《継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》》シェリーを救出するために
「はあ、私もレオの家に行きたかったな~」
私はベットで橫になりながらレオに貰ったぬいぐるみを抱きしめていた。
レオが初めて私の部屋に來てくれた時に造ってくれたんだ。
鳥じゃないのにくちばしがあってなんか変だけど可い魔のぬいぐるみ。
私は、いつもこのぬいぐるみを抱いてないと寢れないの。
昨日、いつものようにお父さんレオの所に行きたいと駄々をこねてみたけど……駄目だと言われてしまったの。
まあ、學校で會えるからそこまで行くことにこだわっていないけど……やっぱり行きたかったな……
「あ~ レオと會いたい」
コンコン
あ、今の聲聞こえてないよね? 恥ずかしい!
メイドたちに私がレオのことが好きなのは知られてしまってはいることはわかっているけど……それでも恥ずかしいわ。
そう思ってドアに視線を向けると、そこには誰もいなかった。
ドアは開いているのに……。
「レオくんはモテるね……まあ、あれだけ強ければモテるのも當然か」
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私が気になって起き上がると背後からそんな聲が聞こえた。
「え?」
驚きのあまりそれ以上言葉が出てこなかった。
振り向くと赤髪の男がいた。
「やあ、元気? 悪いけど拐させてもらうよ」
混している間に私は何かで包まれてしまった。
そして擔がれ、運ばれて行くのがわかった。
私は頑張って逃げ出そうと包まれてる布を剝がそうと頑張っていたけど……男の力が強くて全くけそうにない。
「お、まだけるの? けど、もうそろそろ眠くなるはずだよ」
男は、私がけることに驚きながらも嘲笑った。
そういえば……赤髪のこの男をどこかで見たことがあるような……。
あ、私のパーティーで襲撃してきた男だ!
この人、確か……ダミアンさんと互角に戦っていたんだっけ。
どうしよう、恐い……。
レオ、助けて……。
「よし、著いたぞ。流石に眠っているかな?」
しばらくして、赤髪の男がどこかで止まったと思うとそう言いながら私を拘束していた布を剝がした。
眠くない私はもちろん、目を開けていた。
「あ、あれ? どうして起きているの?」
「知らないわよ。あんたがどうして私が眠くなると思っているのか不思議で仕方が無いわ」
恐怖を必死で抑えて、赤髪の男に強がって見せた。
すると……男は何か考える素振りをして、私の腕を摑んだ。
「うん~何か魔法でも著けてるのかな? 腕には何も無いな……あ、もしかしてこのペンダントか?」
「あ、ダメ! 取らないで!」
私は必死に抵抗する。
これは私の大切な寶だから何がなんでも取られたくない。
「お、當たり? それよりさっきまでの強がりは止めちゃったの?」
「お願いだから。ペンダントを取らないで!」
「こんなにこだわっている場合ではないですよ姫様。これから、あなたは大変ですから」
「な、何をされるの?」
「さあ? 私は運搬が仕事なのでわかりません。それじゃあ、さっさと仕事を終わらせたいので取らせてもらいますよ」
そう言って、赤髪男はペンダントを隠す私の腕を簡単に剝がし、ペンダントを摑んだ。
「い、いやー!!」
(レオ、助けて!)
私は取られる前にレオに念話を飛ばした。
きっとレオなら助けてくれる。
「これはそうですね……あなたの大好きなレオくんにでも渡しておきますよ。助けてくれるかな? それじゃあ、おやすみなさい」
私はまた布で巻かれてしまった。
すると……いきなり強い睡魔に襲われた……。
レオ……。
SIDE:レオンス
俺は現在、急いで裝備を整えながらアンナにどうやってシェリーを見つけるか相談している。
(シェリーを見つけるにはどうすればいいと思う?)
(そうですね……の首飾りに含まれるレオ様の魔力で私が見つけられますが……なぜか現在、見つけることが出來ません)
(見つけらるけど見つけられない? どういうこと?)
(はい、理由はわかりませんがペンダントの魔力を見つけることが出來ないんです)
壊されたということか?
(なるほど……それじゃあ、新しく何かアイテムを造らないと……)
(そうですね。アイテムを造ってしまった方が確実に見つけられると思います)
「よし、急いでアイテムを造らないと」
俺はアンナを外してリュックに手を突っ込んだ。
「お~頑張ってるね。しのシェリーちゃんを助けられるといいね」
後ろから不意に聲がしたので、急いで振り返った。
「お、お前は……」
そこにいたのは……おじさんのライバルであるアレンだった……。
ど、どうしてここに?
「どうも。君、立派な家に住んでるね。しかも恐い警備員がたくさんいてびっくりしたよ」
あのゴーレム達も隠があったら意味がないか……。
「それで? どうして僕の所に來たの?」
冷靜を裝って俺は質問をした。
アレンがここに來る意味がわからない……。
「ああ、これを渡そうと思ってね」
アレンは俺に向かって何かを投げつけてきた。
俺は慌ててそれをけ取った。
「これは……」
俺の手にあったはの首飾りだった。
「それ、しのシェリーちゃんが凄く大切にしてたよ。今回も助けられるといいね。じゃあ」
「おい!」
アレンを捕まえようとの首飾りから視線を戻すと……そこにはもう誰もいなかった……。
「くそ……後で見てろよ」
俺は消えて行ったアレンにそう呟きながらアイテムを造る準備をした。
今のはきっと、俺に対しての宣戦布告だろう……。
それなら、今はアレンよりもシェリーを見つけ出すことの方が大事だ。
俺は、リュックから使えそうなをあれこれ出して、魔石と一緒に創造魔法を使おうとした。
コンコン
「今度はなんだ? っていいよ」
「失禮します。お忙しいところすみません。レオ様とお會いしたいとおっしゃっているお客様がおられます」
って來たのはエリックさんだった。
「え? この時間に?」
だって、今は夜中だよ?
「はい。ですが、斷れるような相手ではありませんでしたので……」
斷れないような相手?
「いったい誰が來てるの?」
「それが……クリフ皇子です」
「く、クリフさん? わかった今すぐ行くよ」
ど、どうしてクリフさんがここに?
何を考えているんだ?
もしかすると今回の犯人はクリフさんのお母さんだ。
それなのにどうして俺の所に來たんだ?
そんなことを考えながら、俺は応接室にった。
「やあ、レオ君。お晝ぶりだね」
「ど、どうも」
「こんな夜中にいきなり來てしまってごめんね。でも、君に今のうちに教えておかないといけないことがあるんだ」
「教えないといけないこと?」
「そう。今回のシェリーが拐されたことについて教えておきたいんだ」
「な、何か知っているんですか!?」
って、教えてくれるのか?
自分に不利になるんだぞ?
「うん……全部知っているよ……シェリーがどこにいるのかも、犯人が誰なのかも……」
な、なんでそんなことを教えてくれるんだ?
「ど、どういうことですか? ま、まさか……クリフさんが犯人ってことは無いですよね?」
「僕が犯人か……そうだね。僕も犯人かもしれない。だから、これからレオ君にシェリーの居場所を教えたら皇帝の所に自首しに行こうと思う」
もう、意味がわからん。
「え? えっと……クリフさんが忍び屋に依頼したんですか?」
「いや、僕の母だ……でも、止めることが出來なかった僕も悪い……。
イヴァンやアレックスに聞いたかもしれないけど僕って実は気が弱いんだ……。
ずっとお母さんに怒られるのが恐くて恐くて、お母さんの言われる通りに今まで生きてきたんだ。
皇帝らしく……皇帝になれるように……そんなことをずっと自分に言い聞かせてた。
だから、シェリーが拐されると知った時も止めることが出來なかったんだ……。
僕は本當にズルい男だよ……妹の命より自分が怒られないことを選んだんだから」
そう言って俺に説明するクリフさんは晝に會ったときのような明るさはじられなく弱々しく見えた。
なるほど、これがこの人の素か。
「なら、どうしてここに來れたのですか? クリフさんのお母さんに止められなかったんですか?」
「母さんは行方不明だよ」
「え?」
行方不明?
「捕まえられるのがわかってるからその前に逃げたんだ。たぶんここにいるよ。シェリーも」
クリフさんは一枚の紙を取り出して、俺に渡した。
そこには……地図が書かれていた。
「これに書いてある場所にいるんですか?」
「うん。本當にごめん。本當は僕が行くべきなんだけれど……たぶん、お母さんを見たら……だから、僕は母さんがいないうちに自分で皇帝になる道を閉ざそうと思って」
「そうですか……クリフさんにとってお母さんはそんなに恐いんですか?」
「うん、逆らうことが出來ないんだ」
クリフさんは、小さい頃からお母さんに皇帝になるように言われ続け、逆らえないように教育(洗脳)をされていたんだろう。
「そうですか。それなら、僕はこれから急いでシェリーを助けて來ます。本當にこの場所で間違いないんですね?」
確認の為に聞いておく。
「うん。クリフィス・ベクターの名に懸けて……と、言っても僕の名前を懸けてもなんの補償にはならないか。でも、信じてしい」
クリフさんは俺の目をしっかりと見て信じてほしいと言ってきた。
たぶん噓は言っていないだろう。
「わかりました。信じます。ただ、最後に一つ質問させてください」
「答えられることならなんだって答えるよ」
「どうして僕の所に來たのですか? おじさんの所でも仲のいいイヴァン兄さんの所でも良かったんじゃないんですか?」
「うん……それは、君に助けられた方がシェリーにとって嬉しいかなと思って」
「は?」
「そんな驚かないでよ。まあ、それだけが理由じゃないんだけどね。レオ君が強いのは聞いているよ。それにここにいても君の強さを凄くじるよ。多分、ダミアンさんより全然強いでしょ?」
「わ、わかるんですか?」
「うん。僕は人を見る目には自信があってね?」
「どういうことですか?」
「うんん……僕は変わった屬を持っていてね。鑑識魔法が使えるんだ」
「鑑識魔法?」
なんだそれ?
「の価値を見極める能力だと思ってよ」
「なるほど……」
シェリーの魅了魔法と言い、皇族は訳がわからない魔法を持ってるな……。
うん……価値を見極める魔法か……なんとも王に向いている能力だな。
「それじゃあ、僕はそろそろ自首しに行くよ。妹のことを頼んだよレオ君」
クリフさんはそう言って立ち上がった。
「はい。任せてください」
「うん、任せた。じゃあ」
クリフさんは俺に背を向けて部屋から出ていった。
「よし、行くか」
俺は、シェリーを救出に向かった。
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