《異世界に召喚された殺し屋は自由に生きる》165話 輝くん墮ちた!?

ブロック作りのジメジメした薄暗い地下空間から、コツコツという足音が靜かに響き渡っていた。

「.......てめぇか」

縄に縛られた男は、足音がなっていた方向へ顔を向ける。

そこに居たのは輝だ。

「アーサー先輩.......って言えばいいのかな?」

「けっ!気悪ぃから次に言ったら殺す」

輝は爽やかな笑顔で話しかけたが、アーサーは唾を吐きながら不機嫌そうに返答する。

「おぉ。怖い怖い.......眉間にシワを寄せてたら老けるよ?」

そして、全く気にした様子を見せることなく、爽やかな笑顔を浮かべながら言い返す。

「今の勇者は落ちぶれたもんだなぁ.......覇神のいいように使われてるなんてよ」

「んー、優真は僕の友人なんだけどね」

「あぁ?神や王族.......権力を持ったヤツらは悪だ!何が友人だ!クソが!」

権力者に相當な恨みを持っているのか、鬼の形相を浮かべながら大聲を上げた。

「俺は全ての権力者に正義の執行をしなければならないんだよ!それに、あんなイカレ野郎優真が友人だなんて頭いってんじゃねぇのか?」

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なからず勇者に選ばられる人達は一癖も二癖もあると思うよ」

勇者とは神々に選ばれし戦士のことだ。

「てめぇも勇者なら気付いてんだろ.......俺ら勇者の宿命を」

選ばれた者は世界を救い守護する運命を持ち、當人の意思に関係なく戦いに巻き込まれてしまうのだ。

その事を聞いてはいないが、輝は何となく理解していた。

「.......そうだね。それが僕たち勇者の宿命なのさ.......でも、神にさえなれれば勇者の運命を.......」

「消すことが出來るとでも思ってんのか?はっ!馬鹿じゃねぇのか?それは勘違いだ」

アーサーは自傷気味に鼻で笑う。

「俺ら勇者は神になる資格を持ち合わせていねぇんだよ.......なんせ神と世界の奴隷だからな」

「僕の友人は勇者でありながら神になったけど?」

輝の言う通り勇者でありながら、神へと至った者がいる。

元太のことだ。

「大方、あのゲス覇神優真が絡んでる勇者の事だろ?勇者の完璧な作法は一人しか知るものはいねぇ.......そいつは紛いだ」

「紛い?.......それはどういう意味なんだい?」

「勇者の完璧な作方法を知る神は.......絶対神ナーヴァしかいねぇ。あいつはパクってアレンジしただけだろ」

「なら、その神様に頼んだら.......」

「素直に願いを葉えてくれれば俺はココにいねぇよ」

確かに勇者に選ばれるほどの人格者が、こんな神々に反抗するようなことは普通は無いだろう。

そんなことをするくらいだから、何かしらの過去や理由があるはずだ。

「君には.......過去に何があったんだ」

「.......なんで、てめぇなんかに教えなきゃなんねぇんだよ!」

先程までは懇切丁寧に々なことを教えてくれていたのだが、急に気分を悪くして聲を上げた。

「さすがに教えてくれないか.......でも、勇者に選ばれるだけあって々と親切に教えてくれたね!ありがとう!」

輝は悪意のない爽やかな笑顔で、アーサーにお禮を言った。

「はっ!?なんで俺は敵に報を教えてたんだ!?」

自分のした事に気が付いたのか、また暴れ始めた。

「てめぇ!俺になにかしやがったな!」

「いろいろ教えてくれて助かったよ。またね!」

そして、最後まで爽やかな笑顔を向け、手を振りながら地下牢の階段を登っていく。

「ふむ。優真の魔道は便利だね」

輝は小さく呟きながら、ポケットから丸いスイッチが付いたリモコンを取り出したのだった。

「そういうことか」

俺は手の平をポンと叩きながら、頭の中で一人納得していた。

「そういう事ってどういうことなのー?」

「輝が洗脳系の魔道を借りたいって言ってきたから貸したんだよ」

「あぁ.......そういう事ね」

その説明だけでアルテは気が付いたのか、頭を上下させて頷いていた。

「まさか.......」

「アーサーに洗脳を使って報を引き出すことにしたのですね」

「.......あの純粋な輝が優真みたいな外道がするような事をやるなんて.......あんたのせいね!」

「なんで!?」

靜香は己の馴染がしずつ優真に染まっていくことに危機を覚え、自分の人に詰め寄った。

「別に.......敵なんだから良いじゃねぇかよ」

「.......確かに」

その言葉に靜香も納得したのか、外道相手なら卑劣な手段を使っていいと思い至った。

「でも、あんたの影響をけてるのは事実よね.......しは自重したら?あの花火は特に酷かったわよ」

「僕は綺麗だったと思うんだけどなぁ」

そして、優真が作った花火への正常な評価を下す靜香と、どこかズレたを持つアルテは、それぞれの想を言うのだった。

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