《継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》》姫様を接待①

翌日、俺は屋敷の玄関の前で、そわそわしながら皇帝を待っていた。

いくらうちが上位貴族で、父親と皇帝の仲がいいとは言っても、まさか一臣下の屋敷に皇帝陛下が自ら足をお運びになるなんて、にわかには信じられなかったのだ。

屋敷の中ではうちの使用人たちが朝からバタバタと慌ただしく走り回っている。いつも慌てたところなんて見たことのなかった冷靜なセバスチャンすら、皇帝のご來訪に浮き足立っている様子だ。

と、メイド長が大きなを揺らしながらドタバタと玄関に駆けつけた。

「皇帝陛下、ご到著でございます!」

聲とほぼ同時、敷地に何臺もの護衛の馬車に囲まれた、一際豪奢な馬車がってきた。

……本當に來た……。

え、これ前世で言うなら、天皇陛下がうちに來たみたいなじでしょ?

いやいや、ハハハ……。……え? ほんとに?

玄関の前で馬車が停車すると、屈強な護衛がわらわらと降りてきて、そのうちの一人が豪奢な馬車なドアを開ける。

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すると皇帝が馬車から降りてきて、その辺に散歩に來た、とでもいうような気軽なじで両腕を広げてにっこりと笑った。

そして、皇帝はさらに父さんに向かって、

「3年前は代替わりでお互い忙しくて、しばらく會えなかったが元気にしてたか?」

すると、父さんは恭しい態度で

「ええ、お様をもちまして。皇帝陛下もますますご健勝のこととお慶よろこび申し上げます」

「おいおい、公式の場以外は敬語はよせと言っているだろ」

「ああオルトン、わざと茶化してみただけだ。皇帝としてここに來るのは初めてだろ?」

「お前も當主になって初の『皇帝接待』だろ」

「そうだとも、おかげでうちは今朝から大騒ぎだよ」

「それは申し訳ないな。皆には公務外だと言っておいてくれ。今さら遅いかもしれんがな」

皇帝と父さんがそう言いあって笑い合っていると、橫合いかららしい聲が響いた。

「お父さん出口で長話しないでよ」

そう言いながら皇帝の背中を押しのけて出て來たのは、俺と同じくらいの年頃の、銀髪のだ。

か、かわいい。これは相當なだぞ。

口を尖らせているそのの子の頭を、皇帝がぽんぽんとでる。

「ああ、すまん。――ディオルク、この子が私の娘のシェリアだよ」

「おっ、噂通り可いお嬢さんだな。初めまして、シェリアちゃん」

父さんがそのの子、シェリアに挨拶すると、シェリアはスカートをつまんで軽く膝を折り、一人前のレディのように挨拶してみせた。

「はじめまして。シェリアでございます」

か、かわいい……!

いやいや、別にロリコンってわけじゃなくてね? 小的な意味でね!?

中で無意味な言い訳を誰かにしている俺を、父さんは皇帝に指し示す。

「これが俺の息子のレオンスだ」

俺も一応、マナーに則って皇帝とシェリアに一禮する

そこにさらに馬車の中から聲が聞こえた

「あら、かわいらしいわね。將來確実にいい男になるわね。流石ディオルクさんとカーラの子供だわ~!」

甲高い聲とともに馬車から降りてきたのは皇妃だ。その瞳はきらきらと輝いていて、まっすぐに俺を見ている。

「久しぶりねアシュレイ! 會いたかったわ!」

母さんが皇妃に駆け寄って行く

「私もよカーラ!」

そう言って抱き合う二人は、今にも手をつないでくるくる回り出しかねないほどに浮かれている。

そんな二人に、父さんは呆れ混じりに笑った。

「はいはい、積もる話は山ほどあるだろうけど、続きはあとでゆっくりと。まずはおいしい晝食を皆で楽しもうじゃないか」

それから、皇帝たちを晝食のある部屋に案した。

この晝食は、朝早くから家の人たちが用意しただ。

どれも、いつもより斷然豪華になっていて、とてもおいしそうだ。

「みんな席に著いてくれ!」

父さんが全員を座らせる

そして、酒のったグラスを1つ持って

「それじゃあ、オルトン、アシュレイ、そしてシェリアちゃんを歓迎して乾杯!!」

「「「「「「乾杯!!」」」」」」

こうして、張する晝食が始まった。

そして、それぞれ気になる料理に手をばす

「いつ來ても、ここの料理は凄くおいしいよ。いつも城に帰ると、無にまた食べたくなってしまうんだよ」

皇帝がうちの料理を味しそうに食べながら大絶賛した。

「私は、こんな珍しくて味しい食べは初めてですわ!」

皇妃はこの世にこんな食べがあったのか、みたいに料理を満面の笑みで頬張っている

「そういえば、アシュレイとシェリアはフォースター家の料理は初めてだね。この料理は勇者様の故郷の食べなんだ」

そう言いながら、皇帝はハンバーグを大きめにナイフで切り、口の中に放り込んだ。

そして、皇帝に言われて俺はうちの料理が前世のだと気がついた。

テーブルに並ぶのは、唐揚げ、ピザ、グラタンなど....

俺はうち以外で料理を食べたことは無かったので、この世界の食文化について考えたことが無かった。

「あら、勇者様の故郷の味ですか? それはおいしいに決まってます!」

「喜んで貰って嬉しいよ。これは親父がうちの料理長と一緒にレシピを考え出した自慢の料理だからね」

「ディオルク申し訳ないのだが.....そのレシピを貰えないかな? 一生のお願いだ!毎回、3年もこの料理を食べるのを我慢するのが、嫌で嫌で俺が皇帝になったら絶対お前に頼もうと夢見ていたんだよ」

そう言いながら、皇帝は機に頭が著いてしまういそうなくらい必死に頭を下げて、父さんに頼み込んだ。

「そんなことを考えてたのか? 別にレシピは、にしているわけでは無かったから、頼まれればいつでも渡せたぞ」

「そ、そうだったのか......どうして、どうして俺はレシピについて聞けなかったんだ......」

皇帝は頭を抱えて、自分の行に悔やんでいた

どんだけ、うちの料理が好きなんだよ。

レシピを貰うのが夢で皇帝になったなんて......

「おいおい、もっとポジティブに考えようぜ! これからは毎日食べることが出來るようになるんだぞ」

「こ、これから毎日!? そうだよこれまでのことを悔やんでいても仕方がないな.....これから毎日食べれる.....」

父さんの言葉に、死んだ目をしていた皇帝は一転して、今度はこれからが楽しみでしょうがないと言うような、生き生きとした目になった。

「おお、元気になったみたいだな。レシピは料理長に帰りまでに用意しておくようにしておくよ。とりあえず、今ある料理を楽しむぞ。そして、食べ終わったらお楽しみの溫泉にりに行くぞ」

それから大人たちは楽しく話しながら、子供たちはただそれを聞きながら晝食は続いた....

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