《継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》》今後の対応
「今回は、本當にすまなかった」
目の前で皇帝が頭を下げていた。
今朝、ゴッツから聞き出したことをすぐに皇帝のところに報告しに行くと。
皇帝は、すぐに部下たちに命じて急いで確認させた。
で、約二、三時間して、ようやく確認が取れたみたいだ。
この様子だと、ゴッツが言っていたことは本當だったのかな?
「いえ、頭を上げてください。それで、これからどうしますか?」
俺は何をすればいいんだ?
「ああ、これから、レオ君が聞き出してくれた罪人たちを全員捕まえたいと思う。それと、代わりの文と騒が落ち著くまで護衛をレオ君につける」
「わかりました。ただ、護衛は……」
寧ろ、邪魔になってしまうかな……。
「心配ない。ダミアンのところから、イヴァンとユニスを出す。それなら、問題ないだろ?」
イヴァン兄さんとユニスさん?
「まあ……」
その二人なら、任せられるかな。
「それと、文はエリーゼが優秀な者を選んでくれた」
おお、エリーゼさんに優秀って言われる人なら安心だろ。
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「ありがとうございます」
「いや、今回は全て帝國側に責任がある。橫領を見抜けなかったのも。フィリベール家をどうにか出來なかったのも」
まあ、それに関しては否定できないな。
「その……どうして橫領を見抜けなかったのですか? 前にも同じ理由で領主を罰したんですよね?」
「ああ、本當に迂闊だった。さっき、レオ君に言われて調べさせたら、監査役の文たちが全員フィリベール家と何かしら関係があった奴らだった」
「ああ、なるほど……」
フィリベール家はそこまでやっていたのか……。
不正を見つける側が不正をしているなんて笑えないな。
「今、他の領地でも同じことが行われていないか調べさせている」
「それは早くやってしまった方がいいですね」
たぶん、たくさんの不正が出てきそうだな。
「ああ。それと、フィリベール家についてだが……罰金になるかと思う」
それだけ? 下手したら、帝國を潰してしまうようなことをあの家はやっているんだよ?
「ええ? 優しくないですか? 取り潰しは難しくても、領地を減らすとかしないんですか?」
それくらいしないと、またあの家はやるよ?
「いや、領地をあいつから奪っても、こっちが損をする」
「どういうことですか?」
「あいつの悪政のせいで、あいつの領地はとんでもなくボロボロなんだよ。あの領地を取り上げたら、逆にあいつの得になってしまう」
「な、なるほど……」
そこまでひどいとは……。
じゃあ、不正をやめさせてほっとけば、いつかは自滅するってことか。
「それに、あいつにとって大損になる罰金を科す予定だ」
まあ、それなら當分は大人しくしているだろう。
これを機に、真面目に領地経営をして貰いたいものだ。
ただ、あのぽっちゃりの親だからな……諦めが悪いだろうな。
「わかりました。それじゃあ、イヴァン兄さんとユニスさんと新しい文さんを連れてあっちに戻ります」
もう後は、帝國側がやってくれそうだし、俺は自分の領地のことをやろうかな。
「そうか。それにしても……わずか二日で領地の改革を始めるとは、本當にレオ君は凄いな。本當に十一歳か?」
「もちろん。シェリーと同じ十一歳ですよ」
前世の年齢を合わせたら何歳になるのかは、不明ですが。
「ああ、冗談だ。それじゃあ、またな。今度こそは二か月後に會えることを願っているよ」
「ええ、僕もそうしたいです」
流石に、大丈夫だろ……と信じたい。
「あ、それと、前任の管理が橫領していた金は全てミュルディーン領に使っていい。それは、今回の帝國の不手際のお詫びとしてけ取ってくれ」
「わかりました。有効活用させていただきます」
たぶん、そこまで殘っていないだろうけど。
メイドたちの様子を見る限り、遊びに金を使いまくっていたんだろうな……。
期待するだけ、損だな。
「ああ、頑張ってくれ」
「はい、それじゃあ」
俺は禮をして皇帝の部屋を後にした。
「よお、皇帝陛下とのお話は終わったか?」
部屋を出ると、イヴァン兄さんとイヴァン兄さんのパートナーであるユニスさんが待っていた。
「あ、兄さん。それに、ユニスさん」
「ええ。これから二カ月間だけだけどよろしくね」
ユニスさんの見た目は、金髪のポニーテールで、背はそこそこ高くてスラッとしている。
格は、なかなか強気でこの前會った時は、イヴァン兄さんを何度も言い負かせていた。
腰には魔剣ならぬ、魔刀を差している。
刀は、小さい頃じいちゃんに教えて貰ったらしく、剣だけならイヴァン兄さんは勝てないそうだ。
ちなみに、ユニスさんの魔刀は俺が早めの結婚祝いってことで師匠に頼んで作って貰っただ。
「はい。護衛、よろしくお願いします」
この二人が護衛なら、安心だな。
ダンジョンをクリアしているから、この世界で數人しかいないスキル持ちだし。
「ふふ、任せなさい。何があっても絶対に守り切ってみせるわ」
「ありがとうございます」
シェリーとリーナの護衛は任せるとしよう。
「あ、レオくん!」
「あ、エリーゼさん」
ユニスさんにお禮を言っていると、エリーゼさんが見知らぬを連れてやって來た。
「今回は本當にすみませんでした。私の管理不足です」
「い、いえ。僕には特に被害はなかったので、気にしないでください」
もう、皇帝に何度も謝られたし、この話は終わりにしたい。
「それと……レオくんの補佐をしてもらう文なんだけど。この子になったから。フレア、自己紹介をしてちょうだい」
そう言って、エリーゼさんの前に出されたは綺麗にお辭儀をして、自己紹介を始めた。
「はい。はじめまして、フレアと申します。これから、レオンス様の補佐をさせていただきますので、よろしくお願いします」
フレアさんは、目つきはし鋭いけど、人なお姉さんってじだ。
「フレアは、庶民出だけど。一昨年、魔法學校を次席で卒業した天才よ。ちなみに、その年の主席はアレックスくんね」
アレックス兄さんと同い年か。十八歳くらいかな?
まあ、アレックス兄さんは超がつくほど優秀だったみたいだから、フレアさんも十分凄いだろ。
「おお、それは凄いな。こちらこそ、これからよろしくお願いします。それと、レオンスだと言いにくいだろうから、レオでいいですよ」
「はい。レオ様、よろしくお願いします。それと、敬語はやめてください」
「え? わ、わかり……わかったよ」
初対面の人にいきなり敬語を使わないって難しいな……。
「レオ君も、領地を持ったんだから貴族としての自覚を持たないとね。部下に敬語なんて使っていたら、なめられてしまうわよ?」
そ、そうなんだ……。
「わかりました。これから気をつけます」
「ええ。それじゃあ、頑張って來てね。後ろの二人も、姫様とリアーナちゃんをちゃんと護衛するのよ」
「もちろんです」
「はい。頑張ります」
エリーゼさんの言葉に、兄さん達は元気よく返事していた。
「それじゃあ、シェリーとリーナを迎えに行ったらそのままミュルディーン領に向かいます」
「二か月後、報告を楽しみにしているわ」
「はい。楽しみにしていてください。それじゃあ」
俺は、エリーゼさんに軽くお辭儀をしてシェリーの部屋に向かった。
「それにしても、フレアがレオの補佐か」
シェリーの部屋に向かっている途中、イヴァン兄さんがそんなことを言い始めた。
そういえば、フレアさんは兄さんの後輩か。
「ええ、そうですけど何か問題でも?」
フレアさんは、し冷たくイヴァン兄さんに言い返した。
ん? 二人ともそこまで仲良くない?
「いや、優秀なお前が補佐ならレオも楽だろ。まあ、お前は苦労しそうだがな」
「どういう意味?」
俺が上司だと、どうして苦労するんだ?
「だって、レオなら、これからまた一騒、二騒は絶対に起こすだろ? その対応に追われる文は大変だろうな」
そ、それを言われると……。
「ご心配には及びません。レオ様はご自由に領地を経営してください。それと、先輩は私の心配よりも自分の心配をしてくださいよ。姫様の護衛なんて、大役を任されてしまったんですから」
そう言って、フレアさんは突き刺さる様な冷たい目線を兄さんに送った。
「お、おう……」
兄さんは、それ以上言えなかった。
「まあ、無理はさせないようにするよ。それと、わかんないことはフレアさんにたくさん質問すると思うからよろしく」
なにせ、領地経営に関しては無知ですから。
「はい。遠慮せずにどんどん頼ってください」
兄さんへの対応と違って、今度は優しい笑顔で答えてくれた。
「イヴァンって、本當に口が弱いのね」
「う、うるさい!」
うん、ユニスさんにそれしか言い返せない兄さんは弱いと思うぞ。
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