《継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》》無屬魔法

抜き打ちテストが終わり、ヘロンダス先生が行方不明になってしまった頃……。

ヘロンダス先生の代わりに、俺たちの魔法を擔當することになったの先生が自己紹介していた。

「はじめまして……いえ、あなた達は違ったわね。テストぶりね。改めて自己紹介させて貰うと、私の名前はリーズ・フィニシー。一昨年まで魔法學校で魔法の研究をしていたわ。魔法には誰よりも詳しい自信があるから、遠慮なく質問してちょうだい」

リーズ先生は、長めの金髪にすらっとしたつきで笑顔が似合う。

そして、落ち込んでいる生徒がいたら、勵まさずにはいられないような心優しい先生だ。

この前、先生を見ていてそんなことを思った。

「それじゃあ、いつも通りの練習を始めて」

先生の號令で、皆が的の方に向かってきだした。

俺は、皆とは離れて無屬魔法の練習。

ヘルマンと無屬魔法を使って軽い組手をする練習だ。

「師匠……」

「ん? って、どうした?」

いつも通り、訓練場の端の方で練習する為に俺もき出すと、後ろからヘルマンの聲が聞こえた。

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振り返ると、ヘルマンは何故か暗い顔をして立ち止まっていた。

「師匠も的を使った練習をした方がいいんじゃないんですか? せっかく、魔法を使えるんですから、僕の相手なんてしないでご自分の練習をしてください」

はあ? そんなこと気にしていたの?

「え? 嫌だよ。ヘルマンと無屬魔法の練習をしている方が為になるし、楽しいもん」

「そ、そうですか……」

俺にあっけらかんと拒否されてしまったヘルマンは、思っていた反応と違ったのか、返答に困っていた。

仕方ない、もうし詳しく答えてやるか。

「俺、別にヘルマンが可哀そうだから一緒に練習していたわけじゃないんだよ? 俺の無屬魔法の練習相手になってくれるのがヘルマンだけだから、ヘルマンに頼んでやってもらっているだけだよ」

「師匠……」

俺の答えに納得してくれたのか、ヘルマンは涙目になっていた。

おいおい、男が泣くなよ。

「ほら、練習するぞ。いつも通り、全力でかかって來な」

「はい! いつも以上に全力でやらせていただきます!」

ヘルマンは目を手でゴシゴシ拭いてから、俺に向かって勢いよく右拳を飛ばして來た。

それを、俺は綺麗に避ける。

避けられることがわかり切っていたヘルマンは、すぐに左の拳を放ち、蹴りをれ、接近しながら拳を全力のスピードで連発した。

俺が避け切れなくなってし下がったのに合わせて、蹴りをれる。

「おわ! 今のは危なかったぞ」

ヘルマンの蹴りをスレスレでなんとかかわしながら距離を置きながら、ヘルマンに話しかけた。

一方ヘルマンは、息が限界だったのか、膝に手をついて呼吸を整えていた。

「はあ、はあ、はあ……でも、まだ當てることは出來ませんでした。次は、掠るぐらいは出來るようになりたいですね」

「それぐらい出來るって。今のも、あと一回攻撃があったら當たっていたと思うよ」

あれにもう一回蹴りとか來ていたら、たぶん避け切れなかったな……。

「息が続きませんよ……最後の蹴りで限界です」

「じゃあ、もっと練習しないとね」

練習あるのみだ。でも、もっとヘルマンのスピードが上がったらどうやって避けようか?

無屬魔法を全力で使わないといけない日が來るかも……?

「はい、頑張ります」

「よし、今度は俺が攻撃する番だな。行くぞ!」

今日は、何回避けることが出來るかな?

「ちょっと! あなたたち!」

「っとっと……はい?」

張り切ってヘルマンに仕掛けようと思った瞬間に、聲を掛けられたのでつんのめってしまった。

聲の主は先生だった。

「何をしているの?」

「何って……無屬魔法の練習?」

ちょっと格闘の練習もってしまっているけど……。

「無屬魔法……無屬魔法!?」

先生は驚いた顔をした。

「はい、そうですけど?」

どうしてそんなに驚いているんだ?

「無屬魔法が使えるの!? って、そうか……二人は無屬魔が使える家系でしたね」

「家系? 僕の家で無屬魔法を使えるのは、僕とお父さんと騎士になった一番上の兄さんだけで、僕の家族で他に使える人はいませんよ?」

ヘルマンの兄さんも無屬魔法を使えるの?

それなら、どうしてヘルマンは使え……あ、そうか、魔力がなかったんだっけ。

「それだけ使える人がいるだけで凄いわ。無屬魔法の屬は誰もが持っているけど、誰も使うことが出來ないって言われている魔法なのよ」

その話、何度聞いたことか……。

「そんなことないですよ。無屬魔法は誰もが努力をすれば使える魔法です」

「そうなの? でも、あなたのお兄さんは覚で使っているって言っていたわ。それって、無屬魔法を使う覚がなければ使えないってことよね?」

お兄さん? イヴァン兄さんかアレックス兄さんと話したことがあるのか?

まあ、たぶんイヴァン兄さんが先生に教えたんだろうけどね。

アレックス兄さんなら、覚なんて言わないと思う。

先生、イヴァン兄さんに聞いたのが間違いですよ。

「えっと……ちゃんとした理由がありまして……長くなるので詳しい説明は省きますけど、魔力作を使うことが出來れば、誰にでも無屬魔法を使うことは出來ますよ」

イヴァン兄さんは、魔力作も覚でやっているんだろうね。

「そうだったの? そうだったのね……」

先生はそう言って、何か考えこんでいた。

「ねえ、悪いんだけど……その方法教えてくれない? いえ、教えてください」

考えるのを止めたと思ったら、いきなり先生が頭を下げてきた。

「え?」

「お願いします! 無屬魔法を私が教えられれば、ヘルマンくんみたいに屬を持っていない子でも、魔法を使えるようになるの。だから教えてください!」

先生は、頭を下げながら必死に頼んできた

そして、それを聞いた魔法の練習に參加していたクラスメイトたちが、練習を止めてこっちを見ている……。

先生……その考えは素晴らしいと思うんですけど……ここじゃなくても良くないですか……?

他の人から見たら、俺が先生に謝らせているみたいじゃん。

「頭を上げてください。いいですよ。教えます」

斷りづらい狀況ってのもあるけど、先生の考えにしたから教えることにした。

これから、俺がされたように、持っている屬によって差別をされる人を減らそうと考えている先生の手伝いを斷る理由なんてないからね。

喜んで教えますよ。

「本當!? レオくんありがとう!」

よっぽど嬉しかったのか、喜びの余り俺に抱きついてきた。

人に抱きつかれるのは嬉しいのだが……皆の前で恥ずかしいのと、シェリーとリーナの目線が痛い。

「せ、先生、まだ授業中ですよ」

「あ、いけない。それじゃあ、続きは放課後ってことでよろしくね?」

「はい……わかりました」

「皆さん、授業を中斷させてしまってごめんなさい。これからちゃんと教えるので、練習を再開してください」

皆に謝りつつ、先生は嬉しそうに皆のところへ向かって行った。

そんな先生とれ替わるように、シェリーとリーナがこっちに向かって來た。

「ねえ、レオ」

顔は笑っているが、目は笑っていないシェリーが俺に話しかけてきた。

「な、何?」

「私とリーナも先生と一緒に無屬魔法を教わってもいい?」

「え? 二人はもう……」

そこから先は言えなかった……。

なぜなら、二人の無言の圧力に負けてしまったからだ。

二人とも無表で目が凄く怖いんだが……。

「も、もちろん、二人も參加していいよ。いつやるのかは、決まったら念話で連絡するよ」

ここで、この言葉以外を言う勇気は俺にはなかった。

「うん、そうよね」

「ありがとうございます。よろしくお願いしますね」

「う、うん……」

俺は二人に何を教えればいいんだ?

そんなことを今の二人には、とても言えそうになかった……。

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