《狂的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執著〜》鳥籠から出るために③

いきなり肩に擔がれた挙げ句、まで叩かれてしまった桜は、あの後すぐ、廊下で気を利かせて待機していたらしいふたりの部下を従えた男により、駐車場の車まで運ばれた。

駐車場に停められていたどの車よりも大きくて、三人の男たち同様に威圧を放っている黒塗りの高級車。その後部座席へと押し込まれたのである。

助手席には既に運転手らしき年配の男が控えており、桜を含めた四人が乗り込むと同時に靜かに走り出した。

車に興味のない桜にはよくわからないが、家元である弦が所有している車も名の知れた高級車であるらしいと聞いたことがある。

だが、乗用車にしてはやたらと大きく、長い獨特な見かけと豪華すぎる裝からして、それよりも遙かに格上だというのが窺える。

運転席と後部座席とは仕切られており、上質そうな黒い革張りの座席も空間もとても広々としていた。

対面になっている向かいの席には、大柄の男ーー兵藤ひょうどうと中中背の優男ーー中倉なかくら通稱ヤスが腰を落ち著け、兵藤の正面に位置する桜は、長の男ーー九條くじょう尊たけると隣り合ってシートに座している。

威圧満載な男らのせいで、快適に走行している車には、なんとも重苦しい空気が充満している。

居心地の悪さを覚えた桜は、所在なさげにこめてしまっていた。

そこに不意に、ヤスから思いの外調子のいい明るい聲が響き渡ったことで、場の空気が一気に緩んだ。

「もーヤダなぁ。若いの子相手にそんな怖い顔してたら、泣かれちゃいますよ。頭かしらぁ」

しかしそのことにホッとし息をつく間もなく、優太郎に怒聲を放っていた同一人とは似ても似つかない、ヤスのチャラいくらいの軽快な飄然とした聲に、一瞬誰の聲かと耳を疑ったくらいだった。

桜が呆気にとられてる間、ヤスに対して、実に素っ気ない重低音で苦言を呈した尊との間でなされた會話によりーー

「その呼び方はやめろ。社長と呼べッ」

「さーせん。社長。とりあえず自己紹介してあげてもいいですかね?」

「ああ、好きにしろ」

「へい、あざーす」

ヤスから自己紹介をけることとなった。そこで三人の名前と職業を知り得たのだが、そのことで桜はこれまた大きな衝撃をけたのである。

ヤスの話では、優太郎との間でわされた會話でも、自分達が『極道』であることを示唆していたらしいが、混していた桜の耳には屆いていなかったのだ。

ヤスからの説明によると、超難関國立大の帝都大出である尊が在學中に起業したという『T&Kシステムズ』。

桜でも一度は耳にしたことのある、今一番勢いがあると言われているIT企業だ。

それだけでも驚きだというのに……。それがなんと、世間では泣く子も黙る日本最大の極道組織として有名らしい『極心會』のフロント企業だという。

しかも尊は、その組織のナンバーツーに位置する、『若頭』という立場にあるというのだから、桜が驚愕するのも無理もない話だ。

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