《狂的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執著〜》鳥籠から出るために⑰

たった今、目を覚ましたらしい尊からは、ここぞとばかりに耳元で、昨夜散々浴びせられた言葉攻めを朝一でお見舞いされてしまうのだった。

「……ん? どうした? 驚いて飛び起きようとしたと思えば、急に固まったり、真っ赤になってあわあわしたり」

「////……べ、別になんでも」

素知らぬ顔で応えつつも、真っ赤になった上に、橫になった勢で尊に強引に引き寄せられ、背中からすっぽりと包み込むように抱きしめられてしまっている。

それだけじゃない。尊の分部に押し付けられてしまっているのだ。そんなの恥ずかしいに決まっている。おで、き一つ取れない有様だ。

「ああ、これか。悪いな。素っじゃないと寢た気がしなくてな」

どうやらそのことに気づいたらしい尊からの返答に、桜は思わず心の中で毒づいていた。

ーー素っで寢るなんて。族じゃなるまいし、ありえない。

「////……そ、そうですか」

「それとも。昨夜、俺にんなところをしゃぶられて、散々がされたのを思い出したのか」

「////ーーッ!?」

素知らぬ顔を裝って応えつつも、當然余裕など皆無なため、もういっぱいいっぱいだ。

なのに、直接的な言葉で、昨夜のことまで掘り返されてしまった桜は、もうショート寸前かというくらいに恥を煽られてしまう。言葉も失ってしまったほどだ。

余裕のない桜とは対照的に、尊は腹立たしいほど平然としていて、なんだかとても愉しげに見える。

おそらく、こういうことにも慣れているからだろう。

そういえば、今頃気づいたが。昨日振袖をされ襦袢一枚だったはずが、につけた覚えのないバスローブ姿になっていることからも、尊が著せてくれたのは明白だ。

加えて、シャワーも浴びてないにも関わらず、不快がまったくない。

恥ずかしすぎて、想像したくはないが。もしかしたら、も拭いてくれたのかもしれない。

これも、慣れている所以だとしか思えない。

である自分には、普通がどうなのかもわからないし、確かめようもない。

でもこれだけははっきりしている。

尊にとっては、昨夜のあれこれは特別でもなんでもなかったに違いない。

きっと、たくさんいるのであろう、とは、もっと凄いことをしているのだろう。

それがなんとも恨めしい。

また、そう思ってしまっただけで、がギュギュッと締め付けられる。痛くて痛くてどうしようもない。

桜はこれ以上ないというほどの恥に見舞われつつも盛大にむくれていた。

そこに尊から、やはりどこか愉しげな呟き聲が聞こえてくる。

「今からそんなことで大丈夫なのか?」

きっと、こんなことぐらいでいちいち恥ずかしがったりしていては、が持たないし。尊のたくさんいるであろう遊びのの一員になるには、不相応だとでも言いたいのだろう。

そんなこと、改めて言われなくともよくわかっている。なのに、尊本人に言われてしまうと、面白くない。

自分から傍に置いてしいと願っておいて、こんなふうに思うなんて。自分勝手なことだと自分でも思う。

けれど自分ではのコントロールができないのだからしょうがない。

抑えの効かないを持て余し、半ば開き直った心持ちになってしまっている桜は、ますます腹立たしい気持ちになってしまう。

恥と腹の底からふつふつと湧きたつ腹立たしさで、なおも真っ赤になって頬をぷっくりと膨らませていた。

そんな桜の頬を背後から指先でツンツン突きながら尊はとんでもないことを言い放つ。

「俺の嫁になったら、そんなんじゃがもたないぞ」

「ーーッ!?」

驚愕しきりの桜は、二の句を告げなかったどころか、思考もなにもかもを最新式の高能冷蔵庫にも勝る速さで、瞬時に凍結させてしまっていた。

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