《狂的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執著〜》ヤクザと政略結婚!?⑰*

***

昨夜、尊と初めての夜を過ごしたラグジュアリーなホテルの豪華な浴室には到底及ばないが、それでも一般家庭にあるそれとは違っていた。

もちろん、天澤家の浴室も総檜造りで贅を極めたものではあったが、こちらは西洋風で、なんと四方をガラスで覆われており、床は大理石。浴槽に至っては、ジャグジーまで裝備されている。

そしてその隣のスペースには、近頃流行っているという、サウナ室まで完備されていた。

その中で、桜が非常に気にかかったのは、ガラス張りという點だ。

かいつまんで設備の説明をしてくれていた尊の聲音に耳を傾けつつも、桜は、そのことにばかり意識が逸れてしまっていた。

そうこうしているうち、いつしか説明を終えた尊に、背後から両肩を摑まれていて。桜がドキドキとを高鳴らせているうち、さっさと帯を解き、襦袢一枚にひん剝かれてしまっていた。

ハッとした桜が思わず元を隠して肩を竦ませている間に、尊は自分のにつけている、ネクタイを緩めてシュルっと外し、ベストをぎ去り、あっという間に一糸纏わぬを惜しげもなく曬している。桜は恥に悶え両手で顔を覆い隠すのに一杯。

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だが尊は、そんなことなどまったく意に介さず、とうとう桜は襦袢まで剝ぎ取られてしまったのである。

さっきの尊からの提案に、桜はいつものように恥を煽られ真っ赤になってを竦めていた。

そんな桜に対してこれまで同様に、尊に『真にけるな、冗談だ』と言われたのだが、『りますッ!』そう言い放ったのは自分だ。

今さら、やっぱり恥ずかしいのでやめますなんて、言えるわけがない。

々刺激の強すぎる経過を経た桜は、たった今、『綺麗にしてやるからじっとしてろ』と命じてきた尊によって、適溫に設定されたシャワーのお湯をかけてもらっているところである。

當然、お互い素っな狀態だ。

視線をどこへ向けようが、あれこれが視界に割り込んできてしまう。

それと同様に、一部始終を尊にも見られているのかと思うと、それだけでどうにかなってしまいそうだ。

あまりの恥に、桜はこめてギュッと瞼を閉ざす。

けれど、それはそれで、尊になにをされるのかと気が気ではない。

冗談だとも言ってたし、『手始めに一緒に風呂にるってのはどうだ?』と言われただけなので、それ以上のことはないとは思うが、念のために確認しただけだった。

「あっ、あの。ま、まさか……、こんなところで、その、さっ……最後まで……しないですよね」

恥に塗れながらも、思い切って尋ねた桜に対して、やはりなにやら愉しげに見える尊からは、揶揄するような聲音が返されてしまったことにより。

「さぁ、どうだろうなぁ。お前には、昨日も今日も散々煽られてるからなぁ。俺というより、コイツ次第じゃないか?」

たっぷりと含みをもたせた意味深な言葉の裏をなんとか探ろうと、思考を巡らせるまでもなく。

「……ん? こ、コイツってーーキャッ!?」

言われた言葉を反芻しかけた桜のは、いきなりクルリと反転させられ、『コイツ』がなんたるかを知らしめられたのだった。

    驚愕した桜は、高い聲をあげたきり、ぎさえもままならない有様だ。

だというのに。昨日よりもえらくご機嫌な様子の尊は、桜のことを意地の悪い言葉でまでもことごとく攻め立ててくる。

 けれども、どういうわけか昨日よりも上機嫌な様子の尊の攻め立ては、緩まるどころか、どんどん加速していく。

それからも昨日よりも拍車がかかった、意地の悪い言葉攻めを散々お見舞いされてしまうことになった。

桜はこれ以上にないほど全を真っ赤に染め上げ、ふるふると小刻みに打ち振るわす。

意地悪さを増した尊に恥を最大限に煽られ、泣き出しそうになっていると、頃合いを見計らったような絶妙なタイミングで、背後の尊が耳元に囁きかけてくる。

「冗談だ、真にけるな。今日までのひとつもしたことのなかったお前のためにも、初めては特別なものにしてやる。今は、そのための前準備だ。処を無理矢理奪ったりしないから安心しろ。お前は、ただ俺に任せていればいい。いいな?」

さっきまでの口調とは違った、優しい聲音だったことにも驚いたが、尊の言葉がとても意外だったために、桜は唖然とさせられた。

けれどそれは、処である自分への気遣いであったために、たちまち桜のには熱いものが込み上げてくる。

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