《継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》》ゴブリンと対峙

次の休みの日、俺とベルはさっそく討伐依頼をけることにした。

依頼容は、ゴブリン十を討伐するやつにしておいた。

ゴブリンは群れると強いけど一は弱いから、ベルの戦闘訓練にはうってつけの相手だろう。

數が多ければ、俺が間引いてからベルに戦わせればいいしね。

そして現在、ベルと一緒に依頼で指定された森の中でゴブリンを探している。

「依頼によると、ここら辺にゴブリンがいるみたい。いつ出て來るかわからないから、気を抜いちゃダメだからね?」

「わかりました。警戒して……あ、近くにゴブリンがいます」

「ん? どういうこと?」

見渡しても何も見えないけど?

「匂いでわかりました。ゴブリンは匂いが強いので」

ああ、そういうことか。

そういえば、ベルは獣人族だった。

人よりも嗅覚が敏なんだよね。

「それは凄い。ベルのおかげで探す手間を省けそうだ」

今日はアンナ先生の出番は無さそうだな。

「ありがとうございます。でも、遠くにいるとわかりませんので、そんなに當てにしないでくださいね?」

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「いやいや、近くにいるかどうかがわかるだけで十分ありがたいよ」

近くにいるかどうかがわかるだけで、不意をつかれることがなくなるんだからね。

「それじゃあ、ゴブリンを倒しに行きますか。俺が先に數を間引くから、後ろで隠れてて」

「わかりました。えっと……その……本當に大丈夫ですか?」

「ん? 何が?」

急に元気をなくしちゃってどうしたんだ?

もしかして、不安?

「もちろん、レオ様がゴブリン程度の魔で苦戦するわけがないと思うのですが、私は……」

やっぱり不安なのか。

まあ、初めて戦うわけだし、不安になるのも當然か。

「大丈夫。一対一なら絶対に倒せるから」

それは俺が保証するぞ。

ゴブリン一なんて本當にたいしたことないから。

ベルなら、三くらいなら同時に相手しても余裕で勝てるよ。

「わかりました……でも、何かあったらすぐに助けてくださいよ?」

「心配しなくても助けるから、ベルは心配しないでゴブリンに集中していいよ」

「わかりました……頑張ってみます」

「うん。それじゃあ、ゴブリンの數を減らすから後ろからついて來て」

そう言って森の奧に進むと、すぐにゴブリン數が出てきた。

數は……五だな。

このくらいの數なら心配ないな。

「それじゃあ、ベルは一匹ね?」

「わ、わかりました」

返事をするも、ベルの表はこわばっていて、張しているのが見て取れた。

そういえば、ベルって張するとポンコツになるんだった。

大丈夫かな?

まあ、なんとかなるでしょ。

「よし、行ってこい」

俺はそう言って、ベルの背中を軽く押した。

すると、押された勢いでベルは、ゴブリンたちの目の前に來てしまった。

ゴブリンたちは、目の前に現れたご馳走に喜び、嬉しそうな鳴き聲をあげていた。

さて、どうなるかな~。

SIDE:ベル

「え? レオ様?」

現在、レオ様に押されてゴブリンたちの目の前に出て來てしまった私はとても混していた。

振り返っても、さっきまでいたはずのレオ様がいないし……。

目の前のゴブリンたちは倒されるどころか、不気味な聲をあげながら私に近づいて來てるし……。

「レオ様! レオ様! 返事してください!」

必死にびますが……レオ様は返事もしてくれません……。

私一人で倒せってことでしょうか?

「はあ、こうなったら仕方ありません。本當に危なくなったら隠れて見ているレオ様が助けてくれるでしょうから、諦めてあなた達と闘うことにします」

こうなったら開き直るしかありません。

何かあったら、レオ様に文句を言いましょう。

そんなことを思いながら、私は獣魔法を使って両手に鋭い爪をつくり、気持ち悪く笑っているゴブリンたちに向かい合いました。

すると……急に戦う姿勢を見せた私に驚いたのか、ゴブリンたちは、し後退り、変な鳴き聲を止め、急いで構えて私を睨み始めた。

「え? どうしてあなた達が私のことを怖がっているのですか?」

睨みつけるだけで何もして來ないゴブリンたちに、思わず聞いてしまった。

私……爪を生やしただけですよ?

「もしかして……そんなに強くない?」

ぽつりと呟いた瞬間、さっきまでの張でガチガチに固まっていたが軽くなった気がしました。

「今なら行けるかも」

私は、ただ睨むだけで何もして來ないゴブリンの一匹に狙いを定め、無屬魔法を使って爪を全力で突き刺しに行きました。

結果は……綺麗にゴブリンのを私の爪が貫いていました。

私に狙われたゴブリンが近づいてきた私に気がつかなかったのか、気がついたけど防することが出來なかったのかはわかりませんが、綺麗に攻撃することが出來ました。

『ギギ!?』

隣から、驚きが簡単にわかるような鳴き聲が聞こえてきた。

聲がした方向に視線を向けると、私を見ながら一歩、二歩とゴブリンたちが後退っていました。

「そうでした。まだあと四匹いたんでした」

……いくら弱いと言っても、今の私に同時に戦うのは難しい気が……。

「いや、大丈夫。もういないよ」

そんな聲が聞こえると……突然、ゴブリンたちが死になり、聖剣を持ったレオ様が現れました。

目の前に起こった景に私は、ゴブリンが倒されて安堵するわけでもなく、レオ様が目の前に現れて嬉しいわけでもなく、怒りが込み上げてきました。

「あ! どこに隠れていたんですか!? あんなことするなんてひどいですよ! ゴブリンが弱かったら良かったものを……もし、レオ様が思っている以上に強かったらただじゃすみませんでしたよ!?」

ゴブリンと戦って興狀態の私は、思わずレオ様に怒りをぶちまけてしまいまった。

「ご、ごめん。ちゃんと近くで見守っていたんだから許して」

許して? 何ですかその態度は!

「許しません! 今回ばかりは怒りましたからね」

許さないと聞いたレオ様は、やっと私が本気で怒っているのがわかったのか、顔が青ざめていきました。

そして、何か決心した様な顔つきになると、いきなり地面に膝と手を著き、頭を下げるという謎の行をし始めました。

「ど、どうか、なんでもするので許してください。お願いします」

そんなことをされて謝られても……。

それより今……

「なんでもって言いました?」

「はい。ベル様の為ならなんでもしますので、どうかお許しください」

なんでも……なんでも……

「わかりました。それじゃあ、私がレオ様にどんな願い事をしたとしても一回は絶対に聞いてくれるということでどうでしょうか?」

「は、はい。何も問題ございません」

やったー!! レオ様大好き!

あ、いけない、顔が笑っちゃてる。

まだ演技を続けないと。

私は、いつレオ様が顔を上げても大丈夫なように、頑張って無表に戻してから、またレオ様に話しかけました。

「それじゃあ、今回のことは許してあげます。今度から、絶対にこんなことをしないでくださいよね? 私、本気でレオ様のことが嫌いになってしまいますから」

噓です。嫌いになられて困るのは私の方です。

私がレオ様を嫌いになるなんてことはありません。

レオ様が優しいのをわかっているから、言ってしまっただけなんです。

レオ様、ごめんなさい。

「わ、わかりました。今後、絶対に二度としません」

私が心の中で謝っていると、相変わらずレオ様は地面に頭を押し付けたまま、しないと誓ってくれました。

レオ様が何の儀式をしているのかはわかりませんが、レオ様ならちゃんと約束を守ってくれるでしょう……。

ちょっと調子に乗り過ぎてしまいましたが、嬉しい収穫がありましたし、たまにはレオ様に怒るのもいいかもしれませんね。

お願い、何にしようかな~。

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