《狂的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執著〜》ヤクザと政略結婚!?⑲*

その仕草が途轍もなくらしく、それとは対照的に、らしい的なスタイルとの、アンバランスな対比が男心を擽っていようとは、桜にその自覚などあるはずもなく。

「……無意識にもほどがあるだろ。それにしても、なんなんだ、そのギャップは」

依然、尊の様子に困中の桜の眼前で、項垂れている尊がぶつくさと獨り言ちる様を不思議な心持ちで眺めていることしかできないでいる。

ようやく尊が垂れていた頭を上げてきた。かと思った次の瞬間には、背後のガラス製の壁へと追い込まれてしまう。

「ーーヒャッ!?」

突如、背中にじたヒヤリとした冷たい桜は慄き目を閉じる。

を竦めた桜が再び目を見開いた先には、ガラス壁に追いやった桜を包囲するようにして両側に手を突いて、妖艶な微笑を湛えている尊の端正な相貌が待ち構えていた。

ーーこ、この狀況、ドラマと同じだ。

呑気にそんなことを思ったまではいいが、ドラマとは違いお互い素っの上、未だこの距離に慣れず、ドキドキと高鳴る鼓は加速の一途を辿っていく。

そうと知ってか知らずか、尊はぐっと距離を詰めてきて、吐息のかかりそうな鼻先すれすれの距離から強い眼差しで見據えてくる。

「言ったからには、自分の言葉には責任をとってもらう。いいな?」

  尊の言葉は、相変わらず、有無を言わせないというような、とても傲慢なものだった。

さすがは極道組織のナンバーツーだと思わせるほどの、威圧だってある。

昨夜だって、散々恥ずかしいことをされてしまったし、意地悪な言葉攻めだって何度もお見舞いされている。

けれど、どんなに傲慢な言いであっても、桜が本気で嫌だと思うことは決してしなかった。

飽きるまで傍に置いてしいというみを聞きれてくれたし。

政略結婚という形ではあれど、大したメリットもないはずなのに、あの家から救い出してもくれた。

もしかしたら、家の駒として育てられてきた桜のの上を不憫に思い、同してくれているだけなのかもしれない。

それでもいい。

この九條尊という人のことを好きだというこの気持ちを大事にしたい。

そういう想いから、心の底から願ったことだ。言葉に二言などあろうはずもない。

「はい。勿論です」

桜は即答しコクンと頷いて見せる。

その剎那、端正な相貌を苦しげに歪ませた尊のらかなによって、強引に噛みつくようにして桜のは奪われてしまっていた。

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