《継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》》先生に教えます②

「ただいまー」

シェリーとリーナを連れて、俺は自分の部屋に帰ってきた。

「へ~ここがレオの部屋なのね。私の部屋と見た目は変わらないわね」

転移されて來るなり、二人はさっそく俺の部屋を観察していた。

「そりゃあ、同じ學校の寮だからね」

逆に、皇族だからもっと広い部屋じゃないことに驚きなんだけど。

「そうなんですか? 私の部屋はもうし狹いですよ」

「そうなの? まあ、そうか」

リーナはこの國の貴族じゃないからね。

ただ、侯爵相當の扱いはされているみたいだけど。

「レオ様おかえりなさいませ。早かったですね」

俺達が會話をしていると、ベルが奧から出てきた。

「あ、ただいまベル。そうなんだよ、思ったよりも早く終わっちゃたんだ」

「そうなんですか……その……そちらのお二人は?」

あ、そうだ。二人とはまだ會ったことなかったね。

「二人は「レオの婚約者よ」」

俺が答えようとすると、シェリーがベルに威圧するように言い放った。

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ん? どうしたシェリー?

「え、えっと……名前は知っていると思うけど、シェリアとリアーナだよ」

とりあえず、二人のことをベルに教えてあげた。

「あ、そうだったのですか。申し訳ございません。それじゃあ、私は行かせて貰います」

ベルは、丁寧に謝って奧にって行ってしまった。

を見る限り、そこまでシェリーのことは気にならなかったみたいだ。

「ねえ、レオ?」

「は、はい、なんでしょうか?」

今日のシェリー、なんか怖いんだけど……。

俺、何かしたかな?

「あの子は何?」

「何って……俺の専屬メイドだけど?」

もしかしてやきもち?

「そうなんですか。それにしては、隨分と可がっているみたいですが?」

あ、リーナも參戦してきた。

二人相手じゃあ、勝ち目ないじゃん。

「ちょっと、二人とも落ち著きなよ。ベルは、小さい頃から面倒を見て貰っているから、家族みたいな存在だよ」

家族で間違ってないよね?

「家族……」

「家族? それじゃあ、どうしてあの子が私達と同じ首飾りを持っているのよ!」

そ、そんなところまで見てたの!?

なんて説明すればいいんだ……?

「え? ああ、そういえば。えっと……初めて會った頃、珍しい魔法を見せて貰ったお禮に、創造魔法を見せてあげるついでに造ってあげたんだ」

俺の記憶が正しければ、そうだったはず。

「珍しい魔法? あの子はどんな魔法を使えるの? 獣人しか使えないような魔法?」

「そうなんだよ。ベルは、獣魔法というを獣みたいに出來る魔法を使えるんだ」

「そうなの……それで、あの子にあれを渡したってことは、今日私が先生にやったことをあの子にやったの?」

シェリーが先生にやったこと?

ああ、魔力作か……。

「やってないよ。ベルは、うちに來る前から魔力作を習得していたんだ」

「え? レオが教えてないの? じゃあ、誰に教わったの?」

シェリーは驚いた顔をしていた。

そういえば、勇者の関係者以外で魔力作を使える人がいるのはベルが初めてだな。

「ベルは孤児院で教わったって言っていたよ」

「孤児院……そうなんだ……」

「孤児院? あの、帝都の端にある小さな孤児院ですか?」

「それは知らないけど……」

てか、逆になんで孤児院のことをリーナは知っているんだ?

「たぶんそうだと思います。私、一度だけそこに行ったことがあるんですけど。あそこの院長、おばあちゃんたちと仲良かったみたいですよ」

ばあちゃんたちと?

「ああ、そういうこと」

それなら、ベルが魔力作を使えるのも納得だ。

勇者と知り合いなら、魔力作くらい使えそうだもんな。

「ちょっと! 話が線しているわ!」

リーナと俺で話していると、シェリーが話に割り込んで來た。

「えっと……どんな話をしていたんでしたっけ?」

「それは……その、ベルとかいうメイドがレオとどんな関係なのかよ」

またその話に戻るの?

「あ、そうでしたね。でも、家族みたいな存在って言っていませんでした?」

と思ったら、リーナが助けてくれた。

「本當にそうなの? 噓ついているかもしれないじゃない!」

「シェリー、ちょっと落ち著いてください」

「落ち著いて? 逆にどうしてリーナは落ち著いていられるの? レオが、レオが取られてしまうかもしれないんだよ? 取られて……」

シェリーはリーナに怒鳴りながら、泣き出してしまった。

あ、泣かせちゃった……。

どうしよう……

「ごめん。シェリーがそんなことを思っていたなんて……。本當にごめん」

悩んだ末、泣いているシェリーを抱きしめながら謝った。

ここで、何を言っても逆効果だ。

それなら、素直に謝るしかない。

「許さないんだから。罰として、私が泣き止むまで抱きしめてなさい」

シェリーはそう言って、俺のに顔をつけて泣き始めた。

「はい……」

何も言う権利がない俺は、素直に従うことにした。

「私も後でお願いしますね。私は、ベルさんの所に行ってきます」

「え? あ、うん」

止めようかと思ったけど、シェリーを抱きしめている狀態では見送ることしかできなかった。

それからシェリーがし落ち著き、話し始めた。

「ねえ、レオ……」

「何?」

「本當は私より、あのメイド方がいいんでしょ?」

これは……なんと答えるのが正解なんだろうか?

ありのままを話すべきか……。

「そんなことないよ。ベルは家族だと思っているけど、シェリーやリーナみたいに結婚しようとは思ってないよ。俺の婚約者はシェリーとリーナの二人だけだ」

「そう……それ、信じていい?」

そう言って、泣いたせいで赤くなってしまった目を俺に向けてきた。

「うん」

俺も、シェリーの目を見てしっかりと返事をした。

「わかった。信じる」

シェリーはそれだけ言って、また俺のに顔を隠してしまった。

「どうやら、こっちも終ったみたいですね」

しばらくして、リーナがベルの手を握って戻ってきた。

「あ、二人とも……うん、終ったよ」

「それじゃあ、代ですね。今度は、私の番です。シェリーは、ベルとお話ししててください」

「え?」

「ほらほら、行ってください」

そう言って、リーナは俺からシェリーを引きはがしてベルと一緒に奧の部屋に押し込んでしまった。

「あ、ちょ、待って! 待ってよ!」

シェリーは抵抗しようとするも、結果は言葉だけになってしまった。

「強引だな……」

「そうですか? 私だけ我慢するのは嫌なので。それじゃあ、約束通りお願いします」

「う、うん……」

約束だからな。

俺は、素直にリーナを抱きしめた。

「これでいい?」

「はい。それじゃあ、私とのお話が終わるまではこのままでお願いしますね」

「わ、わかった」

「えっと……どうして、シェリーがあんな風になってしまったのか、わかりますか?」

シェリーがどうしてあんなに怒っていたか?

「うんん……俺がベルと仲良くしていたから?」

たぶん、やきもちだよね?

「それもしはあると思うのですが、本當の理由は違います」

え? 違うの?

「そうなの? 何が原因だったのか、教えて貰ってもいい?」

「本當に、わからないんですか?」

リーナが俺の目を真剣な眼差しで見つめながら、聞き返してきた。

「え?」

「よ~く、考えてください。ここ最近、シェリーや私と何かありましたか?」

「え? 何か……? 特に……」

俺、最近、シェリーやリーナと何かしたかな……?

「そう、何もありませんでしたよね? レオくんは他のことに夢中で、私たちのことを忘れていましたから」

あ、そういえば……。

魔法作りや、店の手伝いに夢中になってしまって、何もしてあげられなかったな……。

「ごめん……」

自分の過ちに気がついた俺は、それしか言えなかった。

「いいですよ。でも、これからは、ちゃんと私たちのことも考えてくださいね?」

「わかった。これからは、三人での時間を作るようにするよ」

休みの度に三人で遊ぶようにしよう。

「約束ですよ?」

「うん、約束する」

「わかりました。それじゃあ、話題を変えましょうか。さっき、ベルと話してきて思ったのですが……」

「うん」

ベル? この短時間で隨分と仲良くなったな。

いや、さんをつけるのも嫌ないくらいに、仲が悪くなってしまったのかも……。

「凄く気が合いました」

俺の不安を裏切り、リーナは満面の笑みでそう言った。

よ、よかった……。

「そ、そうなの?」

「はい。ベルは普段のレオくん、私は學校でのレオくんについて教え合っていたら、意気投合しました」

え? ふ、普段の俺?

ベル……変なこと教えてないよね?

ちょっと不安なんだが?

「そ、そうなんだ……それは良かった」

「はい。良かったです。あ、そういえば、一つだけ頼みたい事があるんですけど……」

「ん? なに?」

頼みたい事?

「目をつぶっていてくれませんか?」

「いいけど……俺は何をされるの?」

なんか怖いんだけど?

「気にしないでください。ほら、目をつぶって」

「わ、わかったよ……」

斷れる立場でもないので、目をつぶる……ふりをした。

しだけ目を開けて、リーナが何をするのか見ていた。

だって、怖いんだもん!

俺が目を閉じたのを確認したリーナは、何故か顔を赤くしながら俺に顔を近づけてきた。

え!? もしかして……キ、キス?

そんなことを思っていたら、リーナの顔がすぐ目の前に來てしまった。

あとし……。

「二人とも終わった? るわよ?」

「え? あ、うん」

いいところでシェリーがって來てしまった。

ああ、殘念。

「ちょっと! どうしてリーナの顔がそんなに顔が赤いのよ!」

「な、なんでもないです! それより、ベルと仲良くなれました?」

あ、そういえば、そっちの方が気になるな。

喧嘩とかしてないよね?

「う、うん。獣魔法って凄いわね。モフモフしていて、り心地が最高だったわ」

そう言って、シェリーはベルの腕をモミモミしていた。

ベルの方は、若干困った顔をしているけど、そこまで嫌がっているわけではなさそうだ。

まあ、仲良くはなったのかな?

「え? 獣魔法を見せて貰ったのですか? ズルいです! 私も見せてください!」

「い、いいですけど……」

ベルは恥ずかしがりながらも、手に獣魔法をかけて見せてくれた。

それに、リーナとシェリーは目を輝かせた。

「うわ~。本當にもふもふですね。気持ちいい~」

「でしょ? このり心地、癖になるわ」

「ちょ、くすぐったいです。二人とも!」

あ、そういえば、二人ともぬいぐるみが好きだったな。

あのぬいぐるみみたいなり心地が二人にはたまらないのだろう。

まあ、なにより三人が仲良くなって良かったな。

楽しそうにしている三人を眺めながらそんなことを思った。

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