《継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》》拐されたシェリー
「依頼通りね。これでこの前の失敗は無かったことにしてあげる」
メリッサは壁に拘束されているシェリアを手に持ったランプで照らしながら満足気にアレンに話しかけた。
「どうも。それじゃあ、依頼は無事功したので帰らせてもらいます」
アレンはメリッサにそう告げると外に向けて歩き出した。
「ちょっ、噓でしょ? こいつを連れ出すまでここにいなさいよ」
「いえ、今回は前回の失敗の借りを返す為に報酬なしで働いたので依頼以上のことはしません」
「わかったわよ……行っていいわ」
「ありがとうございます。それでは」
許可を貰ったアレンはすぐに消えてしまった。
「なんなのよ……」
SIDE:シェリア
「う、うんん……」
ここは......?
そういえば私、拐されたんだっけ……。
赤髪の男のことを思い出しながら自分の狀態を確認すると……私は一枚の薄汚い服を著せられて壁に拘束されていた。
そして、自分から視線をかし、今いる場所を確認する……薄暗く、何もない部屋だった。
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「あら、起きたみたいね」
聲がする方に顔を向けて確認するが……暗くて誰がいるのか確認出來そうにない。
ただ、聲には聞き覚えがあった。
「あ、あなたは……」
「私がここにいるのが不思議かしら?」
「ど、どうして? メリッサさんがここにいるの?」
そう、クリフ兄さんのお母さんであるメリッサさんがいた。
「それはね……あなたが邪魔だからよ!」
メリッサさんは私の髪のを摑みながら激怒した。
「じゃ、邪魔? 私の何がいけなかったの?」
私は髪のを摑まれながらも、メリッサさんを落ち著けようと必死に恐怖を押し付けて質問をした。
今まで、メリッサさんと関わることは無かったし何か邪魔するようなことはしていないはずなのに……。
すると……メリッサさんは私の髪から手を放して質問に答えてくれた。
「あなた自は悪くないわ。あなたの存在が悪いの」
「わ、私の存在?」
何を言っているのこの人は?
「そう。あなたが存在している限り、クリフは皇帝になれないの……」
私がいるとクリフ兄さんが皇帝になれない?
それだけで私を拐してきたの?
「わ、私、皇帝になりたいとか思ってないから……クリフ兄さんが皇帝でいいから……帰らせて……」
私は皇帝なんてどうでもいいわ。
それに、ずっとクリフ兄さんがやると思ってた。
「殘念、あなたがどう思っていようと関係ないわ。あ、殺すようなことはしないから安心していいわよ。ただ、私の逃亡資金の為にある國王の奴隷になって貰うわ」
ど、奴隷? 私、奴隷になってしまうの?
「う、うそ……」
「殘念ね……あなたを産んだ母親を恨みなさい」
そう言って、メリッサさんは嬉しそうに笑みを浮かべながら私の肩をポンポン叩いた。
カツカツカツカツカツ
いきなり、どこからか複數の足音が響き渡った。
「あら、やっとあなたのお迎えが來たわよ」
ガチャ
部屋のドアが開けられ、部屋の中がランプので明るくなった。
そして、十人程度の男たちがカツカツとって來た。
「あなたがメリッサ・ベクター様で間違いないでしょうか?」
「ええ、そうよ。あなた達のことを待っていたわ。速くここを出るわよ」
「わかりました。それではこの奴隷を運ばさせてもらいます」
そう言うと男たちは私の拘束を解き、私に手錠をはめ、私の肩を摑み無理やり歩かせようとしてきた。
「ど、奴隷……あ、あなた達は誰?」
「うるさい。次、許可なく聲を発したら毆るからな」
そう言って、一人の男が私の顔に拳を軽く當ててきた。
「おいおい、國王様の奴隷に傷を付けたりしたらお前の首が飛ぶぞ?」
「そんなことはわかっているさ。脅しだよ脅し。ほら、行くぞ」
「いや! あなた達、私を放しなさい!」
私は、咄嗟に男たちに魅了魔法を使った。
きっと、これで逃げることが出來るはず。
「おいおい。喋るなって言ったろ?」
「な、なんで……」
魅了魔法は功したはずなのに……男たちは私の拘束を弱めるどころかより強めてしまった。
「どうしてお得意の魅了魔法が俺らに効かないか? 簡単だ。しっかり対策しているからだよ」
「そ、そんな……」
「殘念だったな。それじゃあ、許可なく聲を発したから毆りはしないが罰を與えるか」
ば、罰?
「な、何をするの?」
「なに、傷は殘らないさ」
そう言う男の手には、小さな雷魔法があった。
それが私に命中し、全に痛みが走った。
「キャ~~!!」
あまりの激痛に私は普段は出さないような悲鳴を上げてしまった。
「次からは気をつけな」
男は、そう言って私を無理やり立たせた。
「あなた達、さっさと運びなさいよ! 急がないと見つかってしまうわ」
「ご心配なさらず。しっかりと奴隷商に変裝して運びますので見つかる心配はありません」
「あなた達のことはどうでもいいのよ! さっさと私に金をよこしなさい! 私は急いで実家に帰らないといけないんだから」
「はいはい。約束の金ですよ。それでは」
そう言って男がメリッサさんに大きめの袋を渡すと……私を連れながら部屋を出た。
さっきの激痛で、私には抵抗する力も気力も無くなってしまった……。
言われた通りに階段を上がるだけ。
ガチャ
「よし、誰もいないな。さっさとこの奴隷を馬車に突っ込んで王國に向かうぞ」
そう言って、先頭にいた男が合図を送ると私は外に出された。
外はまだ暗く、本當に誰もいなかった……。
ああ、もう私は本當に奴隷になってしまうんだ。
「やっと見つけた……遅くなってごめんねシェリー」
不意に私を呼ぶ聲が聞こえたと思ったら、浮遊に襲われていた。
そして、気がついたら誰かに抱きかかえられていた。
「え? レオ?」
顔を上げるとそこには、ずっと待っていたレオの顔があった。
「うん。助けに來たよ」
「レオなの? 本當にレオなの?」
「そうだよ」
「良かった……ありがとう……でも、遅いわよ……」
本當に遅いわ。
「うん、ごめん……恐かったよね……ごめんよ」
レオは謝りながら私を強く抱きしめた。
「……うん、凄く恐かった」
手錠のせいで抱き返すことはできないけど、その分、一杯レオにをり寄せた。
すると……しずつさっきまでの不安が無くなり安心に包まれた。
そして、涙が込み上げて來た……。
「レオ……レオ~ れぉぉお~~」
私は何度も泣きながらレオの名前を呼んだ。
レオは……靜かに背中をさすってくれた……。
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