《狂的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執著〜》ヤクザと政略結婚!?⑥

もしかしたらこれは、尊のことを好きだから、そうじただけかもしれない。

もしくは、そうだといいな、という、願の表れなのかもしれない。

それでもいい。この人の傍にいたいという自分の気持ちを尊重したい。

これまでは家の駒として生きてきた。これからは自分のために生きていきたい。

ーー昨日、出逢ったばかりだとか、住む世界が違うだとか、そんなの、関係ない。

  この人が與えてくれた機會を逃したくはない。

自分の人生だ。後悔のないように、一杯生き抜いてみせる。

今は一方通行の想いでしかなくても、いつの日にか、この人と本當の家族になりたい。

ーーこんなこと思うなんて、烏滸がましいことかもしれないけれど、そっとめておくくらい、いいよね。

尊からの言葉に、改めて覚悟を決めた桜は、キッパリと答えてみせる。

「後悔なんてしません」

頑なな桜の言葉に、尊はしばし驚いたような顔をしたが、瞬時にの一切を排除して、淡々と言い放つ。

「なら、俺の嫁として、俺の子供を産んでもらう。それでもいいのか?」

それにはさすがに驚いて、桜の聲は裏返ってしまう。

「え?」

  尊は、桜の反応が予想通りだったのか、フンッと鼻を鳴らしてから笑みじりの聲を放つ。

「嫌なら、フリだけの偽裝結婚で構わないんだぞ」

それくらいの覚悟ならやめておけ。とでも言うような言い草だ。

だが覚悟なら、もうとっくに決めている。これくらいのことで今さら逃げ出したりしない。

依然見下ろしたままでいる尊の目を真っ直ぐに見つめ返し、キッパリと言い切ってみせる。

「吃驚しただけで、別に嫌なわけじゃありません」

すると尊は、やはり一瞬、驚いたように目を瞠った後で、心したような聲を放つ。

「昨夜も思ったが、案外、強だな。まぁ、いい。それくらいでないと、極道の姐さんなんて、務まらないからな」

どうやら桜の覚悟が通じたようで、ほっとで下ろす。

だがしかし、いくら腹を括ったとはいえ、こんなところで事に及ばれては堪らない。

未だ桜のことを組み敷いたままの尊の下で、桜は途端に狼狽え始める。

「////ーーあ、あのっ、でも、ここでは……ちょっと」

尊は、なんだか愉快そうに口元に妖艶な微笑を湛え、ニヤリと口端を吊り上げた。

そうしてゆっくりと組み敷いた桜のになおも覆い被さってくる。

なにやら嫌な予じて、桜の心臓は、ドクドクと激しい鼓を打ち鳴らし始めた。

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