《継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》》師匠の店をどうにかしよう作戦③

「師匠の技を使って魔剣を作ってみませんか?」

「魔剣? あの、魔王の剣か?」

「はい。師匠の雷魔法の棒を見て思いついたんですが、あの技を使って魔法を纏うことが出來る剣を作ってくれませんか?」

「それは面白そうだな……ただ、剣は作れないぞ俺?」

「それはわかっていますよ。剣の刃の部分は鍛冶屋に頼みます。それで、持ち手の部分は師匠にお願いします」

「なるほどな。それなら出來る」

「それは良かったです。それじゃあお願いします。僕はこれから鍛冶屋に注文してからおじさんに広告塔になって貰う様に頼んできます」

「ん? 広告塔?」

「はい、僕のおじさん、ダミアン・フォースターに闘技場で剣の凄いところを披して貰おうと思いまして」

「ダミアン・フォースターって確か……皇帝の側近だったよな?」

「はい、そうですよ。特殊部隊の隊長です」

「そんなお偉いさんに頼んでも大丈夫なのか?」

「大丈夫ですよ。しっかりと説得できる材料はありますから。おじさんが師匠の剣を使って強い魔に勝っているところを見れば誰だってしくなると思いますよ」

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「お、おう……それは面白そうだな……」

******

「休みの日にわざわざすみません」

俺は皇帝に頭を下げた。

「いや、いいよ。いつもお世話になっているからな。それに、何か面白い話を持って來たんだろ?」

皇帝は俺に向かってニヤリと笑った。

「はい、持って來ました」

「そうか、なら聞かせてくれ」

「わかりました。その前に一つ、皇帝陛下はこの國に今、一番必要なものはなんだと思いますか?」

「必要な? うんん……力か?」

「惜しいです。でも、違います。答えは國民の安心だと思います」

「國民の安心? 我が國の國民は不安なのか?」

「はい。この國の力の象徴である勇者が死に、その後、二度も襲撃や拐が帝都で起こっていますから……なからず帝國の力に疑いを持っている人もいると思います」

「そうか……確かにな。それにしても今日のレオ君は舌が回るね……何が目的なんだ?」

流石皇帝、無駄なおしゃべりは終わりにするか。

「それはですね……おじさんに闘技場で強い魔と闘って貰おうと思いまして」

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「それだけか?」

「えっと……ある剣を使って戦って貰います」

「ある剣とは?」

「魔法です」

「魔法? どういうことだ?」

「えっと……魔法の技で作られた魔剣です」

「ん? そんながあるのか?」

「はい。これから作ります。完したら、魔剣ほどではありませんが今までの剣とは全く別能になりますよ」

「面白い! やってみよう」

《一週間後》

「ここどこ?」

現在、丸一日馬車に乗せられて、どこにあるのかわからない森の前に連れて來られていた。

「ここは強力な魔が多く生息する森だよ」

「そんな場所があったんだ……今度暇な時にでも一人で來てみよう」

もちろん、転移でね。

「それじゃあ、るよ! 全員、森にったら一瞬たりとも気を抜かないこと。場合によっては強力な群れと當たるかもしれないからね」

俺が獨り言を言っている間に、おじさんは部下に指示を出していた。

森の中にってしばらくして……俺はある事に気がついた。

「うん……し雰囲気が魔の森に似ているかな……」

なんというか……常に、魔力がを覆っているような気がする。

「お、流石経験者。ここはね。魔の森と同じで魔力が自然に満ち溢れているんだ」

「なるほどね。それでここの魔は強くなっているんだ」

「そうだね。ちなみに、魔の森で一獲千金を目指している冒険者は必ずここに挑戦するんだよ」

「へ~それじゃあ、魔の森程は強くないんだね?」

「そうだけど……レオくんは、僕に魔の森の化けと闘わせたいの? たぶん死ぬよ?」

「そ、そういう意味じゃないよ! それより、早く強い魔を見つけて捕まえてしまおうよ!」

「あ、話を逸らそうとしているな? まあ、進んでいればすぐに魔と出會えるよ。ほら、もう出た」

おじさんがそう言って指さした方向から、バキバキと木が倒される音が聞こえてきた。

それから、段々と音が大きくなってきた……。

そして、現れたのはデッカイ蛇だ!

「うお! 大きなサーペントだね。まあ、そこそこ強いからとりあえず捕まえるか」

おじさんはそう言うと、部下に指示を出し始めた。

「そういえば、どうやって捕まえるの?」

「ああ、眠らせてから拘束でガッチガチに固定するんだよ」

「へ~でも、どうやって眠らせるの?」

「この強力な睡眠薬を塗った矢が刺さればどんな魔も寢てくれるよ」

そう言って、おじさんは瓶にったを見せてくれた。

「わかった。それじゃあ、僕は矢が當たるまでの時間稼ぎをしておくよ」

「うん、お願い」

「さっきまでずっと馬車だったから、きたくて仕方が無かったんだよね~」

「シャ~~」

肩を回しながら近づいて行くと、巨大な蛇が威嚇をしてきた。

すぐに襲って來ないところを見るに、もしかすると俺の強さがわかるのかな?

「ほら、かかって來なよ」

そう言って、軽い魔法で挑発した。

「シャァ!」

顔に魔法が當たって、怒った蛇はようやくき出し、猛スピードで近づいてきた。

「そうそう、こっちこっち」

俺は、逃げながら蛇の顔に傷にならない程度の魔法を撃つ。

「今だ!」

タイミングを見計らっていたおじさんの合図と共に矢が放たれた。

そして、矢は蛇のにいくつも刺さった。

その痛みに怒った大蛇は狙いを俺からおじさん達に変えた。

「ちょっと。狙いはこっちだよ!」

それを阻止するために慌てて顔に魔法を撃った。

すると、思い出したかの様に狙いを俺に戻して猛スピードで向かって來た。

「おじさん! 薬が効くのってどのくらいなの?」

「たぶん、あと五分くらいだから頑張って!」

「わかった!」

五分くらいなら余裕でしょ。

《數分後》

「やっとかなくなった」

さっきまでのきが噓であったかのようにサーペントは寢てしまっていた。

「ほら! 起きる前に急いで拘束して!」

その號令と共に、拘束を持って待機していた人たちが寢ている魔に走って行った。

「ふう、これで終わりだね」

「簡単に終わり過ぎてちょっとつまんないけどね」

もうきたかったな~。

これからまた馬車移なんだよ?

「まあまあ。これからこれを運ぶのが大変なんだから」

「そうだね。どうやって運ぶの?」

「森の外にある臺車まで引きずって行って。あとは臺車で闘技場に持って行くよ」

「なるほどね。それじゃあ、森にってすぐに魔を捕まえられたのはラッキーだったんだ」

「そうだね。あとは帰りに強力な魔と遭遇しないことを願うしかないよ」

「それフラグな気がする……」

『グアアア~~~~』

「な、なんだ? どこから聞こえるんだ?」

「う、上だ!」

ほら來た!

上空には大きな羽を持った魔がいた。

「総員、急いでサーペントから離れろ! あいつの狙いは大きな餌だ」

おじさんの予想通りに大きな魔は大蛇の上に降り、食事を始めた。

「あらら、折角捕まえたのに殘念。確かあれって、ワイバーンだよね?」

が違うけど、ダンジョンで見た奴と一緒だ。

「うん。そうみたいだね……全員、刺激を與えないように靜かに離れるんだ」

皆、おじさんに従い音を立てないようにゆっくり退散する。

「ねえ、おじさん」

「ん? どうした?」

「さっきの睡眠薬って、まだある?」

「うん……あるけど……あいつに矢は刺さらないよ?」

「大丈夫。いい案を思いついたから。原でちょうだい」

「まあ、いいけど……はい」

「ありがとう! それじゃあ、行ってくる!」

睡眠薬を貰った俺は、パッと転移した。

「ど、どこに? もしかして……あ、あんなところに」

ワイバーンの近くに転移した俺はさっそく話しかけた。

「どうも、お食事中に失禮。これをかけると味しいよ」

そう言って、ドボドボとサーペントのに睡眠薬をかけた。

いきなり現れた俺に、ワイバーンはビックリしつつも食事を邪魔されたことに怒り、俺に向かって腕を振り下ろした。

「ごめんごめん。それじゃあ、食事を続けて」

そう言って、俺はワイバーンの攻撃が當たる前に転移で逃げた。

「これで無傷のワイバーンが手にるね」

「そ、そうだけど……相変わらずやることが大膽だね」

「大膽だけど、良かったでしょ? これで無駄に魔を探す必要が無くなったし」

「そうだね……ワイバーンが寢たら急いで拘束して! さっきよりも數倍に強力にするんだよ」

おじさんは俺に呆れながら、部下に指示を始めた。

それからしばらくして、ワイバーンは蛇に食らいつきながら寢てしまった。

「ふう、これで任務完了だね。思ったよりもいい収穫だったから皇帝も喜んでくれるかな」

「喜んでくれるだろうけど……僕的にはもうし楽な相手と戦いたかったな~」

おじさんは大勢の人に運ばれているワイバーンを見ながら憂鬱な顔をした。

「まあまあ、お詫びに特注の剣をあげるから頑張ってよ」

「わかったよ……ちなみにその剣はどのくらい凄いの?」

「魔法の力で刃をくしたり、魔法を纏わせたりできるんだよ!」

昨日、師匠に試作品を見せて貰ったんだけど、ちゃんと魔剣になっていたから驚いたちゃったよ。

「それは凄いね。でも、剣に付けられる魔石程度ではそこまでの威力が出ないんじゃないの?」

「流石おじさん。わかっているね~だから、おじさんには特注品をあげるんだよ」

特別なんだよ?

「どういうこと?」

「魔石を使わない魔法だよ」

「え? どういうこと? 魔法に魔石が無い狀態でどうやって使うのさ?」

「おじさん自が魔石の役割をすればいいんだよ」

「ん? どういうこと?」

「おじさんが直接剣に魔力を注げばいいんだよ。おじさんの魔力量があれば魔石は必要ないからね」

その分、魔力の消費は大きいんだけど。

「そういうことね。それなら、使いやすいかも」

「うん。でも、魔力作が使える人しか使えないのが難點なんだよね」

だから、売りにはならない。

「そうなの? それじゃあ、うちの部隊に持たせようかな。皆、魔力作は出來るし」

「わかった。師匠に頼んでおくよ」

やった~客ゲット!

「レオくんの師匠か~今度會いに行ってみよう」

「優しいおっさんだよ」

「へえ~それは是非とも會いたいね。今度、剣のお禮を持って會いに行ってみるよ。それじゃあ、帰るか」

二人で話している間にワイバーンの運搬が終わったみたいだ。

これから、また長い長い移ひまな時間だ。

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