《狂的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執著〜》ヤクザと政略結婚!?⑦
その間にも、尊はゆっくりジリジリと焦らすようにして、桜との距離を詰めてくる。
いつしか吐息のかかりそうな近い距離に尊の端正な相貌が迫っていた。桜は思わずギュッと目を瞑る。その剎那。
尊は桜の耳元で、ふっと軽く笑みを零した。
「こんなところで処のお前を抱く気はないから安心しろ。抱くなら、たっぷりじっくり時間をかけて、嫌というほど可がってやる」
たっぷりと含みを持たせた尊からの意味深な臺詞に、桜は見る間に、顔どころか全まで紅くづけられてしまう。
真っ赤になって悶える桜のことを満足そうに見遣ると、尊はあっさりと桜のから退いた。
そうしてさっさとなりを整えると、長い腳を組み前髪を掻き上げる。
ただそうしているだけで、絵になってしまうのだから、なんとも羨ましい。
特に、今日は政略結婚の申しれをするということで、英國産のクラシカルなブライトネービーのスリーピーススーツをチョイスしているらしい。
おそらくオーダーメイドだろう。上品な沢を放っている。
昨日のダークスーツとは違い、雰囲気も爽やかで、とても若々しく見える。
なにより、とても似合っていて、極道者には見えない。どこからどう見ても、IT企業の経営者である。
  なんともスタイリッシュな尊の姿に、知らず魅了されてしまっていた桜はポカンと見れてしまっていた。
  ーー凄く似合ってて、素敵だなぁ。こんな素敵な人と、結婚するんだ。奧さんになって、尊さんの子供まで……!
恥も忘れ、呑気なことを思考しているうち、子作りの過程を連想してしまう。
途端に昨夜のアレコレの記憶が蘇り、ボンッと発火しそうなほど、顔に熱が集中する。
焦った桜は、大慌てで起き上がり、著のれを手早く正した。続いてシートベルトを締めようにも上手くいかない。
焦れば焦るほど、ガチャガチャと金屬音を響かせるだけだ。
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