《継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》》エルシー會長

現在俺は、何十人の前に立っていた。

「はじめまして皆さん、レオンス・フォースターと申します。よろしくお願いします。

今日から遂に営業が開始ですね。まあ、皆さんからしたら再開の方が正しいのかもしれませんが。

これから、皆と助け合いながら頑張っていきたいです」

そう、新しくできるエルシーさんの店にいる。

開店前のちょっとしたミーティングだ。

今日は最初だから盛大だけど。

隣にはエルシーさん、師匠、コルトさん、モーランさんがいる。

エルシーさんの首にはもう、首はない。

だいたい二週間前、奴隷商に行って取って貰った。

俺も一緒について行ったんだけど、首が思っていたよりも簡単に外れて驚いた。

単純に切斷して終わりだったんだ。

それだけなら、奴隷商に來る必要なくね?

と、思ったんだが、一般人が奴隷の首を壊すのは違法みたいだ。

それと、奴隷商で奴隷魔法を解除してもらわないと首を壊しても主との奴隷関係は続いてしまうらしい。

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まあ、こうしてエルシーさんは奴隷ではなくなった。

本人的には、急な展開で嬉しいかどうかはわからないそうだ。

うん、本當に急だよな。

もっと早く言ってくれても良かったじゃん。

そんなことを考えながら、意識を頭の中から現実に戻した。

「これからよろしく! まあ、職人組には二週間前から會っていたけどな」

今話しているのは師匠か。

師匠は、エルシーさんがコルトさんの跡を継ぐって決まった次の日から、フェルマーの職人たちを鍛え始めた。

その師匠の講習會に、俺は強制參加だった。

毎日、フェルマーの職人に混ざって練習していた。

その結果、職人達とめっちゃ仲良くなりました。

今では、レオ坊と呼ばれていて講習會後、職人のおっちゃん達に飯をおごって貰らっている。

俺的には、なかなか楽しい二週間だった。

それと、並行してエルシーさんは商會の経営をコルトさんとモーランさんに教わっていた。

とんでもなく大変そうだったけど、楽しそうだったから大丈夫だろう。

そして、俺はこの商會の後ろ盾になるそうだ。

なんでも、大きな商會になると貴族が後ろ盾に付くのが風習らしい。

まあ、簡単に言うと貴族の覇権爭いだな。

貴族は、後ろ盾になった商會を政治の駆け引きに使う。

商會側は、貴族側からいろいろと援助してもらえる。

それと、大きな貴族の家が後ろ盾になるとそれだけで客が集まるそうだ。

ちなみに、元々フェルマー商會はフィリベール家が後ろ盾だったみたいだ。

フィリベールって確か……あのぽっちゃりの家だったかな……?

そんなわけで、俺の初めての貴族としての仕事はエルシーさんの店の後ろ盾をすることとなった。

まあ、後ろ盾としてやる仕事はほぼ無いに等しい。

俺の主な仕事は、思いついたアイディアを提供することだ。

今回は、魔剣みたいに作るのが難しいはやめてくれと言われている。

だから、今回は実用的なを用意しました。

その名も掃除機、洗濯機、冷蔵庫だ。

これは、実用的で絶対に売れる気がした。

けど、全て卻下された。

既に冷蔵庫は存在していたみたいだ。

それに、聖魔法の清浄魔法があるから掃除機は売れないと言われてしまった。

洗濯機も上に同じ。

こうして、俺は撃沈した。

その後も諦めずに考え続けた。

この世界で実用的で売れそうな……

うんん……難しいな……。

この世界って、基本的に魔法が便利すぎるんだよ!

そのを探すのなんてとても無理だよ……。

うん……どうするべきか……。

実生活じゃ使わないの方が売れそうだな……。

特に、魔との戦闘で使う

結局、また武か……。

何か前世の武で売れそうなもの……。

この考えに至ったら案外すぐに思いついた。

銃だ。

魔法の銃、魔銃を作れば売れる気がした。

早速、師匠に提案してみると

「待ってろ。今、試しに作ってみる」

そう言って、作り始めてしまった。

それから數時間経って

「出來たぞ。うん、これならあいつらの技でも作れる。流石レオだな」

師匠からお褒めの言葉をいただいた。

その後、フェルマーの職人達に作って貰ったら問題なく出來上がった。

「おお、凄いなレオ坊。これは絶対に売れるぞ」

「そうだな。量産は難しいけど、これは冒険者の間でちょっとした革命が起きるんじゃないか?」

「起きると思う。魔法を使えない人もこれと魔石があれば魔法で攻撃できるんだから」

職人達はそんなことを言っていた。

俺が考えた魔銃は、引き金を引くことで簡単な魔法を撃ち出す魔法だ。

これの凄いところは、魔石に含まれる魔力がある限り撃ち続けることが出來るってところだ。

確かに、これがあれば冒険者の闘い方が変わるかもしれないな。

な魔法使いは貴族に高い金で雇って貰える。そのため、ほとんどの魔法使いはわざわざ危険な冒険者になろうとは思わないそうだ。

だから、ほとんどの冒険者は剣だけで魔と闘っているらしい。

そこに、魔銃だ。

これがあれば誰もが簡単に遠距離から攻撃が出來る。

そのおかげで、冒険者のリスクが下がるはず。

うん、絶対に売れる。

おっと、また意識が現実から遠のいていた。

今は……モーランさんの話が終わりそうだな。

これから、エルシーさんが話し始めるところかな?

SIDE:エルシー

今日まであっという間だったな……。

二週間前、私がこの商會を任されることになってから本當に忙しかった。

モーランさんに商會の仕組み、経営を頭に叩き込まれたり

これから一緒に働く従業員となるべく早く打ち解けられるように流を図ったり

接客の教育をしたり

休む暇がなかった。

でも、商會の基本的なことはわかったし

従業員と打ち解けることも出來たから良かった。

まあ、忙しかったのは私だけじゃない。

ホラントさんは、店の営業が終わってから毎日職人の教育をしてくれた。

レオくんは、職人と仲良くなりながら新商品のアイディアを出してくれた。

コルトさんは、ホラントさんの店で働きながら私の経営者としての教育をしてくれた。

本當に、謝しかない。

「次は會長、最後の締めをお願いします」

あ、私の番になってしまいました。

「はい。改めまして、これからこの店を任されましたエルシーです。よろしくお願いします。そして、皆さん、本當にありがとうございました。

今日、こうして営業を開始できるのもここにいる皆さんのおかげです。この店はここにいる皆の店だと思います。これから、たくさんの苦悩があると思いますが、全員で助け合いながら乗り越えていけたらと思います。

私は皆さんに頼ることが多いと思います。でも、その分、皆さんも私を頼ってください。些細な相談でも構いません。その時は絶対に全力で向き合います。遠慮する必要はありません。皆でこの店をよくしていきましょう。

この店はここにいる全員の店です。それじゃあ皆さん、これから頑張っていきましょう」

なんとか言い切った……。

私は、安堵しながら頭を下げた。

パチパチパチパチ……

店の中が拍手で響き渡った。

「拍手、ありがとうございます。それじゃあ皆さん、持ち場についてください。開店ですよ」

私の號令と共に、皆が一斉にき出した。

さあ、今日も一日頑張りましょう。

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