《継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》》シェリーを救出

現在、俺はクリフさんに教えられた場所にダッシュで向かっている。

教えられた場所は帝都の端、商業街の中でも治安が悪い場所だった。

夜中であるのでこんな場所に人がいるはずもなく、人を気にせずに全力で走り続けた。

犯人たちが帝都から逃げるとしたら、人通りのないこの時間だろう。

だから、急がないといけない。

そして……クリフさんに教えられた場所にたどり著いた。

目的の建は明かりが無く……暗かった。

「くそ……行ってしまったか? いや、あそこに馬車がある」

から離れた所に馬車が留められていた。

もしかすると……あそこにシェリーが隠されているかもしれない。

そう思って、馬車の中を覗き込んだ。

しかし、いない。

「いないか……もう、行ってしまったか? だとしたらこの馬車は何だ? 普通、馬が繋がれた狀態で放置しないよな?」

そう、この馬車はおかしいのだ。

誰も乗りそうにないのに、いつでも使えるようにスタンバイさせている。

Advertisement

こんな治安があまりよろしくない場所の人なら、置いたままなんてことはしないはずだよな……。

と、いうことは、まだ犯人は建の中にいるな。

「これは……突だな。まだシェリーは生きている」

俺は、シェリーがいるであろう建のドアを開けようと近づいた。

すると、ドアの向こうからカツカツと複數の足音が聞こえてきた。

「誰かが出て來る。隠れないと」

俺はひとまず、屋に飛び乗った。

そして隠れていると……一人の男が出てきた。

その男は、周りをきょろきょろと見回すと、ドアに向かって聲を掛けた。

「よし、誰もいないな。さっさとこの奴隷を馬車に突っ込んで王國に向かうぞ」

奴隷?

こんな時間に奴隷を運ぶなんて怪しすぎるでしょ。

そんなことを考えていると……案の定、中からぞろぞろと男たちが出てきた中にいたのはシェリーだった。

シェリーの顔に生気は無く、既に諦めた顔をしていた。

よっぽど恐い思いをしたのだろう。

本當に申し訳ない。

「やっと見つけた……遅くなってごめんねシェリー」

気がついた時には、既に助けていた。

シェリーも凄く驚いた顔をしていた。

「え? レオ?」

「うん。助けに來たよ」

「レオなの? 本當にレオなの?」

「そうだよ」

「良かった……ありがとう……でも、遅いわよ……」

「うん、本當にごめん……恐かったよね……ごめんよ」

俺は、そう言ってシェリーを一杯抱きしめた。

するとシェリーは安心したのか、俺の名前を呼びながら泣き出してしまった。

俺は黙って、心の中で謝りながら背中をってあげた。

「おい! さっさと降りて來い!」

「うるさいな……今いいところなのに……先に倒しておけばよかった。ごめんねシェリー。ぱぱっと終わらせて來るから、し待っててくれる?」

「わかった……すぐ帰って來てね。まだ泣き足りないから」

「わかったよ」

俺はシェリーから一旦離れて、セレナを召喚した。

「セレナ、よろしく」

(やったー 久しぶりの戦闘だ~)

「うん、じゃあやるか」

俺は、屋から降りた。

「お、まだ子供じゃねえか。お前らやっちまえ」

リーダーらしき人が仲間に命令すると一斉に攻撃を仕掛けてきた。

こいつら……しっかり訓練されてる。

命令されてからの行がそこら辺のごろつきとは思えないきだ。

「これは、どこの誰だかしっかり調べないとね」

そう言って、俺は攻撃してきた全員を一瞬で倒した。

倒すと言っても、剣では切ってはいない。

軽く毆る蹴るで眠って貰っただけだ。

殺したら事聴取が出來ないからな。

「う、噓だろ……こんな子供に一瞬で……お前は誰だ?」

「そんなことはどうだっていいじゃないか。それにそれはこっちのセリフだし」

「くそ……」

男は辺りを見渡した。

「逃げようとしても無駄だよ。お前はもう逃げられない。だから、諦めな」

「そうだな……逃げられそうにない、な」

男は不意打ちのつもりか、隠していた手から雷魔法を撃ってきた。

「無駄だって、はい終わり」

俺は魔法を簡単に避けて、リーダーの腹に拳を一発。

リーダーは腹を押さえて倒れた。

「ふう、こいつらどうしようかな。あ、いいところに馬車が。あれで城にまで運んじゃお」

それから男たちを馬車に詰め込み終わって、シェリーを迎えに行く。

「遅かった?」

「うん、遅い」

「ごめん。これでも急いだんだけどね」

俺はそう言いながらシェリーの枷を剣で壊す。

そして、抱き上げる。

「そうなの? なら許す」

「ありがとう。泣いていいよ?」

「遅いから涙が収まっちゃったわ」

「あらら、それならもっと急いだ方が良かったな~」

そんなことを言いながら、屋から降りる。

「あれ? あの男たちは?」

「馬車の中。全員気を失ってるから心配ないよ」

俺はシェリーを安心させつつ、隣に座らせて馬車の運転を始めた。

馬車の運転は何度かの旅で見て覚えた。

つまり、初運転だ。

けど、心配はない。

夜中なので人通りがないから、多運転が荒くても大丈夫だろう。

そんなことを考えて馬車を走らせていると、シェリーが肩に頭を乗せてきた。

「レオ……」

「何?」

「今日は助けてくれてありがとう。正直、もう誰にも助けて貰えずに奴隷にされると諦めてたんだ」

「本當にごめんね……一回目の念話を貰った時點でどうしたのか聞き返すべきだったよ……」

本當にあれは確認するべきだった。

「あの念話屆いたんだ……あの赤い髪の男に拐された時に念話したんだ」

「赤い髪……そういえば! アレンを見つけ出すのを忘れてた!」

シェリーを助けることに集中し過ぎて忘れてた。

アレンに挑発されたんだった。

「ああ、あの人なら私が目が覚めた時にはどっか行っちゃったよ」

どっか行った? 俺が來るのをわかっていたのか?

「そうか……いつかやり返してやらないと」

「うん、お願い……。ねえ、レオ」

「何?」

呼ばれたので返事をする。

「こっち向いて」

「え? うん」

俺はよくわからないが、言われた通りにシェリーの方を向いた。

「今日のお禮」

シェリーがいきなり軽いキスをしてきた。

「っちょ? え?」

俺は現在混中。

顔が真っ赤になってしまった。

「前を向いて。安全運転でお願い」

「え? あ、うん」

シェリーの言葉に思わず、何も聞けずに前を向いてしまった。

一瞬見えたシェリーの顔も凄く赤かった……。

こうして、シェリーの救出は功した。

    人が読んでいる<継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください