《異世界に召喚された殺し屋は自由に生きる》167話 男の夢
「どこに向かってんだ?」
俺とユキは空を飛んで目的地へ向かっている。
しかし、依頼容を聞かずに著いてきてしまったので、何処に向かっているのかさえ分からない。
「いま向かってる場所はベネスティア王國で一番大きな山.......ベネスティアマウンテンだよ」
「.......國の名前をそのまま使ってんのかよ」
ユキ曰く、ベネスティアマウンテンとはベネスティア王國で一番大きな山であり、象徴と言われるほど有名な場所らしい。
そして、そこには.......
「ベネスティアマウンテンには迷宮があって大きくなり過ぎたから討伐してしいってギルドから言われたの」
「なるほどなぁ。確かに迷宮が大きくなったら厄介だ。中から魔が溢れてくるかもしれないしな」
迷宮は周辺に漂っている魔素や、中に侵してきた人間から魔力を蓄え、しずつ長していくのだ。
そして、大きくなった迷宮の魔は通常よりも強く、中から魔が出てくることも珍しくない。
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だから、冒険者などが間引きをするのだが、そろそろ討伐しなければならない程の規模になったようだ。
「最深層はどのくらいなんだ?」
「分からない。でも溢れ出てくる魔力から推定すると100階以上はあると思う」
「じゃあなくとも最終ボスは魔王よりも強いな」
顔には出ていないが、心では面倒に思っていた。
迷宮は深く潛れば潛るほど魔が強くなり、ボスの場合は別格の強さを持っている。
しかも、100階以上の深さのボスとなると、俺が倒した魔王とは比べにならないほど強いだろう。
「さっさとクリアして王都に戻ろうぜ!」
「うん」
そして、ベネスティアマウンテンが見えてきたのだった。
◇
「でっけぇ口だなぁ.......首が痛てぇ」
俺の目の前には、頭を真上に上げないと天井が見えないほど大きい迷宮の口がある。
「確かに結構な魔力が溢れてるな。これなら150階はある」
「そんなにあるの?.......他のSSSランクを呼んだ方が良いかも」
「ん?俺がいるから大丈夫だろ」
「.......その自信がどこから來るのか不思議」
そう言って呆れながらも、確かに大人數は嫌だ、と言って中へっていくのだった。
迷宮の中にると、まるで別の世界へ迷い込んだかのように空気が変わり、が重くなった。
「.......人間レベルにを弱化させると重さをじるもんだな」
「なんか言った?」
「いや。なんでもない」
「そう.......分かった。いつ魔が現れるか分からないから警戒はして」
「了解」
ブツブツと呟いていたので、周りへの警戒を欠けていたの思ったのか、ユキは俺に注意してきた。
「おっと.......早速出てきたな」
巖から現れたのは、大型犬ほどの大きさのトカゲだった。
口から火を吹いており、中が真っ赤な鱗で覆われているので、それなりの防力を持っているだろう。
「んじゃ.......殺るか」
口端を釣り上げ、殺意で瞳をギラつかせながら、俺は両腕に魔力を纏って一歩ずつ近づいていく。
を人間のレベルまで弱化させたので、この程度の相手でも楽しめると思ったのだが、ユキが口にした言葉を聞いて足を止めた。
「もう終わった」
「は?」
今から戦おうと思った時、ユキの瞳が紫に輝いて、その視線がトカゲに向けられていたのだ。
「私の能力は相手に幻を見せること。この程度の相手なら視線を合わせるだけで倒せる」
そう言いながら、苦しみ悶えているトカゲを見ていた。
「お、おぉ.......さすがSSSランク冒険者だな。鱗が焦げてんぞ」
「自分の炎でを焼かれる幻を見せた」
「現実に影響を與えるほどの幻か.......こんな強力な幻は初めて見たな」
「幻なら誰にも負けない」
あまりが表に出ない格なのか、ずっと無表だったのだが、今はしを張ってドヤ顔しているようにも見えた。
「ふむ.......幻か」
「どうしたの?」
「どんな幻でも見せられるの?例えば俺が見たいものを見せてくれたりとか」
「見せられる」
「ほぅ.......」
つまり.......あんなことやこんなことをされる幻を見放題ということではないか!素晴らしい能力だ!
そう思い至り、さっそくユキに幻を見せてくれるようお願いする事にした。
「なぁ。見たい幻があるんだけど良い?」
「良いけど.......エッチなやつ?」
「な、なわけないだろ!お、俺がエッチな幻を見たがる筈ないじゃないか!」
「.......そっか」
俺が慌てて否定すると、ユキは殘念そうに返事した。
「見せてあげようと思ったのに.......私のとっておき」
「と、とっておきだって!?」
鼻のを広げながら、"とっておき"という言葉に反応すると、ユキは小悪魔的な笑みを浮かべた。
「ふふふ.......見たい?」
「見たいっす!」
「のお姉さんとイチャイチャする幻が良いかな」
「それが良い!」
のお姉さん.......その言葉を聞いた瞬間、俺は恥も外聞も捨てて頭を上げた。
「頼む!俺はのお姉さんが見たい!」
「分かった」
そして、ユキは幻を発させる。
「男の貞を狙う3人の」
男なら誰もが夢に見る言葉が聞こえた直後、周囲に紫の霧が立ち込められ、その先には3人ののが見えた。
霧のせいで容姿は見えないが、妖艶なポーズをしており、今すぐにでも飛びつきたいほどだ。
「おぉ!」
霧の先にいるを思い浮かべながら、俺は両手の指を蛇のようにうねらせた。
霧が薄くなり、その姿が遂に現れた。
「あっらぁぁん?なかなか可い男の子じゃないのぉぉん!」
「ほんとだわぁぁん!食べちゃいたいくらいだわぁぁん!」
「私が先に頂いてもいいかしらぁぁん!」
霧が晴れてしいを拝めると思っていた.......しかし、そこにいたのは.......
「オカマじゃねぇかよぉぉ!」
3人とも奇抜なヘアスタイルと化粧をしており、しいマッスルポーズをしているお姉さんオカマがいたのだ。
「行くわよぉぉん!」
「私が先に食べるわぁぁん!」
「私が先よぉぉん!」
幻によって作られたオカマたちは、地響きを鳴らしながら突進してきた。
「ぎぃやぁぁぁ!來るんじゃねぇぇ!」
そして、俺は魔力で能力を強化して
、迷宮の奧へと逃げて行くのだった。
「ふふふ.......これで迷宮攻略が楽になる」
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