《狂的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執著〜》ヤクザと政略結婚!?⑬

恥に塗れながらも、桜の頭の片隅には……。

ーーいよいよ尊さんのものにしてもらえるんだ。

そんな期待をドキドキと高鳴らせてもいた。

ところが次の瞬間、ふっと笑みを零した尊は意外すぎる言葉を口にする。

「真にけるな、冗談だ」

「……へ?」

呆気にとられた桜は、素っ頓狂な聲をらしていた。

間抜けな顔で突っ立ったまんまの桜の頭を尊はポンポンと優しくでつつ、背後から桜の顔を覗き込んでくる。

そして低長の桜に目線を合わせると、あたかも小さな子供にでも言い聞かせるように、優しい聲音で囁いてくる。

「昨日から々あったんだ。疲れただろう? 早く著替えてゆっくり休め。食事も時間が來たらここに運ばせる。俺のことは気にせず休んでろ。いいな?」

時折見せてくれる優しい笑顔を湛えた尊の端正な顔に惹きつけられた桜は、なにも言えず尊の聲に耳を傾けることしかできないでいた。

だが尊の言葉にゆっくり顎を引いて応えた桜の姿を満足そうに見屆けると、すぐにすっと桜のから離れて行こうとする。

ただ桜のから退いただけで、どこかに行こうとしているわけではないのかもしれない。

けれども、昨日から何度も経験した記憶が呼び起こされる。

ーーまたひとりにされてしまう。

そう思ってしまった桜は、離れていこうとする尊の背中に咄嗟にしがみついていた。

顔が見えないのをいいことに、一思いに尊に『抱いてしい』と伝えようとしたはずが……。

「私、恥ずかしかっただけで、疲れてなんかいません。だから……早く、……た、尊さんの……尊さんの、ものに……して……ください。お、お願いしますッ!」

いざとなると、やはり恥ずかしくて、言葉が途切れ途切れになってしまう。

それでもなんとか言い切ることができた。

そのことにホッとしたせいか、最後の言葉は思いの外威勢のいいものとなってしまったがしょうがない。

    人が読んでいる<狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執著愛〜>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください