《継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》》危険な違法奴隷③

「あ~あ。どうやったらここから出られるの? もう、これ以上街を壊したら真っ暗になってしまうわ」

魔族のがそんなことを言いながら、周りにある建を壊して歩いていた。

「階段も壊しちゃったんじゃないの?」

「あ、それだ! 君、頭いいね! あれ? 君は誰?」

「俺はレオンス・ミュルディーンだよ。レオって呼んで」

の近くに降り立った俺は、一応名乗っておいた。

「レオね。わかった。私は、ルー。ルーって呼んで」

「わかった」

ふう、どうやら會話は出來るみたいだな……。

どうにか、このまま平和に終わりますように。

「それで、どうしてあなたはここにいるの? もしかして、私みたいに拐されちゃったの?」

やっぱり、この子は拐されてここに來たんだ……。

「違うよ」

「じゃあ、どうしてここに?」

うん~~。刺激しないようにするには、なんて言えばいいんだ?

「えっと……君を助けるためかな?」

俺は、慎重に言葉を選びながら答えた。

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「え? 私を助ける? どうやって?」

「君が大人しくしてくれるなら、地上に連れて行ってあげる。それと、奴隷契約の解除も」

「レオはそんなことが出來るの? 見たじ、私と同じくらいの歳だよね?」

「できるよ」

「そう。それで、私を助けた後はどうするの?」

この答えも難しいな……。

もし、助けた後にルーが安全だとわかったとしても、魔族のを自由にさせておくのはダメだよな……。

「助けた後……。ルーは、地上に出たら何をしたい?」

出來る限り、ルーの要を葉えられるようにしたいな。

「気が済むまで人を殺したい。特に、私を奴隷にした連中はね」

うん、無理だ。

「そ、そうなんだ……」

ど、どうしよう。このままだと、平和に解決することが……。

「あ、レオは殺さないから安心して。私、仲良くなった人は、なるべく殺さないようにしているんだ」

な、なるべくね……。

「そ、そうか……。そういえば、どうしてルーは奴隷になってしまったの?」

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そんなに強かったら、逃げることもできたよね?

「首をつけたらご飯をくれるってあいつらに言われて、言われた通りに著けたら、あいつらに逆らえなくなってしまったわ」

え? そんな簡単な手口で騙されたの!?

「そ、そんな方法で……。ねえ、ルーはどうして人間界にいるの?」

「それがわからないの。気がついたらドラゴンの群れと戦っていたわ。どうしてなのかはわからないけど、私の中の何かがどんなことがあっても人間界に行けって……」

なるほど……記憶喪失の影響で記憶が曖昧なのか?

それにしても……

「ドラゴンの群れと戦った!?」

「ええ、そうよ。死ぬかと思ったけど、なんとかあの山を越えることができたわ」

死ぬかと思ったって、隨分と軽いな……。

あの、死の山脈なんだぞ?

「よく死ななかったね……」

破壊魔法って凄いな。

これから、戦うかもしれないと思うと恐ろしくて仕方がないけど……。

「まあね!」

俺に褒められたと勘違いしたルーは、嬉しそうにを張った。

「それじゃあ、上に案してよ」

そう言って、ルーが近づいてきた。

はあ、慎重に……言うぞ。

「えっと……それは出來ないかな」

「どうして?」

目の前に來たルーが首を傾げた。

「だって、地上に上がったらたくさんの人を殺すんでしょ?」

「ええ、そうよ。ダメ?」

ダメに決まっているだろ!

まあ、そんな覚は魔族には無いかもしれないけど……。

「う、うん、ダメだよ」

「じゃあ、どうすればいいの?」

「これ以上人を殺すことを諦めてくれない? ここにいた人は……罪人だからまだ許せるけど。上にいる人はほとんど関係ないからね?」

どうにか諦めてくれ……。

俺はルーの気が変わってくれることを祈った。

「わかったわ」

え?

「本當!? 諦めてくれるの?」

「うんうん、自力で上がる方法を探すわ」

「へ?」

ん? どういうこと?

「ということで、またね!」

ルーは笑顔でそう言うと、俺に背を向けて歩き始めた。

「ちょ、ちょっと待って!」

「何? 教えてくれる気になった?」

俺が呼び止めると、クルっと回転してこっちを見てきた。

「違う! どうして、そんなに人を殺すことに拘るの? 復讐の為なら、もう十分じゃないの? この街を見てみなよ。ほとんどの人やをルーが壊してしまったじゃないか」

俺はルーに諦めてもらえるよう、必死に訴えた。

俺の言葉を聞いたルーは、し考える素振りをしてから話し始めた。

「確かに言われてみればそうね。復讐の為って言ったのは、噓なのかもしれないわ」

ん?

「ど、どういうこと?」

「単に、私は何かを壊したいだけなのかもしれないわ。ずっと、拘束されていたから、ストレスが溜まっているのかも」

「そ、そうだよね……」

くそ……。もう、覚悟を決めないと……。

「もういい? 行くわよ」

俺が悩んでいると、ルーがまた歩き出してしまった。

「ま、待って!」

「なに? まだあるの?」

二度目の呼び止めに、ルーは鬱陶しそうな顔をしていた。

くそ! もう、こうなったら覚悟を決めろ!

「これから勝負をしないか?」

「勝負?」

「うん。正直、ルーが上で街を壊されたら俺は困るんだ」

「どうして?」

本気で俺が言っている意味がわからないのか……ルーは、俺を見ながら首を傾げていた。

誰だって、同族が殺されることは嫌だと思うんだけどな……。

「そりゃあ、俺の街だからね」

「レオの街? どういうこと?」

「この上にある街は、これから俺が管理することになっているんだよ」

「だから、壊されてしまったら困ると……。それで、勝負って何?」

ルーは、し納得したような顔をすると、すぐに勝負に関心が移ってしまった。

はあ、やっぱり戦わないといけないのか……。

「そのままの意味だよ。これから、二人で勝負をしよう。負けた方が勝った方の言う事を何でも聞くことが條件で」

たぶん、ルーの格ならこの勝負をけてくれるはず……。

「へえ。面白いわね。それじゃあ、負けた方が勝った方の奴隷というのはどう? 一生、勝った方に盡くすの」

こ、怖いことを言うな……。

でも、俺から言い出したことだから、斷れそうにないな。

「いいよ。ルールは、降參と言った方が負け。いい?」

死んでも降參って言わないからな!

「うん、いいわ。手とか足とか無くなっても文句は言わないでよ?」

ルーがニコニコしながら、とんでもないことを言ってきた。

「う、うん……い、言わないよ」

もう、目の前の化けから逃げたくて仕方ないんだけど。

「わかったわ。それじゃあ、始めましょうか。えい!」

承諾と共に開始の合図をして、破壊魔法を繰り出してきた。

俺は回避不可能と判斷して、すぐに転移を使った。

「あれ?」

「あ、危なかった……って、うおお!」

ルーの背後に、なんとか転移できたことに安心していると、すぐにルーが手を振り下ろしているのが見えたので、急いで走った。

「っち! 逃げ足が速いわね。あなたも攻撃してきなさいよ!」

そんなことを言われても、足を止めたら死ぬ狀況だよ?

「はいはい。そりゃ!」

心の中で文句を言いながら、エレナを使って斬撃をいくつか飛ばした。

ただ……

「えい!」

簡単に消されてしまったけど。

「今の凄いわね。どうやったの?」

お前に褒められても嬉しくない!

「ルーの魔法の方が凄いと思うけどな……」

「そう? これでも、ずっと使っていなかったからまだ本調子じゃないわ。えい!」

ルーはしゃべりながら、今度は俺のきを予測して腕を振り下ろした。

急な方向転換は出來そうにないな……。

「おっと。そうなんだ。俺も、ここのところ本気で戦ってなかったから、がなまっているみたいだ」

俺は、転移を使ってルーの真後ろに転移してみた。

「へ~~そうなんだ。 えい!」

「あぶな!」

ルーが振り向こうとしているところに合わせて、もう一度転移した。

「今の何? 反則よ!」

反則って……破壊魔法が言うなよな。

「これはスキルだよ。ルーもスキルを使っているんだから、公平だろ?」

「そうだけど……當たらないじゃない! もう!」

また、話しながら手を振り下ろす。

「いや、當たったら即死なんだから、必死に避けるのは當たり前だろ?」

俺は、そんなことを言って転移を使ってまたルーの背後に移した。

「そんなの知らないわよ!」

怒りながら、ルーが振り返りながら右手を俺に振り下ろそうとした……腕を俺が摑んだ。

「まあ、落ち著けって」

手がかせなければ、攻撃されないからね。

と、油斷していたら

「いやよ!」

左手を振り下ろした。

俺のもう片方の手は、エレナで塞がっていて摑むことはできないから、一旦転移で離れた。

「もう! ちょこまかちょこまかと! こうなったらこうしてやるわ!」

怒ったルーはがむしゃらに手をかして、所かまわず破壊魔法で消し始めた。

これが、意外に近づく隙が無く、俺はルーの手のきを見ながら必死に避けることしか出來なかった。

「ちょ! それこそ反則だろ!」

近づけないじゃん!

くそ……ルーが魔力切れになることは絶対にないから、このままだとジリ貧だ。

必死に避けながら、どうすればいいのか考える。

アンナが言っていた能力の容は、見える範囲で手をかした方向にあるを破壊または分解するんだったよな。

だから避けるには、見えない背後を取るまたは、手のきを読むか封じないといけない……。

うん……。あ、いいこと思いついた。

「よし、本気出すぞ!」

「まさか、今まで本気じゃなかったとでも言うの?」

俺のことを茶化しながらも、ルーは攻撃の手を緩めない。

「まあね!」

俺は返事しながら、背後に転移してすぐに斬撃を飛ばす。

「それは効かないわ!」

ルーはそう言って、すぐに斬撃を破壊魔法で消してしまった。

「そうですか!」

また背後に転移して斬撃を飛ばす。

「ちょ!」

慌てながらも、ルーはしっかりと斬撃を消した。

まあ、これで終わりじゃないんだけどね。

「ほらほら!」

俺は、背後や橫に転移したら斬撃を飛ばすことを繰り返した。

攻守逆転だ。

「ま、待ってよ!」

これには、流石に消すのが大変になってきたようだ。

「まだまだ」

俺はもっと、転移と斬撃を飛ばす間隔をめた。

すると……

「うわ!」

手が追いつかなくなったルーがついにかして避けた。

よし、今だ!

俺はこの隙を見逃さず、ルーのすぐ後ろに転移して、左手でルーの目を隠しつつ、ルーの首に優しく剣を當てた。

「はい、俺の勝ち」

目隠しをしてしまえば、ルーは破壊魔法を使えない。

破壊魔法を使えないルーは、ちょっと強いの子だ。

「そ、そんな……」

俺に目を隠されながら、ルーは悔しそうな聲を出した。

「それじゃあ、素直に降參してくれない?」

お願いだから、これで終わりにしよう。

「で、でも……」

あ、負けを認めたら俺の奴隷になるって約束していたんだっけ。

「降參してくれるなら、これから毎日、凄く味しいご飯を三食用意するけど?」

これまでのルーを見てきて、この條件が一番効果ありそうな気がしてきた。

「ほ、本當!? 味しいご飯……しかも三食……」

ルーの聲から、凄く悩んでいるのが伝わってきた。

あと一押し!

「本當だよ。俺、こう見えて凄い金持ちだからね? ルーの服もベッドもちゃんと用意するよ」

「ベッド? ベッドで寢られるの!?」

ルーは、ベッドに食いついて來た。

そういえば、今まで奴隷生活でちゃんとした寢床で寢てなかったんだろうな……。

「うん。ベッドで寢れるよ」

「本當? 噓じゃない?」

疑い深いな……。

まあ、一度騙されているわけだし當然か。

「絶対に噓じゃない。噓だったら、俺のことを破壊していいよ」

「うん……わかった。それじゃあ……降參します」

やった! 終わった~!!

「ふう……。それじゃあ、奴隷契約をしてもいい?」

「ダメ!」

俺が首ろうとすると、ルーがんだ。

「え?」

降參したんだから、奴隷契約してもいいんじゃないの?

「レオが言っていたことが噓かどうか確かめてから!」

ああ、そういうこと。

仕方ないな……。

「まあ、いいけど。それじゃあ、俺の許可なしに破壊魔法を使わないことを約束してくれる?」

「うん。約束する」

ルーはコクコクと頷いた。

「わかった。それじゃあ、ご飯を食べに帰ろうか……」

俺はルーの目から手を離して、エレナをしまった。

「うん! 久ぶりにたくさんいたから、凄いお腹すいた~」

目が見えるようになっても、ルーは特に怪しいきはせず、純粋にご飯を楽しみにしているように見えた。

ふう、死ぬかと思った瞬間が何度もあったけど、なんとか怪我なしで終わって良かった……。

それから、隠しておいたリュックを拾ってから城に転移した。

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