《継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》》勉強會

新學期が始まって二日目

今日も昨日と同じ様にフランクと一緒に教室に向かっている。

「昨日、あれからどのくらい先生と話したの?」

「すぐに終わったよ。先生も何があったのか知りたかっただけみたいだし」

「へ~それは良かったね。それにしても、今回ばかりはヘロンダス先生も終わりだな」

そう言えばそんな話を昨日、先生が言っていたな。

「昨日、クビになるって聞いたよ」

「あ、やっぱり? 流石に皇族の婚約者相手にやり過ぎたな」

まあ、シェリーを泣かせてしまったしね。

今頃、あの人は監獄か。

この國の不敬罪がどのくらい厳しいのか知らないけど、たぶん死刑はないよね?

うん……後で罪を軽くしてもらえるように頼んでおくか。

「ん? あの人だかりは何だ?」

フランクの聲を聞いて視線の先を見ると、校舎のり口に人が群がっていた。

皆、何かを見ているようだ。

「さあ……あ、昨日の結果だよ」

遠くからだとわかりにくいが、り口の掲示板に昨日の績上位者が掲示されているみたいだ。

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「もう張り出されるのか……俺たちも見に行くか」

「う、うん」

俺、自分が何位だったか知っているんだよな……。

「あ、師匠! おはようございます! 見てください! 凄いですよ!」

俺達が掲示板を見ることが出來る距離まで近づくと、人だかりから浮かれた顔をしたヘルマンが出てきた。

「ん? どれどれ……お、フランクが三位だ。凄いじゃん」

ちなみに、二位はリーナで、四位がジョゼッティア・ルフェーブル、五位がシェリーだった。

ジョゼッティアは、公爵家の娘さんだ。

パーティーの時にちょっとだけ話したことがある。

「一位のお前に褒められても嬉しくない」

フランクはそんなことを言いながら本気で悔しい顔をしていた。

たぶんだけど……俺以外の人に負けると思っていなかったから、リーナよりも下だったのがショックだったんだろうな。

まあ、うちのリーナは真面目なんで日々の勉強も怠らないからな。

「二人とも凄いですね。僕も頑張って師匠たちと同じクラスになれるように頑張ります」

もちろん、ヘルマンの名前はランキング表には載っていなかった。

「おう。今日からフランクの部屋で勉強會をやるから、心配するな」

次のテストは俺達で一位から三位を獨占するのが目標だな。

まあ、リーナがいるから実現するのは難しいかもしれないけど。

「ちょ、俺の部屋?」

「うん、いいでしょ? ヘルマンが勉強している間にフランクの魔力を鍛えてやるから」

フランクに勉強を教えても意味が無いのはわかっているから、俺たちに比べて弱い魔力を鍛えてあげるとしよう。

たぶん、リーナとフランクの差は魔法の実技だけだから。

「魔力を鍛える? それなら……まあ、いいか」

フランクも自分の弱點をわかっていてか、渋々承諾した。

「よし、決まりだね」

《放課後》

「「お邪魔しま~す!」」

「あら、坊ちゃまのお友達ですか? どうぞどうぞ。ゆっくりしていってください」

フランクの部屋にるなり、メイドさんが笑顔で迎えてくれた。

「うわ~師匠たちの部屋ってこんなに広いんですか? 凄いですね。僕の部屋はこの半分もありませんよ」

「そうなの? 結構差があるんだな」

使ってない部屋もあるし、一部屋ぐらい分けてあげたい。

本當、貴族って無駄が多いよな。

「おい、二人ともこっちの部屋でやるよ」

「「は~い」」

それから、フランクに案されてヘルマンが勉強機に向かい、俺とフランクはその後ろで立っている。

「それじゃあ、勉強會を始めますか。まずは、算數からやるか……。ヘルマン、この計算をやってみて」

簡単な二桁の掛け算の問題を紙に書いてヘルマンに渡した。

とりあえず、ヘルマンがどのくらい出來ないのか確認しておかないとね。

「わかりました……」

紙をけ取ると、ヘルマンは黙々と計算を始めた。

ん? ひょっとして、思っていたよりも出來るのか?

「出來ました! これでどうですか?」

「おお、見せて……ん? どうしてこうなった?」

スラスラと解いてしまったことに驚きつつ、答案を確認すると、全く違う答えになっていた。

「え? 間違ってましたか?」

間違っていたというか……これは、解き方をわかってないってじだな。

「まあ、これから出來るようになっていけばいいから。心配する必要はないよ」

今から教えるんだしね。

「わかりました。それじゃあ、これをどうやって解けばいいのか教えてください」

「うん、まずこうやって筆算を作って……」

それから、紙に書きながらヘルマンに説明した。

理解するのに時間がかかったが、理解してからは同じような問題はすらすら解けるようになってくれた。

それから、ヘルマンに同じような問題をいくつか解かせている間にフランクの魔力を鍛えることにした。

「フランクって、魔力作のスキルを持ってる?」

「いや、持ってないぞ。それがないと問題なのか?」

やっぱり持ってないか。

「そんなことないから心配しなくて大丈夫だよ。でも、魔力作が出來ると出來ないで魔法の質が変わって來るから持っていた方がいいね」

「そうなのか。それで、どうやったら魔力作を使えるようになるんだ?」

「今、俺がコツを教えてあげるから。そしたらやってみな」

「わかった。って、どうして俺の腹に手を當てているんだ?」

「まあ、すぐにわかるから。 それより、魔力をじてみて」

逃げ出そうとするフランクを拘束しながら、ランクの魔力をかした。

「うん? 何かがの中でいたような……これが魔力か?」

お、気がつくのが早いね。

やっぱり、天才は分かりが良い。

「そうだよ。これが魔力。よし、もうし俺がかすからこの覚を覚えておいて」

それから、十分くらいフランクの魔力をかし続けた。

「それじゃあ、自分でやってみて」

「わかった。こうか?」

フランクは、自分で手を當てて俺に確認してきた。

うん、しだけど、ちゃんと魔力がいている。

「お、かせるようになったみたいだね。そしたら、魔力を中にかせるように頑張って練習して」

「うん、わかった」

フランクは、俺の言葉を聞き流しながら夢中で自分の魔力をかしていた。

相変わらず、真面目だな。

「あ、そうだ。ちょっと待ってて」

「ん? どこに行くんだ?」

「すぐに戻って來るよ」

フランクにもあれを渡しておかないと。

俺は自分の部屋に転移した。

「くんくん。あ~レオ様の匂い」

「よっと。確か、リュックはここにあったはず」

昨日、ベルと魔石に魔力を注いだ時のままだから寢室に置きっぱなしなはず。

「え? レオ様?」

「あ、ベル。驚かせちゃった? 素材を取りに來ただけだから気にしなくていいよ」

ベルに謝りながら、ベッドに立て掛けてあるリュックを漁る。

「は、はい……」

「よし、じゃああとししたら帰るからそれまで待っててね」

「わ、わかりました」

ん? そういえば、ベルはどうして俺のベッドで寢ていたんだ?

まあ、いっか。

「戻って來たよ!」

「うお! どこ行っていたんだよ。急に消えるからビックリしたじゃないか!」

転移を使ってフランクの部屋に戻って來ると、目の前でフランクがもちをついていた。

「ごめんて、魔法アイテムの素材を取りに自分の部屋に行ってきただけだよ」

「魔法アイテム?」

「うん、これからフランクの魔力長速度を底上げするアイテムを造ろうと思ってね」

「そんな、本當に造れるのか?」

「いいから見てなよ」

百聞は一見に如かずってね。

「やった~! 久しぶりに師匠の魔法を見れる~」

ヘルマンは、俺が何をしようとしているのか知っているので目を輝かせて俺の手元を見ていた。

まあ、魔法は昨日の試験でも使ったから久しぶりじゃないんだけどな。

そんなことを思いながら、ミスリルと魔石に創造魔法を使った。

この作業は、もう慣れてしまったので一瞬で出來てしまう。

「はい、この腕を著けて魔力の鍛錬をしていると急激に長するよ」

「なんだ今の? というより、貰っていいのか? ミスリルもそうだが、さっきの魔石も相當高価だよな?」

「そんなこと気にしなくていいって。魔石は俺の魔力で作ったものだし、ミスリルは地元の素材屋で買っただから」

公爵家の息子が金のことを気にするなってな。

「わ、わかった。大切にする」

俺からけ取ると、その場で腕に嵌めて見せてくれた。

「やった~お揃い……じゃない? 師匠、僕の腕とちょっと違いますよ」

ヘルマンが、フランクの腕をジロジロと観察していた。

お揃いが良かったのか?

「まあ、毎回同じを作れるわけでもないし……」

はあ……気がついてしまったか。

意図的に変えたんだよな……。

<友の腕

魔力の長を促進

この腕の創造者との間に友がある限り

狀態異常にならない

魔法の威力が1.5倍

創造者:レオンス・フォースター

どうして変えたのかは……言わない方がいいだろう。

「あ、確かに! そうですよね。フランクの腕もカッコいいです!」

「うん、カッコいいな」

ふう、フランクにも気にって貰えたようだし一件落著だな。

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