《継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》》闇市街に潛します①

ゴッツから報を聞き出した俺は、とりあえず自分の部屋に戻って來た。

「ただいまー」

「お疲れ様です」

「あ、リーナ。リーナもお疲れ。今日は、本當に助かったよ」

部屋に戻ると、シェリーの他にリーナとベルも戻って來ていた。

二人とも風呂上がりのようで、濡れた髪をタオルで拭いていた。

「いえいえ。たいしたことないですよ」

「そんなことないって、本當にありがとう」

リーナが助けてくれなかったら、絶対にこんなスムーズに終わらなかったからね。

「いえ、レオくんの役に立てて嬉しいです」

「ベルもありがとう」

ベルもリーナと一緒に頑張ってくれていたからね。

「いえ、私はリーナさんの手伝いをしていただけなので」

「それでも、ありがとう」

そう言って、ベルの頭をでてあげた。

ベルは、嬉しそうにを寄せて來た。

「あ、ズルい!」

「はいはい。シェリーもありがとう」

怒ったシェリーが私もでてしいと言いたげに近づいて來たので、シェリーの頭もでてあげた。

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「へへへ」

頭をでられたシェリーは嬉しそうな聲を出していた。

そんなシェリーからし目を離して、リーナの方を見ると……羨ましそうな眼をしながら、自分も行こうか悩んでいた。

「リーナもおいで」

「は、はい」

俺が呼ぶとし照れながらリーナも嬉しそうに駆け寄ってきた。

「それで、ゴッツから何か聞き出せたの?」

しばらく俺が三人の頭をでていると、シェリーが俺にくっつきながら聞いてきた。

「ああ、どこで彼たちを手にれたのか、聞き出せたよ」

「私もしだけですが、彼たちから教えてもらえました」

え? もうそんなことを話して貰えたの?

皆、リーナのことは信用しているんだろうな。

「どんなことを言っていたのか、教えてくれる?」

「はい。彼たちは、故郷から飛び出して人の國に向かう途中で、盜賊などに捕まってしまい、奴隷にされてしまったそうです。そして、この街の地下に連れて行かれて、それからは地上に出ていないそうです」

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「なるほどね……。やっぱり、ゴッツが言っていたことは本當なんだな」

それにしても、故郷を飛び出して來たところを狙うとは、隨分と悪質なことをするな。

「ゴッツはなんて言っていたの?」

「この街の地下に闇市街と言われている場所があって、そこなら世界中で販売が止されているが手にるんだって」

「そんな場所があるのね。流石、世界の中心と言われるミュルディーン領ね」

良くも悪くも世界の中心なんだろうな。

「まあ、見つけたからには、どうにかして潰さないといけないんだけど……」

「それは大変そうですね」

そう、めっちゃ大変そうなんだよね……。

「本當に大変だよ。ということで、これから下見に行ってくるよ」

「え? 一人で? 流石にレオでも危険じゃない? 何があるのかわからないんだよ?」

そうなんだけど……誰かを連れて行くわけにもいかないじゃん?

「まあ、心配ないよ。俺にはこれがあるからね」

そう言って、今俺がにつけているマントを三人に見せた。

「レオくんがいつも本気の時ににつけているマントですか?」

「そう。これ、実は明になることができるんだ。ちょっと見ててね」

そう言って、俺は明マント+を使って明になった。

「え? 消えた?」

シェリーはそう言って、キョロキョロと辺りを見渡した。

「レオ様の匂いも消えました」

クンクンと匂いを嗅ぎながら、ベルも驚いていた。

そう言えばこのマント、明になれるだけじゃなくて匂いとかも消せるんだった。

これをじいちゃんに貰っておいて良かった~。

「凄いですね。全く気配がしません」

「凄いでしょ?」

「「「きゃあ!」」」

後ろからまとめて抱きしめてあげると、三人は驚いて大きな悲鳴をあげた。

ちょっと、驚かせすぎたかな?

「ということで、これから闇市街に潛してくる」

「絶対に無理はしないでくださいね?」

リーナが俺の目を見て念を押してきた。

「わかってるよ。今日は見るだけ、何もしないよ」

だから、心配しなくても大丈夫だよ。

「じゃあ、私たちはまたモニターで様子を見ているわ」

まあ、俺のことを心配しながら待たせるよりはいいか。

「うん、わかった。それじゃあ行ってくるよ。あ、一応エレナは持って行った方が良さそうだな」

流石に、今回はちゃんとした武を持っていた方が良さそうだよな。

そんなことを思いながら、久しぶりにエレナをリュックから取り出した。

(久しぶりね。レオ)

久しぶりに會ったエレナは、隨分と魔剣らしい禍々しさを増してしまったようだ。

(ひ、久しぶり、エレナ)

(隨分と私のことをほっといてくれたわね)

だ、だって、今まで使ってあげられる機會が全くなかったんだもん。

(ごめんって。たぶん、もうすぐ思い存分使ってあげられる時が來るから許してください)

(もうすぐ? それじゃあ、今日は何?)

(今日はもしもの時の為)

もしかすると、隠れているのがバレてしまう可能があるからね。

(それは殘念ね。私としては、もしものことがあるといいんだけど)

うん、そうならないように頑張ろう……。

「久しぶりの魔剣ですね。聖剣はいいのですか?」

俺がエレナと念話をしていると、リーナが寄って來た。

「うん? ああ、セレナは遠くからでも召喚できるからね」

「あ、そうでしたね。ここ最近、使っているところを見ていなかったので忘れていました」

「ご、ごめんなさい……」

エレナから何か念が送られて來た気がしたから、とりあえず謝っといた。

「え? どうして謝るのですか?」

「いや、ちょっとね……。それじゃあ、行ってくるよ」

「絶対に無傷で帰って來るのよ!」

「はい。傷一つ負わないで帰って來ます。じゃあ」

俺は三人にそう言ってから、ゴッツの地下室に転移した。

「ここに隠し扉があるらしいんだよね……アンナ、わかる?」

ゴッツの地下牢の奧を探りながら、アンナに聞いた。

(はい。目の前の壁をって貰えますか?)

「うん。ったよ」

言われた通りに目の前の壁にった。

(もうし右、ちょっと上、あ、行き過ぎです。はい、そこです。そこを強く押してください)

「押すの? わかった」

アンナに言われた通りに手をかしたところで強く押すと……壁がき出し、扉が出て來た。

「お、開いた。あいつ、余計なことに金をかけ過ぎだろ」

扉を開けながら、ゴッツにもう何度目かになる文句を言った。

「それじゃあ、潛を開始しますか」

マントを使って明になりながら、扉の向こうに進んだ。

扉の向こう側は、長い通路になっていた。

そして、通路の先から、何やら男の聲が聞こえた。

「おい。聞いたか? 會長が捕まったみたいだぞ!」

音を立てないように通路を進むと、聲がはっきりと聞こえてきた。

どうやら、通路の先は部屋になっているようだ。

部屋の中を覗くと、偉そうな人が使う機と椅子が一つずつあり、その前で二人の男が話し込んでいた。

「ああ、知っている。新しい領主に橫領がバレてしまったそうだ」

「會長が捕まったら、ここが帝國側にバレてしまうんじゃないか?」

會長? ああ、ゴッツのことか。この二人は幹部かな?

「いや、流石にそれはないだろう。會長が捕まったのは別件だからな。ここの存在が知られるには、もっと時間がかかるさ。ただ、その前に會長は死刑か奴隷にでもされてしまうんじゃないか?」

普通はそうだね。俺じゃなかったら、ゴッツの地下室を見つけることは出來なかっただろうから、ゴッツは闇市街について聞かれる前に死んでいたと思うよ。

「確かにそうだが。もし、會長が話してしまったら……」

殘念、もう話してしまったんだな~。

「それじゃあ、もしもが起こらないように、後で闇市街にいる殺し屋に會長を殺すように頼んでおくよ」

それは困るな。帰ったら城の警備を強化しておかないと。

「それなら安心だな。で、次期會長はどうするんだ?」

「どうするか……。ここの掟だと幹部同士の爭いを避けるために、ここの領地を支配する奴が闇市街の會長をやる決まりなんだけどな。今回の領主はまだ子供なんだろ?」

そんな掟があるの? 爭いを避けるという點では、合理的だな。

ただ、俺は會長になるつもりはないぞ?

「ああ、子供だ。逆にいいんじゃないか? 確か、好きって噂だし、ゴッツみたいに普通じゃあ手にらないような奴隷を渡して遊ばせておけば、今まで通り俺たちが闇市街の運営ができるんじゃないか?」

はあ? 俺って、好きで有名なの?

この前、城のメイドにも言われていたし……。

「ああ、言われてみればそうだな。明日でも、招待狀を出しておく。今、俺の店にとんでもなく珍しいがいるから、それを安く売れば上手くいくだろ」

とんでもなく珍しい? 何それ、怖いな。

「あ、あのを売るのか!?」

もう一人の男が、凄い驚きながら聞き返した。

え? そんな反応をされるような奴隷を俺に売るつもりなの?

俺、一応子供だからね?

「ああ、別にいいだろ?」

「いいけど……あれを地上に出すのは……」

こわ! 地上に出すのがヤバそうなものは、地下に置いといてもヤバいと思うんだけど!

「大丈夫だろ。そろそろ、俺にも手に負えなくなってきたからな。金持ちの家に渡した方がいいだろう?」

いや、その道のプロが手に負えなくなってきたものを、俺がどうにか出來るはずがないじゃん!

「そ、そうか……。怖がられたりしないように気をつけておけよ?」

いや、既に怖がっているから!

「大丈夫。見せる時は、薬で寢かせておく。寢ている狀態なら可らしい子供だから、大丈夫だろ?」

見た目は可らしいのか……知らないで売られていたら、もしかすると騙されていたかも……。

「ま、まあ……」

嫌だな……。でも、そんな危険な奴隷を放置したまま、ここを潰すわけにもいかないし……。

「そういうことだ。じゃあ、お前は幹部たちにこのことを伝えろ。皆、會長が捕まって不安になっているだろうからな」

「ああ、わかった」

二人はそう言って、部屋から出て行ってしまった。

仕方ない、奴隷のことはその時に考えよう。

今はそれよりも、下見を優先しないと。

(アンナ、この部屋から闇市街に出るまでの道案をよろしく)

(わかりました)

アンナの案と共に俺は部屋を出た。

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