《継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》》師匠の店をどうにかしよう作戦①
師匠に弟子りしてから一ヶ月が経った。
あれから、毎日夜遅くまで魔方陣について師匠に教わり、基本的なことはだいたい覚えることができた。
それと、何故か帰ってからのベルに話しながらの復習を毎日やっていた。
ベルと一緒に寢落ちしてしまった次の日、「ベルが今日もお願いします」って言い出した……。
「申し訳ないからいいよ」って俺は斷ったんだけど……
「いえ、今日からは途中で寢るなど失禮なことはしないのでお願いします。メイドとして名譽を挽回させてください。お願いします」
と言いながら俺にお願いしてきたので……斷れず、毎日復習に付き合って貰うことになった。
それからも、まあ、たまに起きたら、一緒に寢ていることが何回もあった。
たぶん、俺が起きる前にベルが起きてベッドから抜け出した日もあるだろうから、それも數えるとほとんど一緒に寢落ちしていたかもしれない。
まあ、俺的には寢つきが良くなるからお願いしたいと本気で思ってしまったり……。
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ゴホン!
それはさて置き、今日から師匠に教わるのを一旦終わりにして、師匠の店の改善を始めることになった。
「それじゃあ始めますよ師匠」
「お、おう……」
「師匠は、外裝を綺麗にしてください。その間に俺はこの荒れ果てた裝を綺麗にするので」
「わかった」
「とりあえず見た目からどうにかしましょう。今の店は営業しているのかさえ疑われてしまうような狀態なんで」
「ああ、それじゃあやってくる」
 俺の話にうなずくと師匠は掃除道を持って外に出ていった。
「よし……俺も始めるか」
まず、俺は部屋の掃除を始めた……と同時に終わった。
「ふう、難無く終わった~やっぱりこの魔法は便利だな~」
俺は聖魔法の一番簡単な清浄魔法を使った。
この魔法は、アメリーさんやリーナが使っているのを見て覚えた。
これは、魔力に応じて広い範囲を清浄できるという凄く便利な魔法だ。
俺の魔力があれば、この店はあっと言う間に綺麗になってしまう。
「それじゃあ、問題の商品棚の改善を始めるか……」
俺は一旦、ぐちゃぐちゃに並べられた商品たちを棚から下ろした。
そして、用途によって配置する場所を変えて、それぞれに値札を手前に置いておく。
更に、需要がありそうなには商品の説明を置いておく。
最後に、不注意に試したら怪我をしてしまいそうなには、警告のシールをっておいた。
シールやら値札やら、全て創造魔法で造れるから思っていたよりも簡単に終わった。
「ふう、綺麗になった……」
改裝が終わった店を眺めて一息ついた。
「レオ、終ったぞ~って、とんでもなく綺麗になってる!? お前、魔法でも使ったのか?」
「はい、使いました。師匠もお疲れさまでした」
「お、おう。って、どんな魔法だよ!? 今の冗談のつもりなんだが?」
「創造魔法ですよ。ほら」
そう言って、俺は適當に値札を造った。
「は? お前、そんなことが出來るのか?」
「はい」
「そ、そうか……」
なんだ、その『こいつ、思っていたよりヤベー奴だ』みたいな顔は?
「それより、これからのことについてお話をしましょう」
「お、おう。これだけ綺麗になれば客も來るようになるんじゃないか?」
「いえ、たぶん來ないです」
「そ、そうなのか?」
「はい、そんな簡単には客は戻って來ませんよ」
皆、魔法をフェルマーで買うのが當たり前になっている。
そんな狀況で、客を呼び込むのは大変だろう。
「そ、それじゃあ、これからどうするんだ?」
「実はですね…………」
それから、俺は師匠に向けて一つの案を出した。
「それは面白いな……たぶん、いや、確実に繁盛するな……」
「はい、俺もそう思います。そのためには、師匠に頑張ってもらわないといけません」
「おう、任せておけ! 絶対にいいを造ってやる」
「それじゃあ、よろしくお願いしますね。俺は他のことをやりますので」
「わかった。頼んだぞ!」
「それじゃあ、まずは鍛冶屋だな……」
店でやれることを師匠に任せ、俺は鍛冶屋に向かった。
「いらっしゃい。おお、子供か珍しいな。どうした?」
 鍛冶屋にると腕が凄く太い店主が対応してくれた。
ここの店もどこかの店と違って、子供相手でも優しく接客してくれるみたいだ。
「実はですね。ある剣をたくさん作ってもらいたくて……」
「おう、なんだ? 何でも言え。剣を作るのが俺の仕事だからな」
「それじゃあ、こういうを作ってもらいたんですけど…………」
それから、しい剣がどのようななのかを細かく説明した。
「お、おう……作るのはいいんだが、これを使ってどうするんだ?」
「商売ですよ。いい商品が出來たら持って來ますので楽しみにしていてください」
「わかった。もし、凄いが出來たらこの店でも並べさせて貰おうかな」
「それはいいですね。その時は安く売りますよ」
「それは楽しみだ。それじゃあ、注文通りに作っておくよ」
「ありがとうございます! 次は……おじさんの所だ」
「おじさんの家は……確か、ここだ」
今日は、おじさんは休みらしく家にいるみたいだ。
そういえば、おじさんの家に來るのは初めてだな……。
なかなかの大きさで、城の近くに建っていた。
り口の前に立ち、呼び鈴を鳴らす。
「は~い。あら、レオくん。うちに來るなんて珍しいですね。どうしたんですか?」
出てきてくれたのは、エリーゼさんだった。
そう言えば、この二人は本當に夫婦だったんだな。
「おじさんに頼みたい事があって……今、いますか?」
「た、頼みたいこと? わかったわ。奧の部屋にいるわよ」
そんなに、俺の頼みごとって恐いものなの?
エリーゼさん……深刻な顔になっちゃったよ。
「レ、レオくん!? どうしたの?」
おじさんの所に案され、僕の顔を見たおじさんは凄く驚いた顔をしていた。
俺の顔を見てそんなに驚かなくてもいいじゃん。
「おじさんに頼みたい事があって來たんだ」
「た、頼みたい事? 何かまた事件でもあったの!?」
どうしてそうなっちゃうのかな~。
「事件じゃないから安心して」
「良かった……正直、レオくんが僕の所に來た時って本當にヤバいから、恐いんだよね」
「そ、そんなことは……」
否定したいけど、言われてみればそうかも……。
「それで、どんな頼み?」
「うん、実は…………」
それから俺は、頼みたい事を説明した。
「へ~面白いことを考えたね~」
「でしょ? 帝國の為にもなるし……お願い!」
「うん……こればかりは陛下の許しを得てからだな」
「そ、そうだよね……頼みに行くか……」
次に行くところが決まったな。
皇帝の前でも同じプレゼンをやらないといけないのか……。
「普通、皇帝ってそんな軽いノリで會えるものじゃないからね?」
「でも、おじさんも一緒だし大丈夫でしょ?」
「そうだけど……」
******
「面白い! やってみよう」
「そ、そんなに簡単に許可を出していいんですか?」
皇帝の予想以上の即決ぶりに、おじさんが慌てていた。
「ああ、これは帝國の為にもなるし……俺も見たいから許す」
絶対、後半が本音だな。
「そ、そうですか……わかりました。心の準備をしておきます」
今回のメインになるおじさんは、諦めたような顔をした。
「ふう、これでだいたい僕の仕事は終わりかな……」
とりあえす一安心だ。
「何を言っているんだ。これから君にも働いてもらうよ」
「え?」
「そんな簡単に承諾するわけがないじゃないか。これから、レオ君の提案をもっと盛大にするために頑張ってもらうよ」
「は、はい?」
「いや~楽しみだな~そうだ、後でディオルクに面白いことをやるから見に來いって手紙を送っておかないとな」
あれ? おかしいな……俺が言い出したことなのに皇帝が主導権を握っているぞ?
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