えていた。

「.......ちょっと、トイレに行って來てもいいか?」

と言って、腹を抱えながら、執務室から出て行こうとしている。

アルベルトは國の様々な問題を解決し、それなりに本人にも戦闘能力があるので、戦爭では自ら前線に出ており、國民や部下たちからの信頼も厚いのだが.......かなりビビりなのだ。

「はぁ.......お父様、その臆病な格を何とかして下さいませんか?」

先程までは、目を輝かせて父と抱擁をわしていたのだが、今では呆れた視線を向けている。

「まぁ、良いじゃないの。いざという時には頼りになるのよ?」

ミルティアの母、ヒルデがアルベルトのフォローをする。

ちなみに、ヒルデは元冒険者でSSSランクに上り詰めた程の実力者である。

冒険者をやっていた頃は、『怪力娘』という二つ名で世界中に知られており、面倒ごとは全て腕力で解決させていたのだ。

アルベルトとの分差結婚も、もちろん腕力で周りを黙らせた。

ミルから話を聞いた時は驚いたものだ。

「それに、ずっと駄々をねていたら、私が無理やり引きずって戦わせるから大丈夫よ.......うふふ」

ヒルデは自分の瞳からを消し、口元に手を當てて微笑んだ。

「お義母さん.......頼みます」

アルベルトは周りからの信頼が厚いので人前に出るだけで士気が上がり、大國の王なので積極的にけば、それだけ周辺國との協力も取り付けやすい。

カリスマだけなら、誰にも負けない男なのだ。

「俺たちが住んでる世界では隠蔽神とか絶対神が出てきたり、ここでは勇者と妙な力を持ってる下級神.......最近、神レベルのバケモンが俺の周りに湧いてねぇか?」

考え過ぎかもしれないが、これらの出來事には全て関連がある気もする。

.......まぁ、勘でしかないのだが。

「神様.......か。俺にはスケールがデカすぎて想像も出來ないな」

「無理もないでしょう。この世界には魔王退治を頼まれて召喚されましたからね。今では神々の戦いですよ」

クラスメイトと共に勇者召喚された時に出會った魔王以上に強い相手といえば、迷宮での試練くらいだ。

神々に封印された悪魔なだけあって、かなりの強さを有した相手だった。

魔王は.......覚えてねぇや。

っと、傷に浸ってる場合じゃないな。

「アーサーも口を割らねぇし.......完全に手詰まりだな」

アーサーは絶対に死なないスキルを持っているから、強くなる前は殺されることなど日常茶飯事だったのだろう。

なんか可哀想に思えてきたな。

「よしっ!これからすべき事は決まったな」

「どうするんだ?」

アルベルトたちはゴクリとを鳴らし、これから放たれる言葉に耳を傾ける。

そして、俺は腰に手を當てて、堂々と宣言した。

「.......帰る!だって、まだアニメを消化し切ってないもん!」

「いやいや.......この流れで、それは無いでしょ!宣戦布告されたんだから、これから敵がたくさん押し寄せて來るかもしれないのよ?人の故郷くらいは面倒くさがらずに守ってみせなさいよ」

「うぐっ.......敵が來てからでいいじゃん」

駄々をねている優真に呆れ、靜香は額に手を當てて溜め息を吐いた。

「前は頼りになってたのに.......はぁ」

「溜め息ばっか吐いてたら幸せが逃げるぜ?.......ぶひょっ!」

俺がキメ顔でカッコイイことを言った瞬間、何故か靜香は額の青筋をピクピクさせながら魔力を纏った拳で毆ってきた。

相変わらず、靜香のは重いな。

「私を無理やり連れてきたんだから、最後まで責任取って問題を解決しなさい!」

「ふっ.......責任なら既に取ってるだろ?この前だって熱い夜を過ごしたじゃないか.......ぶへらっ!」

今度は顔を真っ赤にした靜香に、先程よりも強力なパンチをけて、床下に頭を埋めたのだった。

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