《継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》》閑話6 お風呂での會話

「こっちよ」

シェリーがルーのことを案しながら、四人は所にった。

「ここが、レオが言っていたオフロ?」

「そうよ。それじゃあ、服はぎなさい」

ルーにそう言いつつ、シェリーは服をぎ始めた。

「え? どうして服をいでいるの?」

服をぎ始めた三人を見て、ルーは首を傾げた。

どうやら、ルーは本當に風呂がなんなのか知らないみたいだ。

「お風呂は、を洗う場所だからです。服を著ていたら洗えませんよね?」

を洗う場所? を洗うのに、場所が必要なの?」

「何を言っているの? じゃあ、ルーはいつもどこでを洗っていたの?」

「私? 私は、池に飛び込んでの汚れを落としていたわ。奴隷になってからは、拘束されたまま水をかけられていたわ」

「そうだったんですか。それじゃあ、お風呂がどんななのかわかるはずがありませんね」

「まあ、ればわかるわよ」

それからルーも服をぎ、四人が風呂場に出た。

「うわ~家の中に大きな池がある~。ここに飛び込むの?」

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確かに、小さな池くらいの大きさはあるけど……。

「飛び込んじゃダメよ。まず、る前にを流して。ほら」

そう言いながら、シェリーがルーにお湯をかけた。

シェリーって、意外に面倒見がいいな……。

さっきまで怖がっていたのに、平気なのか?

まあ、俺が創造した首があるから安心しているのかもしれないけど……。

「あれ? 水なのに冷たくない?」

シェリーに頭からお湯をかけられたルーが驚いていた。

普段から池に飛び込んでを洗っていたルーだから、お湯に驚くのも普通か。

「そうですよ。お風呂は、を洗う場所であり、を溫めて疲れを癒す場所でもあるんです」

「この溫かい水にると疲れが取れるの?」

「それは、ってみればわかるわ。ほら、飛び込まないでゆっくりって」

シェリーに念を押され、ルーは靜かにお湯にった。

「気持ちいい……」

ルーは、本當に気持ちよさそうな顔をしていた。

どうやら、気にって貰えたようだ。

「でしょ?」

「確かにこれは疲れが取れるわ」

「ですよね。しかも、このお湯はレオくんが創造魔法で造ったアイテムが出すお湯だから、特別なんです」

「特別? どういうこと? 確かに濁っていていい匂いもするけど……何が凄いの?」

「このお湯には、疲労回復の他に、魔力回復や、効果があるんですよ?」

「へ~。凄いわね。レオの創造魔法ってやっぱりズルだわ……」

何度も言うが、お前だけには言われたくない。

絶対、破壊魔法の方がチートだから。

「レオは何でもできるわよ。昔は、無能とか言われていたけど、今じゃあ誰もそんなことは言わないわ」

むしろ今は、を売られたり、妬まれたりされるくらいだからね。

本當、思い込みで人のことを評価するのって良くないよね。

「え? レオが無能? 人間界にはレオ以上に有能な人がいるの?」

「いないわよ。皆、気がつかなかっただけ。この世界でレオが一番だわ」

照れるな~そんなに褒めないでよ。

流石に、ドラゴンと魔王には勝てないと思うよ?

「そうなんだ……。シェリーって、レオのことが好きなの?」

ん?

「ど、どうしたの? 急に」

ルーの唐突な言葉に、今までお姉さんぶっていたシェリーの顔が赤くなってしまった。

「そういえば、レオとの関係は聞いていなかったな~と思って。三人ともレオのなんでしょ?」

俺のって言い方はやめなさい!

俺のイメージが悪くなるだろ!

「そ、そうよ……」

「それで、好きなの?」

「す、好きよ……」

そう言って、シェリーは真っ赤になった顔をギリギリまでお湯に沈めた。

「そうなんだ~。照れちゃって可いわね。リーナとベルもレオのことが好きなの?」

「そうですね」

リーナは、照れる様子も無く、素直に答えた。

一方、ベルは……

「え、えっと……私はメイドなので……」

言葉を詰まらせていた。

まあ、そんなことを聞かれたら困っちゃうよね。

だって、俺とベルの関係はメイドと雇い主なんだから。

「メイドだと好きになっちゃダメなの? それより、メイドってなに?」

何も知らないルーは、遠慮なく質問していく。

「え、えっと……」

「ベルの仕事は、レオくんのの回りの世話をすることなんです」

困っていたベルの代わりに、リーナが答えてあげた。

「え? あいつ、の子にの回りの世話をして貰っているの? かっこわる~」

うるさい! もう、ベルがいないと生きていけないになってしまったんだよ。

「そんなことはないですよ。貴族だと、それが普通です。シェリーや私もメイドに世話をして貰っていますよ」

「ふん~」

ルーがシェリーに目を向けた。

「なによ?」

「べつに~。それで、どうしてベルがレオのことを好きになることがダメなの? レオは世話をして貰っている分際で斷る権利はないでしょ?」

ご、ごもっとも……。

俺はベルにお世話してもらっている分際なんです。

だから、ベルになんて思われていようと文句を言う資格はないんです。

「えっと……。人間界には、貴族と平民と奴隷で分が別れているのは知っていますか?」

「うん……名前だけなら」

「それじゃあ、それから説明しますね。奴隷はもちろん、ルーみたいな人のことですね。誰かのとして扱われるんです」

「うん、そうね」

これは、ルーが験済みだな。

「次に貴族。貴族は、レオ君のようにその國の土地を管理する人たちのことを言います」

「うん」

「で、平民は、ベルのような一般市民のことを言います」

「へ~。リーナはどれなの?」

「私は……一応、貴族という扱いです。今、この説明するのは難しいので、また暇な時にでも聞いてください」

まあ、リーナの生い立ちから説明しないといけないからな。

たぶん、説明しても理解できないだろうけど。

「わかった。それで、どうしてベルがレオのことを好きになったらいけないの?」

「えっと……ダメってわけじゃあないんです」

リーナはし困った顔をしながら、質問に答えた。

「ダメじゃないの? それじゃあ、どういうこと?」

「他の貴族がうるさいのよ」

リーナの代わりに、今度はシェリーが答えた。

「他の貴族がうるさい? レオ以外の貴族が文句を言うの?」

「まあ、簡単に言うとそうね。レオって、貴族の中でも人気者なの。で、レオと無理やりでも娘を結婚させたいと考えている人がたくさんいるの」

本當、諦めてしいんだよね。

パーティーに參加するたびに凄いことになるからな……。

「娘を結婚させたい? 自分が結婚したいじゃなくて?」

「中にはそういう人もいると思うけど……ほとんどは違うわ。で、貴族は、自分以外の貴族が結婚するなら、諦めることができるの。ただ、相手が平民の時は……」

「文句を言うの?」

「ええ、そうよ。実は、私の母は元平民なの」

あ、そういえばそうだったな。

魔法學校で知り合ったって、言っていたな。

「そうなの? そういえばさっき聞き忘れてしまったけど、シェリーって貴族なの?」

「あ、その説明をしていませんでしたね。シェリーは、お姫様ですよ。この國で一番偉い人の娘です」

「え? シェリーってそんなに偉い人だったの……?」

そう言って、ルーはシェリーからし距離を取った。

これまでの言を考えれば、今更だろ。

「今まで通りでいいわよ。で、平民だった私の母が皇帝と結婚するってなった時、たくさんの人から反対されたんだって。平民のが皇帝の妻にはふさわしくないって」

まあ、そうなるだろうな。逆によく結婚出來たよ。

「ふ~ん。でも、シェリーがいるってことは、結婚できたのよね?」

「ええ、そうよ。勇者様の力も借りて、お父さんが押し切ったみたいよ」

じいちゃんか……。確かにじいちゃんなら、助けてあげそうだな……。

日本にいた頃の価値観があるだろうし、貴族が嫌いだし。

「なんだ。それじゃあ、ベルがレオを好きになるのも問題ないね。シェリーのお母さんも大丈夫だったんだから」

「そ、そうね……」

そう言われたら、そう答えるしかないな。

シェリーが言いたかったことは、たぶんダメじゃないけど難しいってことなんじゃないかな?

まあ、他の貴族のことなんて気にする必要はないと思うけど。

「良かったね、ベル。好きでも問題ないって」

「は、はい……」

ベルは顔を真っ赤にしながら答えた。

「そろそろ、のぼせてしまいそうなので、お風呂から上がりましょうか」

「ええ、そうね」

おっと、もうそろそろ消さないと。

「ねえ、何を見ているの? それ、何?」

「うわ!」

聲がしたので、振り返るとルーが真後ろからモニターを覗き込んでいた。

そして、その後ろに怖い顔をした三人組が立っていた……。

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