《継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》》閑話5 ある休日の一日

「あー暇だなー」

ある休日の一日、俺は自分の部屋で暇を持て余していた。

ヘルマンたちとの勉強會も休みだし、ベルとの冒険者の依頼も當分やらないと決めたし、何もやることがないのだ。

「お友達と遊んで來たらどうですか?」

「それが、二人とも家に帰っているんだよ」

二人とも、休日は家に帰っちゃうんだよな……。

「そうなんですか……。レオ様も実家に帰ってみたらどうですか?」

確かに、言われてみればずっと帰ってなかったな。

久しぶりに顔を出して見るか。

「そうだな……。久しぶりに帰るか。俺なら、転移ですぐに行けるし」

「はい、そうですよ」

「それじゃあ、行くか。ベルも一緒に行く?」

そう言って、俺はベルに手を差し出した。

「え? 私もですか?」

「うん、一緒に行こうよ」

ベルを置いて行くのもなんか嫌だし。

「いいですけど……」

「それじゃあ、決まりだね。久しぶりに父さんたちと會えるから楽しみだなー」

俺は、ベルの手を握ってフォースター領に向けて転移した。

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「ふう、久しぶりだなー」

この、し田舎なじがいいな。

「ちょ! レオ様! ここはどこですか!?」

俺が、久しぶりに帰って來た実家を眺めて懐かしんでいると、ベルが驚きの聲をあげていた。

「ここ? ここは、フォースター領にある屋敷だよ」

「ふぉ、フォースター領!?」

「そんなに驚いてどうしたの?」

ベルが実家に帰ることを提案したんだよ?

「い、いえ、帝都にある方の実家に帰ると思っていたので……」

「あ、確かに……ばあちゃんの家に行っても良かったな……」

というか、普通はそっちに行くか。

まあ、こっちに來てしまったから仕方ないけど。

「うん、仕方ない。家にろうよ」

「は、はい……」

何故か張しているベルの手を引きながら、俺は家にった。

「ただいまー」

「レ、レオ様?」

俺の聲を聞いて、すぐにセバスチャンが飛び出して來た。

「あ、セバスチャン。久しぶり!」

「お久しぶりでございます。いきなりどうしたのですか?」

「暇だったから來てみた」

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「そうだったのですか……。後ろの方は?」

「俺の専屬メイドだよ。ベル、この家の執事長のセバスチャンだよ」

セバスチャンにベルを紹介しつつ、ベルにセバスチャンを紹介した。

「し、執事長!? は、はじめまして。ベルと申します」

執事長と聞いて、すぐに丁寧なあいさつをした。

「レオ様の専屬メイドでしたか。アメリーはいい仕事をしましたね。それにしても、レオ様とケント様の好みが本當に一緒だったとは……」

ああ、あの話か……。

「もしかして、俺とじいちゃんが獣人族のことを好きって話? アメリーがメイド長に教えて貰ったらしいよ」

「なるほど、彼もケント様が前メイド長のことを溺していたことを知っていましたね」

セバスチャンから見ても、じいちゃんは獣人メイドに溺していたのか……。

「そんなにじいちゃんが溺していたの?」

「はい。カリーナ様が嫉妬するくらいには」

ばあちゃんが嫉妬!?

「そうだったんだ……。あのばあちゃんが嫉妬ね……」

ばあちゃんの格からは想像できないな……。

もしかすると、それくらいじいちゃんがそのメイドに夢中だったのかもしれないけど。

「あ、レオ!」

「ん? うわ!」

聲が聞こえたと思ったら、母さんが走って來て抱きついて來た。

「どうしてここにいるの? 學校は?」

俺のことを抱きしめながら母さんが質問してきた。

「今日は休みだよ。暇だったから、來てみた」

「そう。それは良かったわ。セバスチャン、アレックスたちにレオが帰って來たって伝えて來て」

「了解しました」

セバスチャンは禮をすると、兄さんたちがいる部屋に向かって行った。

そういえば、兄さんは魔法學校を卒業して、父さんの手伝いをしているんだったな。

フィオナさんもこっちで暮らしているみたいだし、會うのが楽しみだな……。

「それにしても、こんなに気軽に來られるならもっと頻繁に帰って來なさいよ。お母さん、寂しいわ」

俺が兄さんたちのことを考えていると、俺のことを抱きしめたままの母さんが文句を言ってきた。

「だって、忙しかったんだもん。今日は、久しぶりに予定が何も無かったんだ」

師匠のところで魔法を教わったり、ベルと冒険者の依頼をけてみたり、ここ最近の休日はいろいろと忙しかったからね。

まあ、行こうと思えばいくらでも行けたんだけど。

「そう。普段は何をしているの?」

「ここ最近、友達に勉強を教えているんだ。來年のクラス替えテストに向けてね」

「あら、いい子ね。そういえば、聞いたわよ。この前のテスト、一位だったんですって?」

母さんはそう言って褒めながら、俺の頭をで始めた。

「うん、一位だったよ」

「偉いわ~。よしよし」

久しぶりに、子供扱いされるのもなんかいいな。

なんだか、心が落ち著くな~。

「お、ここにいたのか。レオ、久しぶりだな。また大きくなったんじゃないか?」

俺が母さんに頭をでられていると、父さんの聲がした。

「久しぶり。そうかな?」

俺は自分の頭に手を當ててみた。

長がびたかどうかって、自分だとわからないもんだよね。

「うん、結婚式に會った時よりも大きくなったと思うよ」

今度は、アレックス兄さんの聲がした。

「あ、兄さん! 久しぶり!」

「久しぶり。元気にしてたか?」

「元気にしてたよ。兄さんはどう? 領主の仕事は大変?」

「うん、僕も元気にしてたよ。領主の仕事は、大変かな。フォースター領って、魔の森が隣にあるから、そっちの心配もしないといけないし、覚えることが多くて大変だよ」

あ~魔の森か。確かに、ここは普通の領地よりも危険だからな。

「大変そうだね。兄さんの代でドラゴンが來た時は、助けてあげるよ」

群れは無理だけど、一くらいなら倒せるからね。

「ははは……その時は頼むよ。はあ、嫌だな……」

兄さんはため息をついて、落ち込んでしまった。

「そんな落ち込むなって。心配したところでどうにも出來ないだろ?」

「どうにも出來ないからため息が出ちゃうんだよ……」

父さんが勵ますも、兄さんは落ち込んだままだった。

まあ、どうにも出來ないなら、父さんみたいに楽観的になった方が楽だと思うんだけどな……。

「二人とも、ここで話していても仕方ないでしょ。部屋でゆっくりレオとお話ししましょうよ」

母さんの言葉で、俺たちの話は一旦終わりにした。

「ああ、そうだな。し早いが晝飯にするか」

「そうだね。それじゃあ、フィオナを呼んでくるよ」

あ、フィオナさんがいるんだった。會うのは結婚式以來だな……。

それから、兄さんがフィオナさんを連れて來て、晝食を皆で食べ始めた。

「うん、やっぱり家で食べるご飯は味しいね」

ここの料理が味しいというのもあるけど、家族と食べるご飯というのは味しくじるよな。

「そうでしょ。寮だと一人で食べないといけないから、寂しいでしょ?」

「そんなことないよ。ベルがいるし」

泣かれた日から、ちゃんと毎日一緒に食べているよ。

「そういえば、アメリーからの手紙に書いてあったわね。レオが獣人のメイドを凄く気にいているって」

アメリーさんの手紙?

「え? アメリーさんと手紙のやり取りをしているの?」

「當たり前でしょ? 親なら、子供がどうしているのか気になるわよ。特に、レオは大人しくしていられない子ですからね」

「そ、そうかな?」

「そうよ。ハイハイが出來るようになったら、家中をき回ったり、喋れるようになったら、大人でも困る様な質問を永遠に聞いてくるし……。あなたは小さい頃から、好奇心旺盛だったわ」

記憶が曖昧だけど、そんなこともあったな……。

確か、あの時は魔法を使えるようになる為に必死だったんだよな……。

「懐かしいな。結局、レオの質問攻撃を耐えたのは、セバスチャンだけだったな」

「そうね。レオも最終的には、セバスチャンだけに質問していたものね」

「そうだったかも……」

セバスチャンにはお世話になったな……。

「まあ、今も変わらないけどな」

「そうね。拐されたお姫様を自分の手で助け出してみせたり、帝國一の商會を自分のにしてしまったり、とても子供と思えない行力よね」

そ、そうかな?

「大したことないって。シェリーを助けた時は、クリフさんに場所を教えて貰えたからだし、フェルマー商會に関しては後ろ盾になっただけで、ちゃんと會長がいるからね?」

フェルマー商會に関しては、ただの商品のアイディアを出す人だからね。

「いやいや、どっちも凄いことだからね?」

「ふふふ。レオくん、もっと自信を持ってもいいと思いますよ」

フィオナさんがし笑いながら、俺に注意してきた。

「そ、そうですか?」

自信ね……。

「いや、持てよ。お前、この世界で數ないダンジョン踏破者になって、大國のお姫様と婚約して、大商會を味方につけたんだぞ? そんなに謙遜していると、逆に友達が減るぞ?」

「う、うん……そうだね」

父さんの凄く説得力ある言葉によって、俺は納得してしまった。

「それにしても、レオって凄いね。とても僕の弟とは思えないや」

でた、アレックス兄さんのネガティブ発言。

最近わかったんだけど、兄さんはすぐにネガティブな思考になってしまう。

「いやいや、お前も十分天才の分類だから。魔法學校を首席で卒業するのも普通じゃないからな?」

「そうかな? レオなら、主席くらい簡単になれるよ?」

いやいや。そんな簡単になんて無理だよ。

だって、今學校の勉強が余裕なのは前世の記憶があるからで、俺自が頭いいからというわけじゃない。

「ふふふ。私は、優秀じゃなくても子供たちが元気ならそれで満足だわ」

流石母さん、言う事がいいお母さんってじだな。

「そうだな。子供たち全員が健康なら、それで十分だ」

「ええ、そうね。それで、話を戻すけど、アメリーの手紙にレオが専屬メイドにベッタリなんですって」

え? その話に戻すの?

「そういえば、そんな話をしていたんだったな。ああ、あの獣人のの子か? 確かに、親父に格がそっくりなお前なら溺してしまいそうだな」

そんなことを言いながら、父さんが俺の後ろに立っているベルを見て頷いていた。

皆、同じことを言うな……。よっぽど、じいちゃんは獣人が好きだったんだな。

「私がアメリーに頼んだの。八歳で親から離れて暮らすしかなくなってしまったのよ? だから、寂しい思いをさせないようにレオが気にりそうな専屬メイドを常に傍につけてあげることにしたのよ」

そうだったんだ……。

「言われてみれば、寂しい思いはしなかったかも」

普段から、俺の傍にはベルがいたからね。

話し相手になって貰ったり、一緒に魔力を鍛えたり、魔法作りを手伝って貰ったり……本當にお世話になっているな。

「でしょ? ベルちゃんに謝するのよ?」

「うん、わかった」

後で、謝の言葉を言わないとだな。

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