《継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》》頑張る新人メイド 後編

採用が決まり出勤初日になりました。

「それじゃあ、いってきます」

「いってらっしゃい」

「おばちゃん」

「なんだい? 早く行きな」

「今までありがとうございました」

私は、そう言って孤児院を出ました。

おばちゃんの反応を見ていたら泣いてしまいそうだったので、急いで出てしまいました。

今日から、私は住み込みで働くしかありません。

そうなるともう、おばちゃんの顔を當分は見ることが出來ません。

本當に悲しいです……。

でも、これ以上は悲しんでも仕方が無いので気持ちを切り替えたいと思います。

おばちゃんを悲しませない為にも、これから頑張って一人前のメイドになりたいです。

そして、遂にこれからお世話になる職場に到著しました。

「ふぅ」

私は息を整え

ガチャ

「よろしくお願いします」

そう言ってった。

中にると數名のメイドと執事がいた。

そして、全員が私を見ていた。

あれ? なんか私、変かな?

「あ、君がベルかな?」

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私が自分の服裝を確認していると一人の男の人が話しかけて來た。

「は、はい。ベルです」

「君のことはアメリーから聞いているよ」

「アメリーさん?」

どなたでしょうか?

「えっと……面接をしていただよ」

「あ、わかりました」

あの私を見るなり即決で採用してくれた方ですね。

「それは良かった。アメリーはもうそろそろ來『あ、ベルちゃん!』」

男の人の話を遮るように聞き覚えがある聲が聞こえた。

聲がする方を見ると。

「待ってたわよ! こっちに來なさい」

アメリーさんはそう言いながら、私のことを何処かに引っ張って行った。

「はい、これを著て」

アメリーさんは、そう言って私に服を渡してきました。

「これは?」

「メイド服だよ。著てみて」

「わかりました」

そう言って私はメイド服を著た。

「うん、可いわ! ベルちゃんのは特別に可く造って貰ったから最高だわ」

「あの……どうしてアメリーさんは私のことをそんなに良くしてくれるんですか?」

「ああ、それはね……あなたに、レオ様の専屬メイドをやってもらおうと思ってね」

え? 専屬メイド? 私が?

「な、何を言っているのですか!? 私にそんなことが出來るはずがありません」

「えっとね……レオ様はまだ八歳でこれから二、三年くらいしたら寮に行くしかないのよ」

「は、はい」

「それで、そこには専屬メイドを一人連れて行くことになってるのだけど……どうせなら、レオ様が親しみ易いメイドの方がいいと思ってね」

「そ、それでどうして私なのですか?」

貴族は獣人が嫌いなんじゃ?

「私の調べによるとレオくんは獣人族の娘が好きなはずだから」

「そ、そうなんですか……」

だから、面接の時に私が獣人であんなに喜んでいたのですね。

「そう。ということでよろしくね」

「は、はい」

それから……いろいろとアメリーさんからメイド全に講習があり、夕方になって雇い主であるレオ様が帰宅する時間になった。

現在、執事とメイドが全員で綺麗に整列して、レオ様が帰宅するのを待機しています。

なんか、凄く張します。

これから私が長い間仕えるだろう主人がって來る。

どんな人かな?

恐い人かな……優しい人だったらいいです。

兎に角、失敗はしないようにしないと……。

そして、遂にレオ様がって來ました。

私は、習った通りに「お帰りなさいませ、ご主人様」と言って禮をする。

「えっと……レオンス・フォースターです。これから、家のことをよろしくお願いします」

レオ様は丁寧に挨拶を返してきました。

これには、皆びっくりです。

私も講習中に先輩から「貴族は皆、偉そうにしていて短気な人が多いから気をつけてね」と何度も助言を貰っていたので凄い驚きです。

でも、良かったです。

これからずっと傍で働くとしては、主人さまが優しいことに越したことはないですよね。

そして、遂に私がレオ様に紹介される時が來ました。

アメリーさんに呼ばれ、レオ様がいる部屋にった。

「この子がレオ様の専屬メイドになるベルです」

「よ、よろしくお願いします」

アメリーさんがってすぐに私を紹介したので、慌ててしまっておかしな挨拶になってしまいました。

ああ、やってしまいました……これで私はダメなメイドだと思われてしまったはずです……。

レオ様は、何も言わずに私をじっと見てきます……。

やっぱり怒らせてしまったのかも……。

するとアメリーさんが「レオ様、そんなにの子をジロジロ見るのはダメですよ」とレオ様に注意しました。

それにレオ様は「あ、ごめんなさい」と素直に謝ったのです。

え? 怒ってないの?

じゃあ、どうして私をあんなにじっと見ていたのでしょうか……?

「でも、レオ様が気にったようなので良かったです。頑張って調べた甲斐がありました」

私が悩んでいるとアメリーさんがレオ様にこんなことを言いました。

え? 私を気にってくれたの?

本當にレオ様は獣人が好きだったんですね……。

それから一ヶ月間、私は大変でした。

何が大変って、私は何をやっても失敗ばかりなんです。

掃除をすると、バケツの水をこぼし、

何か運ぶように頼まれたものは落として壊してしまったりなど。

何をやってもダメでした……。

普段、孤児院では失敗しないことも仕事と意識すると失敗してしまうんです……。

本當に困りました……。

それと、私は一応専屬メイドなのでレオ様が帰って來たら傍にいるのですが、レオ様は暇になるとすぐ私に話しかけてくるのです。

ただ、「どんな魔法が使えるの?」「魔力はどれくらいあるの?」など魔法についての質問ばかりでしたけどね。

ちなみに、私の魔法は獣魔法と言って……を獣の形に変えることが出來る魔法です。

私は、これを見られるのは恥ずかしいので言いたくなかったのですが……レオ様がしつこく聞いてくるので教えてしまいました。

すると「何それ? 見たい!」

案の定、恐れていたことを言われてしまいました……。

私はそれからどうにかこうにか、逃れていたのですが……。

「お願い。俺の創造魔法を見せてあげるから! どうかお願いします」

最終的に、主人が敬語を使うというおかしなことになってしまったので仕方なく

「わかりました……けど、手だけでいいですか? 他は恥ずかしいので」

私は見せてあげることにしました。

「うん、見せてもらえるだけ嬉しい!」

「わ、わかりました」

そう言って私は、手に魔力を集めて魔法を使います。

すると、私の手がボフっとむくじゃらになり、鋭い爪が出てきました。

「え? ベルって魔力作を使えるの?」

「魔力作? ああ、私が育った孤児院では魔道とかは高級で買えなかったので安い魔石で魔力を鍛えていました」

「なるほど……それにしてもその手は凄いね」

レオ様はそう言って、私の手をまじまじと見てきました。

「は、恥ずかしいからそんな見ないでください!」

私は恥ずかしくて手を隠してしまいました。

「ごめんごめん。腕、ってもいい?」

「え? レオ様、ごめんの意味わかってます?」

しだけ、ほんのちょっとだけらせて」

「わ、わかりました……ちょっとだけですよ」

たぶん、斷ってもまたお願いされそうなので仕方なく手を差し出しました。

「本當? ありがとう!」

レオ様はニコニコしながら、私の手にれていました。

こんなだらけの手の何がいいのでしょうか?

「それじゃあ、僕の番だね」

「え?」

「ベルが見せてくれたら、僕が創造魔法を見せてあげるって約束でしょ?」

「あ、そういえば……」

そんなことを言っていたかもしれません。

「よし、張り切って造るぞ!」

そう言って、レオ様は部屋の端に立て掛けてあったリュックをあさり出しました。

そして、レオ様はリュックの中から綺麗に輝く金屬の塊と凄い輝きの魔石を出しました。

「よし、材料も見つけたから始めるよ」

「そ、その材料って何ですか?」

「あ、これ? ミスリルと僕が魔力を注いだ魔石だよ」

「え? み、ミスリル? それにそれだけ立派な魔石を自分でですか……」

本當にレオ様は凄い人らしいです。

「まあ、素材のことはいいから、魔法を見ていて」

「は、はい」

「それじゃあ、始めます!」

そう言って、レオ様はミスリルの上に魔石を置いた。

そして、レオ様が素材に手を向けてると……なんとり出しました!

それから、段々と二つは混ざり、一つになってしまいました。

更に、形が見る見る変わっていきネックレスになって……が収まりました。

「す、凄いです……」

私は、それしか言葉が出て來ません。

「そう? それじゃあこれあげる」

そう言って、私に出來立てのネックレスを渡しました。

私は、レオさまがあまりにも自然に渡してきたのでけ取ってしまいましたが、持ってから我に返りました。

「ちょ、持ってください! こんなに高価なけ取ることが出來ません」

「いいからいいから、その分これから頑張って」

そんなことを言われても……。

でも、期待して貰っているわけだし貰わないと……。

「わ、わかりました……これから頑張って働かさせて貰います」

「うん、よろしく。それと、いつもそのネックレスを著けててね」

「え? どうしてですか? 壊してしまいそうで恐くて常に著けているなんて出來ません!」

「そんなに簡単に壊れる様なじゃないし、著けてくれないと意味がないんだよ」

意味が無い? どういうことですか?

「そ、そうなんですか? わかりました……」

私はここで斷っても仕方が無い気がしたので、ネックレスを首に掛けました。

「うん、それでいいよ」

レオ様は嬉しそうだった。

「あ、ありがとうございます」

「いえいえ、それじゃあまだ時間あるし魔石に魔力を注ぐのを手伝ってくれない?」

「え? 私が魔力を注ぐのですか?」

レオ様は、さっきの魔石を見たじですと私の助けは要らないはずなんですが……。

「そう。これから毎日手伝って」

レオ様の意図は全くわかりませんが、魔法を見せてと頼まれるよりは全然いいです。

「はい、わかりました」

それから、毎日夜はレオ様と魔石に魔力を注ぐのが日課になりました……。

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