《継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》》闇市街に潛します②
闇市街に出ると、人が多いことに驚いた。
こんなに人がいるの? てか、広いな!
市街と言われるだけあって、街と呼べるくらいには広かった。
地下の街だけど、街燈があるから夜の街ってじだ。
そんな街に、怪しげな店がびっしりと並んでいた。
薬屋を覗いてみれば……
《ヒュドラの》
この世界で最もと言われるほど殺傷能力が高い毒
気化したものをほんのし吸っただけで死んでしまう
《インキューバスの》
この世界でサキューバスのと並んで一番強い薬
に特効があり、使用するには細心の注意が必要
《人魚の涙》
人魚が流した涙
嬉しい時と悲しい時に流した涙で効能が違う
嬉しい時は、飲めば全ての病気、怪我が治る
悲しい時は、飲めば即死
この涙は悲しい時に流しました。
どれも、地上で売っていたら即逮捕されてしまいそうなばかりだ。
というか、どれもどうやって手にれたのか気になるんだが……。
とんでもない値段だから、そうとう大変だったのはわかるけど。
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俺は、この薬たちが誰かの手に渡らないことを祈りながら薬屋を出た。
次にった店は、魔法屋だ。
地上だと売ることが出來ないような魔法とは、いったいどんななのか気になったのでってみることにした。
ってみると、目立つところに三つの魔法が飾られていた。
《狂化の剣》
これを裝備した人は狂ったように目にったを全て斬り始めます
裝備時のステータスは全て十倍
創造者:不明
《魔の召喚石》
魔界と空間を繋げて、強力な魔を大量に召喚します
一回使うと壊れます
創造者:不明
《昏睡のオルゴール》
このオルゴールが奏でる音を聞けば、どんな人も寢てしまいます
一回音が始まったら半日は絶対に止まらないので注意してください
創造者:不明
鑑定してみると、どれも魔法アイテムだった。
ただ、どれも使われるとマズイものばかりだ。
店もそれをわかっているのか、値段がとんでもなく高い設定にされていた。
これを買える人、いない気がするな……貴族でも買えないぞ?
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まあ、もしかすると売るつもりはない商品なのかもしれないけど。
そんなことを思いながら、俺は店を出た。
やっぱり、この街は危険だな……売っているが危ないが多すぎる。
この街を潰す前に、この危ない薬や魔法アイテムが地上に出回らないようにしないと……。
そんなことを考えながら歩いていると、大きな建が見えてきた。
(アンナ、あれは何?)
(闇市街のオークション會場です。世界中の珍しいが集められ、世界中の富豪たちがそれを狙って參加します)
(オークションもあるのか……。何が売られているの?)
(様々です。珍しい武、薬、魔法アイテム、特に人気なのは奴隷みたいですが)
(なるほどね……。參加條件は?)
(會員証を持っていれば參加できます。顔は隠すのが規則です)
(なるほど。それじゃあ、俺も參加できそうだね)
まあ、參加したら共犯になってしまいそうだからやんないけど。
とりあえず、潛してみるか。
オークション會場のり口に近づくと、鎧を著た兵士二人がり口を塞いでいた。
この二人にらないで中にるのは難しいな……。
そんなことを思っていると
「會員証を見せて貰っても?」
「え?」
俺が見えているの?
と、思ったら違かった。
「これで問題ないか?」
なかなか派手な仮面を著けた男の人が會員証を兵士に見せていた。
「はい。大丈夫です。それでは、どうぞ」
兵士は會員証を確認すると、男に返して道を開けた。
お、チャンスだ!
俺は、男に紛れて中にることに功した。
中にると、既にオークションは始まっていた。
「百萬ベクター!」
「百十萬ベクターだ!」
「百二十萬ベクター!」
「百三十萬ベクター!」
ちょうど、二人の男が大きな聲を出しながら、競っていた。
二人とも一歩も譲らず、十萬刻みで勝負していた。
このままこの二人のどちらかが勝つのか?
と、思ったら……
「三百萬ベクター!」
俺と一緒にって來た男の人が一気に値段を引き上げた。
「「……」」
これには二人とも、黙ってしまった。
「はい、決まりました! 三百萬ベクターで百五番さん!」
凄いな。1ベクターが約三十円だから、この男の人は九千萬円をってすぐに使ってしまったのか。
どこの金持ちなんだろう……。
「続きましては、奴隷でございます。別は。種族は人族、年齢は十六歳、名前はシエーラ・モーランド。名前でお気づきになった方もいると思いますが、アルバー王國の公爵家であるモーランド家のお嬢様です」
そう紹介されてステージに出て來たのは、凄く綺麗なだった。
『おお~』
會場がどよめいた。
「領地から王都に移中に拐されたと聞いたが、あの噂は本當だったのか……」
「あの人を手にれられるなら、いくらでも出すぞ」
「くそ……。もっと金を殘しておけば……」
會場は、大いに盛り上がっていた。
一方、オークションの商品としてステージに立たされているシエーラさんは、恐怖で震えていた。
助けてあげたいけど……ちょっと難しいな……。
転移を使えば出來ないことはないけど、逃走防止の鎖が足に巻かれているんだよな……。
あそこに転移して、鎖を切って、城まで転移するまでに顔が見られてしまう……。
というか、俺が転移を使えることは広まってるから、顔を隠しても俺だってバレてしまうな……。
仕方ない。とりあえず見守るか。
一旦諦め、彼が誰に買われるのかを見屆けることにした。
「それでは、二百萬ベクターより開始いたします」
最初から六千萬円か……それだけ、彼には価値があるということか。
「三百萬ベクター!」
「四百萬!」
「五百萬!」
「七百萬だ!」
「千萬でどうだ!」
「千二百萬!」
「千四百萬!」
「千五百萬!」
・
・
・
・
「三千百萬!」
『……』
白熱した戦いが続き、四十六番の男が勝ち取ったようだ。
もちろん、仮面をしているから誰なのかはわからない。
「はい、決まりました。三千百萬ベクターで四十六番さんです」
約九億円……。公爵令嬢の値段としては安いのか……高いのか……。
「ちくしょう。ここまで高くなるとは」
「仕方ない。あの四十六は、モーランド家の當主自だろう。お嬢さんを助けるなら、全財産を出すつもりだったはずだ」
え? そうだったの?
「ああ、それじゃあ仕方ないな。公爵家の全財産には流石に勝てるはずがない」
どうやら、シエーラさんは無事家に帰ることが出來るみたいだ。
うん、余計なことをしなくて良かった。
それにしても、仮面を著けていても誰かはわかる人にはわかるんだな。
仮面を著けているから大丈夫と思うのは、やめておいた方がいいな。
「それでは、今日最後の品となってしまいました。今日、この為に來た方も多いのではないでしょうか? 今日の目玉である幻の魔寶石の登場です」
進行役の紹介と共に……何やら見覚えのあるが運ばれて來た。
(あれ、俺が魔力を注いだ魔石だよね?)
(はい。あの魔石にはレオ様の魔力がこめられています)
(あれが今日の目玉?)
(はい。レオ様は知らないと思いますが、あれほど魔力がった魔石は市場に出回ることはありません)
(そ、そうだったんだ……)
これから、もうちょっと大事に使わないとだな。
「大きさは普通の魔石ですが、輝き、魔力量が幻級と言われ、魔寶石と呼ばれる品です。普通なら、地上のオークションで出品されるはずでしたが、訳ありでこの會場に出品されることになりました」
訳あり? 俺の魔石のどこが訳ありなんだ?
「確か、盜難品だから、地上では出品できないって聞いたぞ」
「ああ、そうだ。地上だったら、とんでもない金額になっていたんじゃないか?」
俺が疑問に思っていると、さっきのおじさん達が教えてくれた。
なるほど、盜まれたなのか。
(アンナ、いつ盜まれたかわかる?)
(いえ、あれはレオ様が素材屋で売った後に盜まれたみたいです)
(素材屋? あ、そういえば、小さい頃にミスリルを手にれるために売ったな)
確か、白金貨十枚だったはず。
三千萬円くらいか……もしかすると、本當はもっと高かったのかも……。
素材屋の親父、俺が子供だからって騙したな?
「ここもそんなに変わらないと思うぞ。お前、気がつかなかったか? 今日、この會場にが多いことを」
「ああ、確かに。言われてみれば、連れが多いな……」
俺が素材屋の親父のことを思い出していると、おじさん達からそんな會話が聞こえてきた。
確かに、言われてみればそんな気もするな……。
「あなた、あれを絶対に手にれてくださいね?」
「ああ、わかった」
「ダーリン、私、あれしいな~」
「ああ、任せておきなさい」
し見渡しただけで、そんな聲が聞こえてきた。
これはまた、白熱した戦いになりそうだ。
「それでは、五百萬ベクターから開始いたします」
一億五千萬円からか……。俺の魔石にそんな価値があるのか?
そんなことを思っていると、オークションが始まった。
「千萬ベクター!」
「二千萬!」
「三千萬!」
「三千五百萬!」
「四千萬!」
「五千萬!」
「六千萬!」
隣にがいるからか、男たちはどんどん高い金額を言っていく。
これからどこまで上がるのかな……。
「一億!」
『……』
この會場にいる人全てが一億と発言した男に目を向けてしまった。
そして、誰も何も言うことはなかった。
「はい、決まりました。なんと、一億ベクターで十一番さんです」
三十億円……。數えられない程度には、あれと同程度の魔石が俺のリュックにっているんだよな……。
絶対、三十億円の価値は無いと思う。
「くそ……。また王のになってしまったか……」
「ここ最近、寶石類は全て王の部下が落札してしまうからな。この前もありえない金額で落札していたぞ」
また、おじさん達が報提供してくれた。
そうか、十一番はアルバー王の部下だったのか。
だから會場にいた人は、一億発言をした十一番を見て諦めたんだろうな。
國相手に戦っても勝てるはずがないからね。
あの國の王族は、強で有名だからな。
部下にいくらかかっても落札して來いとか言っていたんだろう。
「さて、終ったことだし、一旦帰るか」
報はそこそこ収集できたし、あとはネズミにでも任せようかな。
俺はポケットにれていたネズミ數匹を放してから、城に転移した。
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