《異世界に召喚された殺し屋は自由に生きる》179話 小

「依頼をけたのはいいが……何から始めようか」

準備をするにも、やるべきことは腐るほどある。

敵の報集め、武の確認、連れていく仲間の構など、挙げていけばキリが無い。

「いや……違うな」

俺が殺し屋をやっていたのは、人間だった頃の話だ。

今の俺は覇神……萬能に近い存在である。

全て同時並行して進めればいい。

「戦爭の準備もいるか……」

宣戦布告とアーサーがやって來たタイミングは、ほぼ同じ。

共犯と考えた方がいいだろう。

だったら、そろそろ戦爭の準備も必要になってくるはずだ。

他國との話し合いは、お義父さんに任せて、神の領域に足を踏みれた化けは、俺たちとSSS級冒険者が戦うのが最善だな。

SSS級冒険者は化け揃いと聞く。

ミルの母や、ユキがいい例だ。

仮にも冒険者たちのトップだしな。

俺のEX級冒険者の稱號は、ミルとの分差を埋めるための飾りでしかない。

國王が無理やり押し付けたようなものだ。

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「さて……」

街道を歩きながら、これからやることについて考え、思わず口端を吊り上げてしまう。

「殺しの準備を始めようか」

殺し屋は辭めたが、その神が無くなったわけではない。

それに、この殺しは、俺のに手を出してきたことへの報いをけさせるためのものだ。

しかし……それでも、笑わずにはいられない。

なぜなら……俺はゴミ共を殺すことに、どうしようもない快を覚えてしまうからである。

高みの見をしている奴の、絶に叩き落とされる表は最高だ。

いくら見ても飽きない。

「……帰るか」

気合をれるのはいいが、準備を始めるのは帰ってからだな。

そして、俺は王城へと戻るのだった。

壯大な神殿、その周囲には無限に広がる宇宙空間があった。

そこには、一人のがいる。

「優真……」

茶髪のショートカットにし赤みがかったしい瞳を持つは、暗い表をしながら名前を呟いた。

ユキのことである。

「久しぶりに會ったけど……思ったより変わってた」

昔は純粋だった年が、今では好きの派男になってしまった。

しかも、ハーレムまで築いている。

「それに……」

あの雰囲気……たくさんの人々を殺してきたのだろう。

やはり、私のせいなのだろうか。

そこまで思考すると、私は激しく首を左右に振る。

「……私には関係ない。ただ主神様の命令を全うするのみ」

しばらく歩いていると、柱が端っこで立ち並んでいる大きな部屋に著いた。

玉座の間だ。

玉座には端正な顔立ちをしている男がいる。

肘をつきながら、反対の指はトントンと一定の速さで肘付きを叩いていた。

「報告に參りました。主神様」

「……手短に話せ」

その一言で、主神様の機嫌が悪いことに気づいた。

こっ酷くやられたのだろう。

「余計なことは考えるな……早く報告しろ」

「ッ!!」

一瞬で周囲に神気が充満し、激しい殺気が己にのしかかってきた。

よくある事だが、何度やられても慣れない。

慣れることは無いだろう。

「はっ。新たな覇神、優真への接功しました」

「……それで?」

「彼には大きな弱點があります」

その言葉に興味を持ったのか、アヴニールはし表らかくし、前のめりになる。

「ほぅ……それは興味深い。言ってみろ。許可する」

「はっ。優真には複數の妻がおり、自の命よりも大切にしています」

「なんだと?……そんなものが弱點?」

「は、はい」

また不機嫌になり、神気と殺気が充満する。

アヴニールは、他者を思いやるというを持ち合わせておらず、今の言葉を正確に理解することが出來なかったのだ。

「覇神は群れぬ。はいらぬ。はいらぬ。覇神は完璧な存在であらねばならない。それなのに……己の命より、妻の命が大事だと?」

アヴニールは息を荒くし、額に沢山の管を浮かばせていた。

「そんな弱者と、我が同格?……ふざけるなァァァ!!」

そうびながら椅子から立ち上がり、僅かな理で押しとどめていた神気を撒き散らした。

その余波で、神殿は吹き飛び、宇宙空間が大きく揺れた。

「うぅっ!」

なんて、神気の量……こんな化けに、ナーヴァは圧勝したのか。

そんな思考がでかかった時、すぐさま切り替えた。

殺される可能があるからだ。

「か、彼は新參者です。主神様と同格というのは語弊があるかと」

的に、主を宥めるための言葉を放つ。

「ふぅふぅふぅ……そうだな。我としたことが……取りしてしまった」

アヴニールは指を鳴らし、神殿を一瞬で修復させてみせた。

さすが、覇神と言ったところだろう。

「でかしたぞ。ユキよ……これで、忌々しい我が予言を覆せることが出來る……くはははは!!」

「ありがたき幸せ」

これで、しばらく機嫌を損なうことはないと思う。

そう思いたい。

こんな思考に気づかないほど喜んでいる。

それほど、己の予言に恐怖していたということだろう。

「では、失禮します」

そう一言告げて、私は転移する。

場所は、ベネスティア王國付近の森。

ここなら、ほとんど人が來ることがないので、安心して転移することが出來る。

転移魔法は使い手が極端にないので、見られたら面倒なのだ。

「やはり……私の主は小だ」

そんな呟きを殘し、王都へと戻っていくのだった。

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