《異世界に召喚された殺し屋は自由に生きる》175話 暴君

巨大スライムの討伐後、俺とユキはダンジョンを破壊するためにダンジョンコアがある奧の部屋へと歩いた。

「うへぇ.......洗ったはずなのに、まだヌメヌメした覚がある」

どちらがスライムの核を壊すかユキとめて話し合い脅迫の結果、俺が破壊する事になった。

で全まみれになってしまい、皮が溶ける前に壊す事に功したが、服はだらけになって半狀態になってしまった。

「こういうのは男がやるべき。私のようなか弱いにやらせる事じゃない」

「.......どこがか弱いんだか」

「何か言った?」

俺の呟きが聞こえたのか、若干の殺気を混じえながら顔を向けてきた。

「.......なんも言ってないよ」

ここで本當のことを言ったら死ぬ.......!そんな予がしたので、表一つかさずに噓をつく。

どの世界でもってのは怖いもんだなぁ。

そんなことを頭の中で考えながら、ダンジョンコアが保管されている扉を開く。

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「.......ん?」

これは.......神力のぶつかり合い?どっかの神同士が喧嘩でもしているのだろうか。

それにしては隨分と激しい戦闘を繰り広げているな。

「どうしたの?」

「ちょっと扉が固かったもんでな。今開けるよ」

下界にまで屆くほどの殺気を撒き散らし、しかも『覇神』並の力を持った化けが戦っているようなので気にはなるものの、今やるべき事はダンジョンの破壊なので、考えるのはやめよう。

「んじゃ、行くぞ.......んっっ!」

扉が固かったのは本當だ。

本來の能力ならば息を吹きかけるだけで扉を吹き飛ばせる自信があるのだが、今はを人間レベルにまで引き下げているから若干の重みをじる。

そこらの人間よりは能力が高いのだが、研鑽を重ねれば今の俺くらいなら誰にでもなれる。

普通の村人なら50年間の全てを修行に捧げて屆くレベルかな。

「重い.......なっ!」

し扉が開きかかったところで足の指先から掌までの全に力をれて、一気に魔力を滾らせて力を込めた。

すると扉は地面にれる音を大きく響かせながら、しずつ中にいていった。

しかし完全に開かせる必要は無いので、人間が一人るくらいまで押した。

「ふぅ.......やっと開いた。先にっていいぞ」

「うん」

ユキは短く返事をして中へった。

俺も続いて中にると、そこには真っ白に輝くボーリングサイズの玉が、臺座の上に鎮座していた。

「おぉ.......」

そのしい輝きに魅られる.......のが普通だと思うほどに綺麗だ。

でも、そんな事より眩しすぎて目が痛てぇ。

さっさと壊すか。

俺はり輝く玉の方へ歩き、足を真っ直ぐ真上に上げた。

「んじゃ、壊すよ?」

「うん。転移用の道は用意してあるから良いよ」

「了解!」

ユキが右手に持っている転移用の魔石を確認した後、俺は足を振り下ろして踵でダンジョンコアを々に砕いた。

「.......思ってたよりも脆いな」

「ダンジョンはコアが壊されたら、すぐに崩れ始めるから早く出する。こっちに來て」

「おう」

地面が上下左右に激しく揺れ、ダンジョン崩壊の兆しが現れたので、俺は急いでユキの元へ向かった。

「転移するから捕まってて」

と言って、転移の魔石を発させたのだった。

転移先はダンジョンから數キロ離れたところにある森。

100や200メートル離れたところで、高難易度ダンジョンの崩壊から逃れることが出來ないのだ。

「ふぅ.......転移の魔石が無かったら危なかったな。助かったよ。ユキ」

「ダンジョンに潛る時には必須アイテム。用意してなかった方がおかしい」

「うぐっ.......仰る通りでございます」

そう言えば人間って道とか利用して実力を補ったりするもんだったな.......俺が殺し屋やってた時もんな道を使ってきたけど、すっかり忘れてたぜ。

まぁ、ヤバそうだったら、ちょこっと力の制限を解けば良いんだけどね。

「んじゃ、帰りますか」

「うん」

そして俺達は散歩気分で超高難易度ダンジョンをクリアし、王都へと飛んで帰って行くのだった。

とある神界.......

そこには神殿のような外観をしている建築があり、周囲には宇宙空間のような景が広がっていた。

そして、中からは刺々しい魔力が溢れ出ている。

「全員、"殺されて"帰ってきたようだな.......」

玉座に座っている男は不機嫌な態度をしも隠さずに、跪いている者達に殺気をぶつけていた。

「も、申し訳ございません!」

そのうちの一人は顔面蒼白になり、大量の汗を流している。

「キャサリンよ.......あれほど自信を持って敵地へ向かっておきながら、そのザマはなんだ?」

「新たな覇神となった優真の妻と自稱する者達が思っていた以上の強者だったものでして.......つ、次こそは必ずや!」

玉座に座っている男から殺気をけながらも何とか聲を出し、下げていた頭を上げた瞬間.......

「誰が言い訳を言えなどと言った?」

「っ!?」

キャサリンの発言を聞いた直後、男から放たれる殺気の激しさが増す。

「我に見初められた存在である貴様が.......なぜ敵を強者などと言っているのだ?」

「あ.......ぁぁ」

キャサリンは激しさが増していく殺気に耐えられず、聲にならないびを上げて口から涎を垂らしていた。

「.......本來なら殺していたところだが、貴様の魔法は使える。特別に見逃してやろう」

「あ、あ.......あいがとうご.......ざいまず」

殺されずに済むと聞かされ、キャサリンは顔を悪くしながらも、何とかお禮の言葉を言う。

「しかし、シャオ.......貴様はダメだ。あっさりと敵に殺されるだけではなく能力まで奪われるなど論外だ」

するとシャオは立ち上がる。

「ふ、ふざけんじゃねぇ!てめぇの勝手で殺されてたまるか!」

シャオもキャサリンと同じく恐怖で顔を悪くして震えているが、死への恐怖が勝ったのかけるだけの気力を見せた。

「はぁぁぁっ!」

シャオは何も空間に拳を放つ。

すると、パキッ!というガラスが割れたような音が鳴り、空間に亀裂が走った。

「俺の異能はどんなものても砕する!それが、たとえ空間だろうがな」

そう言って、亀裂から出しようとするが、首元に剣を當てられきが取れなくなってしまう。

「てめぇ、エトーレ.......!!」

「主に不敬な言葉をかけるだけでなく、逃走しようとするとは.......我が主よ.......どうか、この愚か者を殺すまで私を生かしていただけないでしょうか」

「.......良いだろう。お前のような下級神の戦闘力には元より期待していない。故に殺すつもりはなかったからな.......そんな事より早く殺せ」

「はっ!」

そしてエトーレは、シャオに殺気を放つ。

「なんで俺が殺されなくちゃなんねぇんだろ!そもそもテメェもナーヴァに負けたじゃねぇか!」

ヤケになったのか、シャオは自分の主.......いや、主だった男に溜まっていた鬱憤を晴らすかのように暴言を吐き続けていた。

そんな行をエトーレが見逃すはずもない。

「貴様ァ!主神様が負けるはずないだろう!」

「てめぇはあのクソ男に妄信的になり過ぎたんだよ!」

そして両者の剣と拳がぶつかり合った。

シャオの拳には【砕】の力が込められている。

ここで力を使い果たすつもりなのか、ナビと戦っていた時以上の力が込められていた。

そしてエトーレの剣には、誰が見ても嫌悪するような、ねっとりとした真っ黒な力が纏わりついていた。

「くっ.......そっ!」

「我が主の力の前には何者だろうと抗えぬと知れ」

エトーレはそんなセリフを吐きながら、シャオのを両斷したのだった。

「主神様の神殿を汚してしまい申し訳ございません。償いとして切腹致します」

「良い。お前は殺さぬと言ったであろう。剣をしまえ」

「はっ!」

男の言われた通り、エトーレは顔ひとつかさずに剣を鞘にしまう。

「忍.......お前も今回の敗北は不問とする。下がれ」

その言葉に配下達は頭を深く下げ、神殿から出ていった。

「我は負けておらぬ.......我こそが至高の神アヴニールだ.......!」

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