《狂的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執著〜》鳥籠のお嬢様③

とうとう駒である役割を果たすときがきたのか。

突然のことに意表を突かれはしたが、別にそれ以上のは抱かなかった。

もうすぐ二十歳を迎えることだし、そろそろそんな話が舞い込んできても可笑しくないとは思っていたのだ。

現実に引き戻され、艶めく漆塗りの座卓を挾んだ上座に位置する両親の元へと視線を向ける。

正面の父と目が合った瞬間、あからさまに気まずそうな顔をして視線を逸らされてしまい、がツキンと痛んだ。

別に今更、父に何かを期待していたわけではない。けれど心のどこかで、何かを期待していた自分がいることに気づかされた。

そんな自分のことが不憫に思えてならない。

鼻の奧までがツンとしてくる。桜は泣き出したりしないように、膝の上の拳にぐっと力を込める。

対して薫は、ようやく厄介払いができると言わんばかりに、嬉々とした表で見合い相手の釣書と寫真とを父に手渡すと、その相手がどういう人かの説明を朗々とはじめた。

「父の舊友の息子さんなんですけれど。もうすぐ元外務大臣を務めていらっしゃったお父様の地盤を引き継いで、次の選挙に出馬するんですってーー」

薫の話によると。その相手は大代議士のご子息で、父親の跡を継ぐために若い頃から勉強や仕事に忙殺され際する暇もなかったとかで、もうすぐ四十歳を迎えるに當たり、結婚相手を探していたらしい。

つい先日、薫がたまたま所用で実家に帰省した折に父の友人と居合わせ、その際に桜の話題が出たらしく。家元のお嬢さんなら間違いないと、トントン拍子に話が纏まったということだった。

薫曰く、將來有な代議士の元に嫁げば、経済的にも安定しているし、何より、この長い歴史を誇る、華道の流派である清風も安泰。

家にとっても、桜にとっても、これほどの良縁はないのだという。

ーー四十歳……って、そんなおじさんと。

薫の話を耳にしての桜の第一印象は、そんなものだった。

つい先ほどまで父の反応になからずショックをけていた桜だったが、そんななど一気に冷めていく。

今度は違った意味で大きな衝撃をけてしまっている。

い頃から、この家をもり立てていくための駒として育てられてきたとはいえ、まさか二回り近くも年の離れた相手の元に嫁がされるとは夢にも思わなかった。

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